建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年2月号〉

寄稿

平成22年度 根室振興局管内農業農村整備事業概要

根室振興局産業振興部農村振興課 課長 富岡 尊志


根室管内の農業
 管内農業は、昭和29年からの根釧パイロットファーム建設事業や昭和48年からの新酪農村建設事業が実施され、現在は1戸当たりの耕地面積が68.8ha(全道平均の3倍)、1戸当たりの飼養頭数120頭に及ぶ大規模な草地型酪農が展開されています。
 農家の経営耕地面積は、高齢化や後継者不足により離農が進む一方で、農地流動化に係る様々な施策などにより規模拡大が進んでいます。
 乳用牛の飼養頭数は、平成11年の184,800頭をピークに横ばい傾向にありますが、農家戸数の減少により、一戸当たりの飼養頭数は増加しています。
 平成21年度の生乳生産量は、約81万tで全道の2割、全国の1割を占めています。

管内農業の課題
 根室の酪農は、経営規模の拡大に伴い、労働力不足が課題となっているため、草地の利用集積・コントラクターによる省力化・TMRセンターの活用などの取組が進められてきていますが、今後もさらなる省力化、経営の効率化が必要となっています。
 また、飼料及び肥料価格の高騰・乳価の変動・貿易の自由化など、将来展望にも様々な課題を抱えており、一層の経営環境安定化が求められています。
 このほか、家畜排泄物の適正処理やほ場からの余剰窒素分の流出抑制など、環境負荷を軽減するための取組を一層推進していく必要があります。

▲ハウス水田による食育事業
農業農村整備事業の展開
 根室管内では、平成22年度当初予算で約18億円・37地区(団体営事業含む)を実施しており、内訳は道営事業で畑総事業2.6億円、農道事業9.1億円、海岸保全1.1億円、草地整備4億円、団体営事業1.5億円となっています。
 酪農においては、牧草の収穫のほか、生乳運搬及び飼料供給のため、交通網が大変重要であり、広大な土地を有し、運搬車両の大型化が進む根室管内において、農道の整備は急務となっています。
 併せて、粗飼料自給率の向上と生産性の安定のために、草地の起伏修正や排水改良等の整備は有効であり、今後も積極的に実施していく必要があります。
 環境保全対策としては、明渠排水路の植樹や水質汚濁防止施設の設置などを実施しており、今後は畜舎洗浄水やパーラー排水の浄化等に対する情報提供などにも取り組んでいきたいと考えています。
 また、持続的な農業・農村の発展のため、農地・水・環境保全対策事業、農山漁村プロジェクト交付金事業の他、小学校と連携し、ハウス水田による食育事業など多岐にわたる取り組みも行っています。



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