建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年11月号〉

北海道のJR駅と周辺整備〜JR野幌駅・JR白石駅

――地域再生を目指す白石と野幌




●JR野幌駅
●JR白石駅






駅の高架化事業が起爆剤

JR野幌駅


 江別市のJR野幌駅を中心とする野幌地区は、駅の高架化事業と合わせて周辺の土地区画整理や道路整備などが進められている。野幌駅周辺土地区画整理事業は、「第5次江別市総合計画」に位置付けられている「江別の顔づくり事業」の基幹事業の一つで、、野幌駅を中心とした南北市街地を一体化し、「コンパクトな市街地の形成」や商業・業務、交通、文化、交流、居住などの「都市機能の充実による中心市街地活性化」を目的としている。
 野幌地区は、国道12号沿道に広域商業施設など商業・業務施設の立地が進む一方で、駅周辺では未だ低未利用地が点在しており、中心市街地としてふさわしい土地利用が図られておらず、駅を中心とする拠点性が欠如している状況にある。また、JR函館本線により地区が南北に分断され、8丁目踏切では朝夕に慢性的な交通渋滞が生じていた。
 このため、道路・駅前広場等の公共施設の整備や宅地の再配置を行い、南北市街地の一体化と快適な中心市街地の形成を図るための基盤整備を目的として、野幌駅を中心とした約10.6haにおいて土地区画整理事業が開始された。
 土地利用計画としては、北側拠点街区は商業・業務等の高度利用・複合利用を図る街区とし、南側拠点街区は市民の生活・文化の複合施設用地及び中高層住宅用地とする。
 拠点街区以外の街区については、駅北地区の東側を商業・業務・住宅の複合施設用地とし、西側を主に住宅用地として土地利用を計画し、駅南地区については主に商業用地としての土地利用を計画している。
 公共施設計画としては、地区内外の連絡を図る幹線道路や駅を中心とする「駅環状道路」により駅周辺交通の円滑化を図る。駅前広場は鉄道とバス、タクシー等との交通結節点機能の強化を図るため、駅の乗降客数を勘案し、バスやタクシーの乗降場を適正に確保できる規模及び配置としている。
 区画道路は、都市計画道路の配置や適切な住区形成を考慮して計画。歩行者専用道路については、駅前広場や駅周辺公益施設へのアクセスの向上を図るために配置し、植栽により緑豊かで快適な歩行者空間を創出する。
 野幌駅付近鉄道高架事業は、JR北海道が平成13年度から北海道より事業調査を受託し、調査設計を進めてきた。
 また、江別市が推進している「顔づくり事業」の一環として、北海道が事業主体となり、北海道・江別市と協議を進め、平成18年6月には都市計画の変更が決定し、同年11月の事業認可と同時に、北海道と工事施工協定を締結。19年2月には仮線停車場設備新設工事に着手し、11月に下り線仮ホームおよび仮北口駅舎が供用開始。20年6月に仮下り線を切換後、一時施工として上下線間で駅郎高架橋の1柱を施工している。
 計画では、21年5月に仮上り線切換後、全線に渡り高架橋本体工事を進めていくことになっている。
 これによって、危険な踏切が廃止され、道路と鉄道の安全性が向上し、踏切による交通渋滞が解消されるとともに、鉄道で隔てられていた市街地か一体化され、南北の往来か自由となる。駅南北一体利用や高架下空間の有効利用、また新たな交差道路の整備が可能となり、飛躍的な利便性の向上が期待される。

事業概要
事業主体:北海道
工事区間:約2.4km(高架区間約1.5km、盛土区間0.9km)
駅  間:大麻〜高砂(高架駅:野幌駅)
駅形式:2面2線相対式
ホーム:幅員6m、延長6両対応
昇降設備:階段1箇所、エスカレーター1OOO型上下各1基、エレベータ1基(上下各ホーム)
踏切除却数:2箇所(国道踏切・6丁目踏切)
交差道路:8路線(9丁目通、白樺通、区画道路、8丁目通、旭通、7丁目通、中原通、高砂地下歩道(6丁目通))
施工方法:仮線方式(現駅北側、仮駅設置)
事業期間:平成18年度〜平成23年度

駅舎計画
旅客施設:コンコース、トイレ(多目的便所含む)、構内営業等
昇降設備:階段、EV計2基、ESC(1000型上下方向)計4基
旅客上家:ホーム・上家ともに長さ135m、幅員約6m(6両対応)
店舗計画:駅舎と隣接して店舗スペースを計画



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貧弱で懐古的な駅と不便な周辺の風景が近代化

JR白石駅



 白石駅周辺整備は、札幌市の「JR白石駅周辺地区市街地総合基本計画」に基づく協議により、平成15年度2月に基本合意し、駅前広場や駅舎内に自由通路を設け、駅舎の橋上化を進めるもの。16年度に調査を完了し、17年度には詳細設計を実施。19年3月に移転補償契約を行い、4月より工事に着手。新駅舎開業は22年度を予定している。
 JR白石駅周辺地区は、都心(JR札幌駅)から南東約5.2kmに位置している。その中核となるJR白石駅は、一日当たり約1万2千人の乗降客が利用しているが、駅北側の駅前広場は未整備で、改札口も無く、狭い人道橋を渡って駅を利用するなどアクセスの不便さが目立っていた。また、駅南側についてもバス乗降場の不足が指摘されていた。
 この状況を改善するため、市と地域住民等とのパートナーシップのもと、まちづくりの整備方針が策定された。交通アクセス性・乗継利便性の向上など、快適な都市空間を整備することとし、合わせて「まちの顔」としてふさわしい地域住民が愛着を持ち、管理に関われるような施設のしつらえについて検討してきた。
 その結果、交通結節点の改善を図ることを目的に、南北駅前広場やそれを結ぶ自由通路を整備し、北口駅前広場へのアクセス道路として、白石駅北通の整備を実施。また、併せてJR駅舎の橋上化を図ることが決定した。
 また、地域への情報発信にも努め、建築・環境デザインの専門家やJR北海道担当者、設計業者、市関係部局からなる意匠検討会やデザイン調整会議を開催し、施設デザイン等の検討を重ねた。一方、地元の街づくり協議会とは、都市計画決定以降にあってもデザインのみならず、施設完成後の管理活用についても協議を続けていく予定だ。

事業概要
@名称白石駅周辺整備
A施行者札幌市・JR北海道
B事業期間平成16年度〜平成23年度
C事業内容・北口広場整備(なし)5,100u
・南口広場整備2,700u→4,600u
・自由通路整備延長約60m,幅員10m
・駅舎橋上化約1,100u

駅舎計画
旅客施設:コンコース、トイレ(多目的便所含む)等
昇降設備:階段、EV計2基、ESC(800型上下方向)計4基
旅客上家:ESC棟部分の上家は駅舎の一部としてデザインを考慮
店舗計画:駅舎と隣接して店舗スペースを計画





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