建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年9月号〉

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児童の安全と防災地域交流拠点の学校づくり

北海道 稚内市 富磯小学校校舎改築事業


▲富磯小学校 完成予想パース


 本校舎は昭和42年に旧耐震基準で建設された鉄筋コンクリート造りの2階建て、築43年の稚内で最も古い学校で、昭和62年に外壁面の改修工事を実施した以外は建設当時の構造のまま、宗谷海峡に面し海岸から吹き付ける浜風により塩害が進み、校舎の老朽も著しく校舎の耐力度も落ちていることが予想された。
 改築事業にあたり、児童の安全確保を最重点に、事業経費面や今後の児童数の推移、災害時に学校施設が避難拠点になることを視野に検討してきた。平成18年度に耐震化優先度調査を実施した結果、優先度ランク上位となった。平成19年度には地域やPTAからの強い改築要望が提出されたことも後押しとなり、耐力度調査を実施した結果、危険改築事業として、平成21・22年度の2ヶ年で事業を進めることになった。

●整備趣旨
 老朽化が著しく所要の耐力度を有しない富磯小学校の危険改築事業で、『安心・安全な学校づくり交付金』と『公立学校施設整備国庫負担金』を受け実施し、耐震化優先度調査結果から平成20年度に『稚内市学校施設整備方針』を策定し、小中学校の再編計画を考慮し耐震化の整備を進めている。

●施設面での特色
防災拠点、地域の交流拠点としての学校づくり
 津波から避難できる3階建で、3階を地域交流の拠点として広く展開できる教室配置とし、2階屋根部分は避難時に利用可能となっている。
環境に配慮、省エネ建物を目指す
 外断熱工法、断熱サッシとして熱損失の少なく、換気システムは熱交換型換気扇、校舎全体に風と光が届く吹き抜けとなっており、将来、屋上に太陽光発電を設置可能なつくりつなっている。
安心安全なユニバーサルデザインの学校づくり
 1階に低学年教室・特別支援教室・保健室・多目的教室と連携し、玄関の管理ができる職員室に大きな窓を設置している。
多様な学習環境を確保する
 普通教室前はワークスペースとして利用できる広い廊下があり、図書室・コンピューター教室はオープンな空間で木材を多用して温かみのある仕上げとなっている。家庭科教室には大きな外窓を採用し、内壁に木製レリーフを採用した。さけの飼育学習で日常観察が容易な水槽も設置されている。
厳しい環境に対する配慮
 外装を外断熱として躯体を保護し耐久性を向上し、塩害などによる錆が発生しないアルミなどの素材を採用した。


建物の概要
建物用途:小学校校舎
建設場所:稚内市富磯
構  造:鉄筋コンクリート造 3階建
延床面積:1317.36u(校舎棟 1284.78u 渡り廊下棟 3.42u 物置 29.16u)
主 要 室:1階 校長室 職員室 家庭科教室 保健室 特別支援教室 普通教室(1)
     2階 図工・理科教室 児童会兼放送室 普通教室(2)
     3階 図書室 コンピューター教室 音楽教室



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