建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年3月号〉

interview 北海道農政部・農業農村整備特集

創業90周年を迎えた村井建設

―― 長年にわたり農家の生産向上に貢献

代表取締役社長 村井 順一氏(釧路商工会議所 副会頭)

村井 順一 むらい・じゅんいち
昭和29年11月4日 生まれ
昭和52年 3月 日本大学生産工学部 土木工学科 卒業
昭和52年 4月 株式会社田中組 入社
昭和57年 4月 村井建設株式会社 入社
昭和60年 5月 同社 取締役社長室長 就任
平成 2年 7月 同社 取締役副社長 就任
平成12年 4月 代表取締役社長 就任
村井建設株式会社
釧路市住之江町12番17号
TEL 0154-22-1287

 釧路管内は北海道の東部に位置し、面積(5,997平方km)は茨城県に匹敵する。管内の農業は農業出荷額のうち畜産部門が全体の9割以上を占める酪農王国だ。なかでも乳用牛は約12万頭が飼育され、年間54万tの生乳を生産している。管内の出荷乳量の2割を高速貨物船「ほくれん丸」などで関東方面に供給。 農業農村整備事業は、近年の国際化の進展に対応した競争力の高い効率的で安定的な農業経営を可能とする生産基盤の整備を総合的に実施している。しかし、民主党政権が打ち出したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が実施されると釧路農業にも深刻な打撃を与えるのは必至。今回は釧路商工会議所副会頭、釧路建設業協会理事等を務め、ことし創業90周年を迎える村井建設株式会社の村井順一代表取締役にご登場いただき、地域農業と建設業の役割などについてインタビューした。

――創業90周年おめでとうございます。釧路市と合併した阿寒町が創業の地でしたね
村井 大正10年、阿寒町にあった(旧)雄別炭山で、祖父が炭鉱の下請として建築の仕事を始めたのが発祥です。石炭産業の衰退とともに雄別炭山が閉山したため、昭和41年からは土木建築業に専業しようと釧路に本社を移し、現在に至っています。  私は大学を卒業後、田中組で4年間お世話になり、57年村井建設に入社しました。平成12年に社長に就任しました。
▲社屋
――社長就任時は国の公共事業予算が大幅に削減されていた時期ですから、トップとしてプレッシャーもあったと思います問
村井 釧路の地場企業の多くがちょうど世代交代の時期でしたから、若手経営者はそれぞれにプレッシャーを感じていました。
――そうした状況下ですが、企業としての経営理念は
村井 当社は「地域社会へのより良い共生」を経営理念に掲げています。建設業はインフラ整備を通じて、様々な利便性や安全・安心を地域住民に提供しています。  私どもは、このことに使命感を持って業務の推進にあたってきました。本来の業務を通じて地域との信頼関係を築くことが会社発展の原動力と考えています。
――地域の農業農村整備事業に対する建設業の役割については、どのように考えていますか
村井 農業農村整備事業は良質な食糧を安定供給するとともに、農村の景観形成や環境保全などに大きな役目を果たしており、また受益者である農家の生産性向上や住みやすい地域づくりのために、地域と一体の事業として欠くことができません。  道農政部の簡易総合評価方式については、技術提案の地域貢献評価項目に、地域と協働で行う多面的な保全管理維持活動が企業評価に認められています。  実際のところ、昨年、宮崎県で発生した口蹄疫では地元の建設業者が被害を最小限に抑えるべく、昼夜を問わず過酷な防疫作業にあたりました。  当社も長年にわたり農業土木技術を培ってきた企業として、地域の一員としての関わりを強め、建設業者としての役割を果たすことが地域貢献の基本と考えています。
▲一般農道(一般)別寒辺牛地区第1工区
――釧路総合振興局農業土木安全協議会が、平成20年6月に19社で発足していますが、どのような活動をしていますか
村井 発注者と施工業者が連携し、労働災害防止のための安全管理の向上、農業土木技術の向上を図り、工事施工の円滑な推進に寄与することを目的に研修会などに取り組んでいます。  総合振興局では、昨年度から地元建設業の技術者を対象に農業土木工事における優秀技術者表彰制度がスタートしました。現場技術者には、従来の品質、工程、安全コストの管理能力だけでなく、総合性が問われています。
――TPPに対する反対の声が高まっています。釧路商工会議所の会員企業にも広く影響すると思いますが、どのように受け止めていますか
村井 道釧路総合振興局の試算によると、農業生産額と地域経済等への影響額は1,947億円にのぼり、15,000人の雇用を奪うとのことです。 農業、漁業が基幹産業の釧路管内の地域経済に与える影響は計り知れません。基盤整備を支える建設業界も一様に不安に感じています。  農業基盤整備は農家の受益者負担が伴うため、営農が困難になることにより、生産そのものが成り立たなくなります。農家の収入が大幅に減収すれば、メンテナンスの整備水準が下がるでしょう。基盤整備を請け負う建設業者は地域の防災活動も担っていることから、道が試算した数値だけでは予測できない様々な分野への波及が懸念されます。

会社概要
創  立:大正10年10月
設  立:昭和24年10月
資 本 金:9,980万円
許  可:北海道知事許可 (特-9号)第312号
業務内容:土木建築、とび土工、屋根、鋼構造物、
     舗装、内装仕上、浚渫、造園、水道施設工事


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