建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年8月号〉

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「日本一寒い町」に環境に優しく暖かいエコ学び舎誕生

―― 多目的ホールは“地域のシンボル”カラマツ集成伐採用

北海道 陸別町 陸別小学校


▲陸別小学校 パース


 陸別小学校は近隣に陸別中学校・陸別保育所・住宅地及び陸別川が流れる閑静な環境の場所に位置している。
 陸別町は盆地のため夏・冬の寒暖差が70℃あり「日本一寒い町」と言われており、その寒さを逆手にとった「しばれフェステバル」が30周年を迎えている。
 また、平成元年に陸別町で、国内では31年ぶりとなる低緯度(赤い)オーロラの撮影に成功した。その自然環境を活かした「銀河の森天文台」があり、115cm反射望遠鏡を備えている。
 改築にあたり耐震診断・耐力度調査をおこなった。結果は校舎棟が改築で屋内体育館は安全となったことから、屋内体育館を残し校舎棟を改築することとなったが、屋内体育館と改築校舎との接続の関係から新校舎を完成させながら既設校舎を解体していく難しい工事となった。

改築コンセプト
1.地域のシンボルとなる学校づくり
 教室棟・多目的ホールの小屋組の大梁にカラマツ集成材を採用した。なお、多目的ホールの小屋組は格子状の梁がドーム状の曲線を描いている。集成材の多様性を可能とするデザインとなっている。
2.環境にやさしい学校づくり
 太陽光発電パネル17kwを設置する。また、児童が通る正面玄関近くの体育館の壁面に隣接するようにパネル設置をする。児童が登下校時に必ず目にする場所のため環境の意識が高まると考えられる。
3.情報化に対応した学校づくり
 多目的ホール内にパソコン室を設けて児童が気楽に使えるようになっている。また、一般開放した場合でも対応できるようになっている。
4.地域に開かれた学校づくり
 多目的ホールを中心とした図書室・特別教室を一般開放ができるようになっている。すでに、屋内体育館は一般開放が以前からしているため対応できるようにした。
 一般開放は防犯・管理上の問題があるため、実際に一般開放する場合は地域住民との話し合いが必要となる。

▲陸別小学校 内観パース


平面計画の特長
1.多目的ホールに開放された図書・読み聞かせコーナーを配置し、児童が昼休み等で気楽に利用しやすいようにないる。
2.多目的ホールと音楽室との壁が可動間仕切り壁とした。壁を移動させると音楽室がステージとなり、各種発表会・集会・イベントなどの多目的利用が考えられる。
3.普通教室の他にワークスペースを設け、その間仕切りは開放可能な建具とし多様な利用に対応出来るようになっている。また、ワークスペースでは可動本棚・収納ボックスで仕切りをしているため、目的に応じて可変な利用が可能となっている。
 以上が校舎改築にかかわる内容です。
 屋内体育館の構造はSRC造である。次の点について耐震補強・断熱強化・メンテナンス向上に基づき改修をする。
1.屋根架構に水平ブレースを補強する。
2.熱損失の多い開口部を約半分の面積とし、断熱補強し改修する。
3.照明器具は昇降式としメンテナンスの向上を図る。
 その他には外構整備があり駐車場・遊具・屋外物置の整備が平成23年度に行う予定である。
 最後に陸別では数十年間換気について公営住宅等で取り組んできた経緯がある。今回も校舎棟で採用したのが、教室の床下にパネルヒーターを設備し新鮮空気をパネルヒーターで温めて暖房・換気として室内に入る自然吸気型としました。ただし、夏型結露、消臭、殺菌のために木炭を床下に置きカビ等の対策をしている。

陸別小学校改築工事概要
工事期間:平成22年4月19日〜平成23年3月22日
構  造:鉄筋コンクリート造一部木造 平家建
建築面積:4,205.45u
床 面 積:校 舎 棟 3,072.06u(改築)
      体 育 館   789.75u(改修)
延床面積 3,861.81u



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