建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年12月号〉

寄稿 「土木の日」〜 札幌建設管理部




●望月寒川広域河川改修工事(補正)(翌債) 岩田地崎建設株式会社 現場代理人 西垣 真吾氏

●小樽石狩線交付金117改築(橋台工)(翌債)工事 岩田地崎・萩原・田中工業 特定建設工事共同企業体
    石狩第2放水路橋作業所 所長 増田 祐二氏


▲場所打杭工 望月寒川広域河川改修工事(補正)(翌債)





地域に開かれた安全な河川空間を提供

望月寒川広域河川改修工事(補正)(翌債)
岩田地崎建設株式会社 現場代理人 西垣 真吾



▲鋼矢板打設状況


 私たちは望月寒川広域河川改修工事(補正)(翌債)の施工を担当しています。この望月寒川は、上流部の都市化などによる流出量の増大から流下能力が不足し、平成12年、14年と近年においても浸水被害が発生しています。普段は非常に穏やかな川ですが、降雨などの気象状況に大きく左右され、ものの数分で急変するという怖い川です。
 流域は豊平区、南区、白石区の3区にまたがり、流域内の居住人口は約15万人(8万世帯)にも上ります。その大部分が密集する市街地を流下しているため、現況では河道を大きく拡幅することは困難です。そこで、上流部において河川トンネルによる放水路を計画し、下流部の河道整備と合わせた河川改修を行っています。

▲激流 7月28日 ▲上部工撤去


 当現場は、その下流部の河道整備で、国道12号線から白石区平和通りに向けて延長約100mの河道掘削・護岸工・橋梁工を行うものです。
 この現場では、平成22年7月13日に西白石小学校4年生の現場見学会が行われました。“水辺の楽校“というプロジェクトの一環で、教育関係者・河川管理者・地域住民(町内会役員)・自治体・地域活動団体で構成される「水辺の楽校推進委員会」が主体となって様々な活動を行うものです。
 目的の一つは、子ども達や地域住民の方が望月寒川に触れて、自然観察、散策、水遊びなどができるような、身近な水辺を未来に引き継ぐことで、見学会はその中の「川の観察」(川の変遷)というテーマに即して行われたものです。改修によって、川がどのように変わっていくのかを把握するため、子どもたちは普段立ち入ることのできない工事現場で間近に観察しました。

▲場所打杭工 ▲工事見学会(2010年7月13日)


 当日は、前日の降雨で実施できるのか心配もありましたが、無事に実施することができました。普段は見ることのできない河川工事の現場をみてもらい、どのような手順で工事を進めていくかを説明しました。子ども達は、測量体験や重機への乗車体験をしたり、大きなクレーン等を間近に見て、とても関心を示していました。
 本工事の施工は、完成まで残りわずかとなっておりますが、一方では近隣住民とのコミュニケーション、河川環境への影響、資材運搬路・機械の設置位置など、様々な面に配慮しています。また、地域の人々に“川とのふれあい”“憩いの場”の提供として緩傾斜区間を設け、より近づけるような空間を構築します。
 今後とも完成に向けて、後戻りのないように施工順序、施工方法を綿密に打ち合せながら、安全第一で竣工を目指し、関係者一同作業を粛々と進めていく所存です。


工事内容
河川土工:掘削工2477m3
護岸工:鋼矢板307枚+仮設矢板29枚(429t) 
景観パネル:91枚(484u) 緩傾斜護岸積みブロック52u
帯工(1号・2号・3号):
 連節ブロック291.9u 根固めブロック(公称質量1t)237個
 魚道ブロック標準47個
付属物設置工:転落防止柵設置200m・擦付擁壁工・底版工
コンクリート:234.8m3【RC-1(80.9m3)C-4(126.9m3)C-1・C-10】
鉄筋工:2.8t【D13】
構造物撤去工(護岸ブロック):270.9m3(623.2t) 
区画6号橋 上部・下部工取壊し:1式(ワイヤーソー工法)
橋台工:場所打杭(φ1200 L=6.0m 5本)
仮設工:1式



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石狩湾新港地域開発基本計画に基づく石狩第2放水路橋の橋台工事

小樽石狩線交付金117改築(橋台工)(翌債)工事
岩田地崎・萩原・田中工業 特定建設工事共同企業体
石狩第2放水路橋作業所 所長 増田 祐二


事業概要
 道道小樽石狩線は、北海道後志支庁管内の小樽市と石狩支庁管内の石狩市を繋ぐ一般道道(225号線)である。石狩湾新港工業団地は、北海道と国内外を結ぶ重要な物流拠点として、近代的な港湾施設や物流機能を備えた地域性から、特に流通・食品・リサイクル関連企業などの企業進出が進んでおり、小樽石狩線を含めた道路交通網の整備が進められている。
工事概要
 本工事は、石狩放水路(計画流量500m3/secの直轄河川)を横断する下り2車線分の新橋の橋台2基を築造する工事である。新橋は、既設橋台(昭和55年12月に暫定断面により完成した橋長52.6mの一等橋)に上部工を架設することが耐震構造基準により困難なことから、現橋台の背面に新たな橋台を設置している。
 当工事を施工するにあたり、上り線の交通を常に確保することが指定条件であり、現道交通の保安対策には万全を期して施工を行っている。また、工事敷地内には石狩放水路を管理している光ケーブル・高圧ケーブルなど埋設物が多数確認され関係機関との事前協議により仮移設を行っている。
 橋台基礎となる鋼管杭は、L=48mと長尺なため、鉛直精度の向上・風速監視・検査管理体制の強化を図り、8月に無事打込みを終了した。11月現在は、橋台躯体工事を開始しており、耐久性向上を目的に、材料・施工・養生などに配慮して施工を行っている。橋台構築工事は、12月まで予定しており、その後埋戻し・護岸工・舗装復旧工などの整備工事を冬期に行い、H23年3月に竣工予定となっている。


おわりに
 当工事を行っている石狩放水路は、茨戸川と日本海の間に新たに設けられた水路で、昭和51年から工事を開始し、昭和57年に完成した洪水対策用の水路である。昭和56年の未曾有の大洪水(294mm/3日)の際も被害を最小限に食い止めた歴史もあり、かつ放水路周辺には自然もたくさんあり、市民の憩いの場となっている。
 石狩放水路には発電用の風車が4基設置されているように、風対策にはより慎重な配慮を行なわざるえない現場である。  発注者のご指導を頂きながら、企業体・専門業者一丸となり、無事故での工事竣工を目指している。


主要工事概要
橋 台 工:2基(鋼管杭φ800×64本 L=48m・コンクリート1,497m3)
橋台土工:16,620m3
護 岸 工:A=1,143u
構造物撤去工:V=174m3
光ケーブル移設工:1式
仮 設 工:鋼矢板仮締切 L=16.5m、155t
控杭タイロット式土留:268u





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