建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年1月号〉

interview

50周年記念事業に向け「オホーツクの森づくり」に取り組む

―― 若干27才で三代目社長に就任

北辰土建株式会社 代表取締役社長 鴨下 辰哉氏

鴨下 辰哉 かもした・しんや
昭和51年11月 24日生まれ
平成11年3月 北海学園北見短期大学 経営学科 卒業
平成11年4月 北見日産自動車株式会社 入社
平成13年6月 北辰土建株式会社 入社
平成15年4月 北辰土建株式会社 常務取締役 就任
平成16年3月 北辰土建株式会社 代表取締役社長 就任

 オホーツクに根ざして50年――北見市に本社を構える北辰土建株式会社は、橋梁建設を得意とする。この半世紀に手掛けた橋梁は750橋を超え、技術力を生かして道内にとどまらず、本州の現場にも積極的に打って出ており、静岡県では第二東名高速道路「大久保高架橋」の施工現場にも北辰土建の社旗がひらめいている。「橋を架け、人と都市を結び、自然と共生する、より快適な環境づくりに奉仕する」ことを経営の理念に掲げ、3年前に若干27歳で三代目としてトップに立った青年社長は、企業の社会貢献活動にも熱心に取り組む一方、「オホーツク二建会」事務局長としても活躍している。
――平成24年に会社創立50周年を迎えるとお聞きしました。記念事業の計画はありますか
鴨下 北辰土建は、祖父の重辰が昭和37年に北見市で設立してから、今年でちょうど50周年を迎えるので、50本の苗木を用意して記念植樹を計画しています。  二代目の父・公一が社長在任中から社会貢献活動に熱心に取り組んでおり、50周年記念事業の実施に向けて、21年度から北海道森林管理局網走中部森林管理署の「オホーツクの森自然再生モデル事業」に参加しています。昨年も7月にボーイスカウトの子どもたちと一緒にミズナラ、ハルニレ、イタヤカエデなどの稚樹20本を植えました。  この他にも、私の母校である北見市立中央小学校前の交差点で、新一年生の登校時に社員が黄色の旗を持って交通安全誘導するボランティア活動は、かれこれ15年ほど続けています。
――会社は子ども心にも身近な存在でしたか
鴨下 父の時代にバスを用意して社員家族を招いた現場見学会を企画し、私も子どもの頃に参加していたので、将来は建設業で身を立てることになるだろうと思っていました。  コンクリート構造物の大工さんを多く抱えているので、現場見学会が刺激になったかは分かりませんが、息子さんが大工を継いだケースもあります。  そうして平成13年に入社しましたが、昔から会社の隣に自宅があったので、会社の雰囲気は理解していました。
――大学では何を専攻しましたか
鴨下 経営学を専攻しました。いずれ家業を継ぐつもりでしたが、卒業後は武者修行のつもりで自動車のディーラーに入社しました。畑違いの業種でしたが、いろいろな人とのコミュニケーション能力を高めたいとの思いがあり、父に相談したところ賛成してくれました。  30歳くらいまでは勤めるつもりでしたが、祖父の体調が悪くなったこともあって、2年で退社し北辰土建に入社しました。
――自動車セールスの営業活動を通じて景気の良し悪しは肌で感じましたか
鴨下 公共事業が年々落ち込み、建設業は冬の時代に入るという認識は、その当時から持っていました。
――社長に就任したのが27歳でしたが、不安はありませんでしたか
鴨下 父が平成16年3月に59歳で亡くなりました。まだまだ若輩でしたが、入社3年後の27歳で社長に就任しました。私としては会長の叔父(鴨下泰久)が社長に就任するものだろうと思っていましたが、会長からも「全面的にバックアップする」と(社長就任を)説得されました。  公共事業は、総合入札方式や社会貢献活を重視するなど、発注の仕組みが大きく様変わりしています。公共事業の予算規模が激減するなかで、元請工事と下請工事と合わせて受注量確保に努めており、元請工事関係は私と営業担当、下請工事関係は会長と専務がそれぞれ手分けして行っています。元請受注はピーク時に比べて40%ほど減っているので、下請工事で何とかカバーするように努めているところです。
――会社の人的体制は
鴨下 従業員は約31人で、ほかに大工やPC工等が80人おり、総数は100人を超えます。この2、3年は、新卒者の採用を控えていますが、現状の体制を維持するように努めています。
――地元以外の受注状況は
鴨下 昔から橋梁を中心とするコンクリート構造物に特化しており、完工高20億円のうち90%が橋梁関係で、地域別にみると網走管内7億円で、管外が半分以上の約13億円に上ります。  本州の施工現場は大小取り混ぜて年間3〜4本あります。現在も新幹線や、東名高速道路の施工に携わっています。大手ゼネコンと連携して施工に当るので、技術力を磨くチャンスだと思っています。ただ、下請工事のウエイトが増えれば、勢い利益率の低下は避けられないのが痛いところです。  今後は橋梁の保守関係の発注が増えると思いますので、そうした分野にも力を入れていきたいと考えています。
――農業基盤整備の分野にも力を入れていますね
鴨下 昨年、長雨が続きましたが、暗渠を整備している農地では作物の生育が良いことを実感しました。食料自給率を高める上からも、農業基盤整備の重要性は認識しています。
――日ごろ、社員に訴えていることは
鴨下 モチベーションを高めるためにも、工事が完成した時の達成感を味わってもらいたい。われわれは地図に残る仕事をしているので、自信を持って取り組んでもらいたいと話しています。

会社概要
創  立:昭和37年1月16日
資 本 金:4,000万円
従 業 員:32名
業務内容:
 道路・農業土木・河川・上下水道処理施設・地下化工事・JR工事・
 橋梁工事(PC工事・鋼橋架設・床版・橋梁下部)・コンクリート躯体工事(ボックスカルバート・擁壁等)

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