建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年4月号〉

寄稿 北海道農政部・農業農村整備特集

平成22年度石狩振興局管内における農業農村整備について

石狩振興局 産業振興部 整備課長 守屋 明


石狩の基盤整備
 石狩管内の基盤整備は、昭和31年度からの篠津地域泥炭開発事業事業による石狩川右岸下流地域の約11,400haに及ぶ大水田地帯の開発に始まり、昭和の時代まで用排水・農道・ほ場整備といった基礎的な基盤整備が行われた。平成以降は水田の汎用化と作業効率向上を目的に暗渠排水や区画整理、用排水路等の2次的な基盤整備が行われ、担い手に農地が集積された。
 最近は、食味向上のための客土が行われている。泥炭地における米粒中の高タンパク値を低減するために、土壌からの窒素供給量の抑制や土壌中の可給態ケイ酸の含有量の向上が必要である。「安全で安心して食べることができる米づくり」のため砂質系土壌による客土を実施しており、21年度までに677haが整備された。指標として、加給態ケイ酸量を16mg/100g以上、加給態窒素量を10mg/100g以下、タンパク含有量8.5%未満を目標としている。

農業農村整備事業
 平成22年度の予算概要は、道営事業について執行予算ベースで、
・経営体育成基盤整備事業 (一般型)4地区330百万円
・経営体育成基盤整備事業 (面的集積型)17地区1,364百万円
・地域水田再編事業 3地区146百万円
・畑地帯総合整備事業 1地区22百万円
・一般農道整備事業 1地区129百万円
・特定農業用管水路等特別対策事業 2地区 90百万円
道営合計で28地区2,081百万円

団体営については、
・国営造成施設管理事業 (管理体制)5地区36百万円
・基幹水利施設管理事業 13地区177百万円
・新農業水利システム保全対策事業 2地区 218百万円

他に
・非公共事業のバイオマス利活用交付金事業1地区765百万円が実施されている。
 道営事業の5年間の当初事業費の推移では、
・18年度:39億円
・19年度:42億円
・20年度:33億円
・21年度:23億円
・22年度:13億円
と暫時減少傾向にあり、大幅に予算が減少された22年度は特に地元要望に応えられていない状況がある。このままで推移すると農家の営農計画に相当の支障が生じ、大幅な計画変更をしなければならない。
 国は自給率を50%まで引き上げるとしているが、排水改良等の基盤整備が進まないことで品質・収量が向上しない。
 21年度は冷湿害、22年度は高温湿害が発生しており、基盤整備事業で実施している暗渠排水等の効果があらためて評価されたところである。
 また、気象変動によるゲリラ豪雨が管内でも発生しており、一部排水路の整備を早急に実施しなければならない地域もある。面的な整備とともに用排水路の整備も重要な課題である。
 今後、20数地区ほどの面的整備を必要とする継続地区があり、予算の確保とともに農地や用排水路施設等の基礎的な基盤整備を効率的に実施、また、麦・大豆等の生産拡大に向うよう戦略的に事業を進めていくことが求められている。



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