建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2011年1月号〉

interview

上川地方は新潟県に匹敵する面積で農業は極めて重要な産業

―― 農業土木技術を持った建設会社の役割は大きい

株式会社 生駒組 取締役社長 生駒 雅彦氏
(上川農業建設協会 副会長)

生駒 雅彦 いこま・まさひこ
昭和29年4月22日生まれ
昭和52年3月 慶應義塾大学 卒業
昭和53年4月株式会社生駒組 入社
昭和61年5月株式会社生駒組 常務取締役
平成 6年5月株式会社生駒組 取締役副社長
平成13年1月株式会社生駒組 代表取締役社長
公職
社会福祉法人新生会 監事
社団法人旭川建設業協会理事
社団法人北海道上地改良建設協会理事
社会福祉法人旭親会評議員
社団法人北海道農業建設協会理事
上川農業建設協会副会長
旭川商工会議所常議員
社団法人旭川中法人会常任理事
更生保護法人旭川更生保護協会理事
社団法人北海道土地改良建設協会理事

▲北剣淵地区・客土工事 ▲剣淵地区・用排水路工事

――上川管内の農業の特色について
生駒 上川地方は北海道の中央で縦に細長く位置し、面積10,619Kuは全道の12.7%を占めています。これは、新潟県(10,363Ku)に匹敵する面積だそうです。耕地面積は、十勝、網走に次いで3番目となっています。北から名寄、上川、富良野の各盆地からなり冬期には最低気温-41.0℃(明治35年)、夏期には最高気温36.0℃(平成元年)、旭川地方気象台観測を記録しています。  また、南北に細長いため各地域での気象条件に差があり、北部、中部、南部と多様な農業が展開されています。  上川管内の農業は北海道農業にとって極めて重要な位置を占めており、特に平成18年の農業生産額は、約1,300億円で全道の約12%を占め十勝、網走に次いで3位となっています。米は空知に次いで2位、野菜は全道1位となっています。  また、平成21年産からは、上川農業試験場で生まれた「ゆめぴりか」が新たなブランド米として期待されています。
――生駒組として農業農村整備の取組について
生駒 農業土木工事は従来から当社の屋台骨の一つであります。現在(平成22年度)では、予算の落ち込む中で、上川、空知、十勝の3総合振興局(産業振興部)で受注しています。農業土木工事は一般の土木工事と違って、殆どの工事は農家負担が伴いますし、施工時期も収穫時期などに左右されますので、監督員や農家との打合せを密に行い、工事によって最大限の効果が早期に発揮されるよう良い工事施工を心がけています。
――地域農業と建設会社の役割について
生駒 農業農村整備事業の目的は、生産基盤や農村環境の整備と農地の保全管理を行う事によって、地域特性を生かした安全で良質な農産物の安定生産、高能率高収益の実現、快適な農村地域社会を築くとともに、農村地域の豊かな環境や財産を守ることとされています。  具体的施策として、担い手への農地集積、ほ場の大型化、暗渠排水、用排水の整備、農道整備や農村環境整備、さらには、農地や農業施設への災害を未然に防止し、農業の生産の維持・地域の安全を確保するための事業。これらの事業を推し進めるためには、長年培ったノウハウと農業土木技術を持った建設会社の役割が重要となります。  TPP(全品目の関税廃止を原則)への参加問題については、特に北海道が一番大きな影響を受けるため、熟慮に熟慮を重ねて慎重に結論を出していく必要があります。
――上川農業建設協会副会長としてお聞かせ下さい
生駒 公共予算の削減が続く中、特に平成22年度予算では農業農村整備事業の予算が半減されました。平成22年高温多雨等による農作物への影響調査結果によると、上川は十勝、オホーツクに続き第3番目の被害額(減収見込額=102億円)になりました。平成21年の冷湿害などの調査報告「基盤整備の有効性に関する調査報告」(北海道農政部農村計画課のホームページ)では、基盤整備の有効性が確認されています。  自然の力には計り知れないものがあります、しかし農業農村整備事業を推し進め被害を多少でも減らす事が出来れば、その後の立ち直りのスピードも違ってくると思われます。農家など地元から多くの整備要望がありますので、要望に沿った予算の確保をお願いしたいと思います。  平成22年11月9日閣議決定された「包括的経済連携に関する基本方針」によると、とりわけ農業分野について「高いレベルの経済連携の推進と我が国の食糧自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を講じるため、内閣総理大臣を議長とする『農業構造改革推進本部(仮称)』を設置平成23年6月をめどに基本方針を決定する。さらに競争力強化などに向けた必要かつ適切な抜本的国内対策並びにその対策に要する財源を検討し平成23年10月をめどに実施に移す」との方針がまとめられました。  農業農村整備事業と併せて、国際競争力の強化につながる経営規模拡大のための農地集約化等を早急に推し進める事が、地域の農業の安定のために必要とされています。
     
会社概要
創  業:大正13年
設  立:昭和25年
事業内容:道路新設改良・河川改修・隧道・橋梁・舗装・林業土木・農業土木・
     鉄道工事・ダム・上下水道・その他土木工事全般・建築全般
資 本 金:30,000,000円
建設業登録:北海道知事許可(特-18)上第00078号

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