建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年10月号〉

ZOOM UP

歴史性や伝統・文化後世に“新弥生小学校”誕生

―― 多様化する学習環境と地域に開かれた学校施設

北海道 函館市 弥生小学校新築事業


▲弥生小学校(鳥瞰)

▲弥生小学校(内観)


 弥生小学校新築事業は、平成4年学校教育審議会へ「西部地区における小学校の適正配置」の諮問から始まり、平成16年には西小学校と弥生小学校がともに生徒数の減少傾向が著しく「両校の統合について」諮問した。審議会からは「両校とも老朽化が著しく進んでおり、教育環境の改善が必要。より好ましい教育条件のもとに教育活動の一層の充実を図るため、両校の統合を実施、統合校の位置は現弥生小学校とする」との答申が出された。その後PTAや各団体への説明及び市民説明会等の実施を経て、平成21年4月1日より統合し、工事完了までは旧西小学校を仮校舎として使用している。
 建設にあたり、整備趣旨として、
 @多様化する学習環境に対応出来る施設A地域住民の避難所としての施設機能も兼ね備えた安全・安心な施設Bバリアフリー化に対応した施設C文化開放やスポーツ開放、学童保育所の併用など地域社会に開かれた施設D省エネルギーなど地域環境に配慮した施設E旧弥生小学校が景観形成指定建築物となっていたことに配慮するとともに、統合校として、西小学校と弥生小学校がこれまで培ってきた歴史性や伝統・文化を後世に伝え、継承する施設―などを整備基本としている。
 施設の特色としては、建設敷地の高低差を利用して地下1階から地上3階まで効率的な施設配置をし、特別教室や管理諸室は学校開放時の利用者の動線と管理の利便性に考慮した配置となっている。また、旧弥生小学校の特徴を表す正面玄関部分の外壁を保存するとともに外観を忠実に復元する。
 歴史・文化保存、地域に親しまれる建築物を大切にする函館市民の心は学校建築にも伝えられ“新弥生小学校”の完成が近づいている。




HOME