建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年4月号〉

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京都市中心地区で初の小中一貫校が竣工

―― 本校舎は設計施工一貫方式のデザインビルドで整備

京都市 市立開睛小中学校

▲洛東中敷地に建築する新校舎 完成予想図 ▲六原小敷地に建築する新校舎 完成予想図


 京都市東山区で建設が進められてきた小中一貫校の市立開睛小中学校が、いよいよ竣工を迎えた。この学校は、東山区北部の7小中学校(白川、新道、六原、清水、東山各小学校及び洛東、弥栄各中学校)の統合により誕生する。施設一体型の小中一貫校の新設は、市では平成19年度に開校した花背小・中学校に次ぐ2例目で、中心部での建設は初めてのケースとなった。
 基本計画の策定に当たっては、関係8学区の代表者等で組織される「小中一貫校新設検討協議会」で外観デザインを検討した後、7小中学校PTA代表・教員による「新校舎建設ワークショップ」で教室等のレイアウトが検討されるなど、地元住民や保護者等のアイデアを十分に反映する形で進められた。これによって、新校舎は新景観政策に即し、入母屋造屋根で京都・東山の街並みに調和した和風建築となっている。
 建設地は元洛東中学校敷地と元六原小学校敷地を活用し、校舎とグラウンド、体育館を各敷地に建設する。これらのうち、今回、洛東中学校敷地に整備された校舎については実施設計と建物施工を一括発注するデザインビルド方式として、金下・吉村・三和JVに付託された。

個性と機能を備えたコの字型校舎
古都に相応しい落ち着きあるファサード


 施設の特徴としては、9学年が共に学ぶ明るくゆとりある学習空間を実現するため、洛東中敷地に建築する新校舎は、小学1年生から中学3年生までの9学年すべての教室を配置した「コの字型」の形状とした。このため、教室はほとんどが南面採光で明るく8m×8.5mのゆとりある広さが確保されている。
 また、将来的な児童・生徒増にも対応できる構造としており、9学級の増加にも対応できる。校舎に囲まれた中庭は、小学生低学年の児童が安心して活動できる空間とするとともに、地下1階のランチルーム前にも、一体利用が可能な専用庭を設置した。
 グラウンドと体育館は洛東と六原の両敷地に整備し、余裕のある運動スペースを確保する他、安心・安全・快適な校内環境・学習環境を確保するため、玄関を見渡せる位置に職員室を配置。全ての教室に空調設備を設置し、図書室とコンピュータ室を一体化させて、2〜3階吹き抜けの開放的な「メディアセンター」として整備した。
 多様な学習形態に対応できる空間の創出を目指し、小学生の教室の近くにはオープンスペース又は多目的ルームを確保し、中学生の教室の近くには少人数教室を配置した。
 また、地域活動の拠点としての役割を果たすべく、洛東中敷地に建築する新校舎の地階に第1体育館、武道場、ランチルームをまとめて配置し、建物南側の地域開放用出入口からの動線を確保した。  開校後、六原小敷地に建築する新校舎の1階にも、地域交流ルーム、和室を配置し、第2体育館とあわせて地域に開かれた施設設計とした。
 新景観政策を踏まえた東山らしい外観を有する校舎を目指して、入母屋造の瓦屋根を配し、細い桟のある窓や白壁などの意匠要素を取り入れ、校舎外周には庇を巡らし、建物を水平に分節することで周辺の街並との調和を図るなど、落ち着きと風格のある和風の外観とした。
 新校舎は基本設計先行型デザインビルド(実施設計と建物施行を一括発注)で整備されているため、従来の整備手法に比べて経費の削減と整備期間の短縮効果が得られた。

確かな施工に貢献しました
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