建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年6月号〉

ZOOM UP

子どもたちの安全と豊かで快適な学校づくり

―― 自然エネルギーの活用で環境共生を学ぶ

北海道 北斗市 北斗市立浜分中学校


▲北斗市立浜分中学校 鳥瞰イメージパース


基本コンセプト
@子どもたちが安全に豊かで快適な学校生活をおくることが出来る施設
A多様化する学習環境に対応でき自ら学ぶことが出来るフレキシブルな施設
B生徒、教職員、地域住民が「あつまる」「つながる」「まじわる」ことにより、学校生活を通して社会のルールを学ぶことが出来る空間
1.学習空間計画
 1階は、特別支援学級、地域開放ゾ一ンである図書室及び学童保育所、騒音・振動の発生する技術室のほか、管理諸室を配置した。2階は、1学年から3学年までの普通教室を各学年ごとにゾーン分けをして配置し、ゾーン分けにより隔離された空間を大階段〈交流の庭と友情の大階段〉の吹抜に面して開放的な教室配置とすることで異学年の積極的な交流を促し、普段の学校生活を通して協調性を自然に学べる空間を創る。また、普通教室を中間階の2階に配置することで、上下版への移動を行いやすくする。3階には、特別教室を集約した。
 設備計画では、暖房熱源は灯油とし、各教室をFF式暖房にする。廊下・多目的スペース・特別活動室は温水床暖房。屋内運動場は遠赤外線暖房機とする。
2.福祉防犯対応施設計画
 ユニバーサルデザインとして段差の解消、エレベーターの設置、各所、屋内運動場に多目的トイレの設置、階段、スローブ、トイレ等に手摺の設置する。
 防犯計画としては、ゲート、フェンス等を適所に設けることで、生徒の生活時間帯は部外者の校内への侵入を抑制するほか、登下校時の生徒や来校者の監視が可能な位置に事務室、職員室を配置すると共に電気錠カメラ付ドアホンにより来校者の管理を行う。
 さらに、録画機能付監視カメラ、職員室と直通の非常用インターホン設置などの安全対策をする。
▲施工エリア全景(南西面より撮影)
3.防災施設計図
耐震安全性の確保:大地震後、構造体の大きな補修をすることなく建物を使用できる構造とする。
火災時の避難安全性の確保:防火戸、防火シャッターにより適切な防火区画を確保すると共に、自動火災報知設備、屋内消火栓設備を設置。バルコニーを設け、階段以外の避難経路を確保する。
避難拠点としての施策:災害時にライフラインか分断されたとしても、受水層より・時的に節水を行う。雨水再利用の設備より断水時にトイレ排水を確保、太陽光発電設備を設けることで、停電時に必要最低限の照明設備の電力を確保する。
4.情報化対応計画
情報活用計画の育成
 生徒たちがコンピュータやインターネットを活用し、情報社会に主体的に対応できる「情報活用能力」を育成することを目的とする。
 学校内ネットワークを構築し、各教科や総合学習、特別活動においてコンピュータやインターネットを活用した授業に対応する。
5.環境共生計画
エコスクール対策:
@環境負荷の低減
 適切な断熱材を施工(方位別の厚さ調整)、ペアガラスの採用により、断熱・気密性能を向上させる。
A周辺環境との調和
 周辺の住宅に配慮し、建物のヴォリュームを押さえるなど、適所に樹木の植栽で、周辺環境に馴染ませる。
B自然エネルギーの活用
 屋内運動場南側の屋根面積の約50%に太陽光発電設備を設置しナイター照明や停電時の一般照明に利用する。雨水再利用設備を設けトイレの排水や夏季の屋上散水による蒸発冷却、グラウンドの散水に利用する。さらに、太陽光発電やパッシブ換気システム、雨水再利用システムを体験することで、学習効果とエコヘの関心を持たせる。


建物概要
建物名称:北斗市立浜分中学校
建物位置:北斗市追分1丁目35-73
構造規模:教室棟 鉄筋コンクリート造3階建
     体育館棟 鉄骨造2階建
延床面積:校舎 7,509.51u、体育館 1,585.74u、学童保育スペース 422.65u、武道場 251.08u、災害備蓄庫 33.20u
     合計 9,802.18u
教室棟主要諸室
普通教室:普通学級、特別支援学級
特別教室:多目的ホール、特別支援作業室、STルーム、図書室、進路指導室、コンピューター教室、視聴覚教室、生徒会室、
      音楽教室(楽器・声楽)、美術教室、被服教室、家庭科教室、理科教室(生物・科学)ほか
管理諸室:職員室、事務室、校長室、会議室、保健室、電気室、設備機械室ほか
体育館棟主要諸室:アリーナ、ステージ、武道場、放送室、教官室、災害備蓄庫、ギャラリーほか


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