建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年3月号〉

寄稿 北海道農政部・農業農村整備特集

平成22年度 渡島総合振興局農業農村整備事業の状況

渡島総合振興局 産業振興部 農村振興課 課長 笠井 仁志


渡島の農業
 渡島管内は、南北に長く、気象や立地条件が異なることから、地域によって特色ある農業が展開されています。八雲町、長万部町の北部は、酪農の占める割合が高くなっているほか、養豚や肉用牛など畜産が主体となっております。鹿部町、森町の駒ヶ岳地区は、養豚が盛んで地域全体の農業産出額の約半分を占めているほか、森町濁川地区では地熱利用による野菜栽培も行われています。函館市、北斗市、七飯町の中央部は、気候に恵まれ野菜の生産が盛んなほか、「ふっくりんこ」に代表される米や花き、馬鈴しょなど耕種部門を中心に多様な生産が行われています。松前町、福島町、知内町、木古内町の南西部は、水稲が主体でしたが転作を契機に野菜の生産が伸びており、特に、全道一のニラ産地の知内町では、年間生産販売額が10億円を突破したことは大きな話題となりました。また、福島町では養鶏が、松前町や木古内町では、肉用牛の飼育が行われています。
 管内全体の農業算出額は、近年横ばい傾向となっていますが、農家戸数の減少や農業従事者の高齢化が進んでいることから、多様な担い手の育成や収益性の高い農業経営の展開が課題となっております。

▲広域農道整備事業 南渡島2期地区


渡島管内の農業農村整備事業概要
 平成22年度の道営農業農村整備事業は、14地区で当初予算10億24百万円となっており、経営体育成基盤整備事業、畑地帯総合整備事業、道営草地整備事業、中山間整備事業、広域営農団地事業、海岸保全整備事業、魚道整備事業など幅広く行っております。
 しかし、本年度を最後に長年にわたり渡島の顔として実施してきた3事業は終止符が打たれました。防災ダム事業の濁川地区(S55〜H17)、南部坂地区(H1〜H21)がそれぞれ完了し、海岸保全施設整備事業の知内地区(S56〜H22)、広域営農団地農道整備事業の南渡島2期地区(H2〜H22)が今年をもって完了となり、大型事業がそろって姿を消すこととなりました。
 今後の管内での基盤整備については、老朽化した用排水路の整備や新たな排水対策整備が主となり進められるものと考えております。本年度、道単独費で実施された緊急農地排水対策支援事業(団体営)では、一昨年の冷湿害の影響もあり、排水対策整備の必要性について農家の方々にも改めて認識され、大変多くの整備要望がありました。
 今後、渡島管内のように道営事業の採択要件を満す地域が限られ、ほ場の整備要望ヶ所が点在しているような地域にとっては、今回の緊急農地排水対策支援事業(団体営)のような制度による整備手法は大変有効であるとともに、地域の農業農村整備の推進に大きな効果を生むものと考えております。
 今、農家が何を要望しているのか、こちらから何を発信できるのか、そこを見分けながら地域に見合った整備を推進して行きたいと考えています。



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