建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年6月号〉

寄稿

豊かな自然観光アクセスや酪農・漁業基盤整備を推進

釧路総合振興局 副局長 西尾 正己

西尾 正己 にしお・まさみ
昭和28年 7月17日生(56歳)
昭和47年 3月 道立美唄東高校卒業
昭和51年 3月 北海道大学工学部土木工学科卒業
昭和51年 4月 北海道職員採用(上級・土木)
昭和51年 4月 旭川土木現業所
昭和59年10月 土木部管理課
昭和63年 6月 土木部河川課
平成 2年 5月 帯広土木現業所技術部治水課河川係長
平成 5年 4月 土木部砂防災害課砂防係長
平成 8年 4月 土木部河川課ダム室ダム計画係長
平成10年 4月 室蘭土木現業所事業部治水課長
平成13年 4月 建設部砂防災害課課長補佐(平成15年6月同主幹)
平成16年 4月 稚内土木現業所企画総務部企画調整室長
平成17年 4月 稚内土木現業所事業部長
平成18年 4月 建設部土木局河川課参事
平成19年 6月 建設部土木局河川課長
平成21年 4月 釧路土木現業所長
平成22年 4月 現職



ご挨拶
 釧路・根室地域の皆様には、日頃より釧路建設管理部の事業につきまして、ご理解とご協力をいただき厚くお礼申し上げます。
 当地域は、豊かな自然を背景とした酪農などの農業や、近海に豊かな漁場を有する漁業などの一次産業が基幹産業となっており、これら一次産品を原料とした加工業なども盛んな地域でもあります。
 一方、当地域は、阿寒、釧路湿原、世界自然遺産の指定も受けた知床の3国立公園など自然に恵まれ、この豊かな自然や雄大な景観により多くの人々が訪れる観光地域にもなっております。当部では、これら地域の状況を踏まえ、阿寒や知床などの観光地へのアクセスや農水産物などの輸送及び広域医療に対応した道路整備、自然災害から人々の生命と財産を守るための河川整備や海岸整備、この地域の生産基盤となっている漁港整備などにより地域を支えつつ、人々が安全かつ安心して暮らしていけるための社会基盤整備や施設の維持・管理に努めています。
 道路については、地域高規格道路の根室中標津線や、釧路鶴居弟子屈線、知床公園羅臼線などの整備に重点的に取り組んでいるほか、釧路市などの都市圏域にあっては、市街地の渋滞緩和と交通ネットワークの強化を図るための整備を進めており、また、安全で円滑な交通の確保を目指し道路維持や除排雪を行っています。
 また、洪水などの災害を防ぐための釧路川などの河川整備や、釧路湿原の乾燥化を防ぐために久著呂川の河道安定化を図る自然再生事業に取り組むとともに、土砂災害などに備えるための砂防・地すべり・急傾斜事業や雌阿寒岳の火山噴火警戒避難対策事業を行っています。さらに、漁業の振興に資するため、地域と連携を図りつつ標津漁港などにおいて衛生管理型の漁港整備を進めるほか、野付半島の浸食対策など海岸保全事業にも取り組んでいます。
 現在、道財政は依然として大変厳しい状況にありますが、地域の方々の安全で安心した生活のための施設の整備、維持管理を今後も推進していくため、地元市町村や地域の方々の更なるご理解とご協力を得ながら事業に取り組んで参りたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

▲薫別川北線(B改-250)交付金工事 ▲釧路鶴居弟子屈線交安1種 交安1種(統合)工事


釧路総合振興局釧路建設管理部の平成22年度事業の概要
 当管内は、多くの国立公園や道立自然公園、世界自然遺産の知床などを有し、北海道の中でも特に自然環境に恵まれ、農業や水産業などの一次産業が盛んな地域である。
 道路は、地域住民の暮らしや産業の活性化を図る上で最も基本的な社会基盤の一つであり、当部では、農水産物の輸送や観光のためのアクセス、広域医療に対応した幹線交通ネットワーク整備を重点的に実施している。
 道路改良事業では、釧根トライアングル構想の一翼を担う地域高規格道路・根室中標津線において、床丹橋の完成を図るほか、ポントコタン橋の整備に着手することを予定している。また、世界自然遺産「知床」の玄関口である羅臼町市街地と羅臼町相泊地区を結ぶ唯一の道路として、知床公園羅臼線の整備を集中的に実施しており、落石対策などを継続して実施することを予定している。釧路市と鶴居村を結ぶ釧路鶴居弟子屈線では、「安全で安心な道づくり」を目指し、交通安全事業や交付金事業を活用して集中的に視距改良、線形改良を行っており、雪裡橋の上部架設等を実施することを予定している。知事代行では、白糠町の明治通において恋問3号橋の上部架設、床版工などを実施し、工区全体の完成を図ることを予定している。街路事業については、中標津町の3・3・13西町通に新規着手し、用地測量、物件調査などを実施することを予定している。
 空港事業については、中標津空港で老朽化した電源局舎の改築及び電源設備の更新を実施することを予定している。

▲H21 釧路川広域河川改修工事2工区(補正) ▲散布(火散布)漁港地域水産基盤整備工事2工区


 河川などにおいては、近年、ゲリラ的な集中豪雨や台風の発生など異常気象により、激甚水害や土砂災害が頻発しており、住民の生命や財産を守りだれもが安心して暮らせる地域をつくるために、防災・減災の観点から国土保全施設の整備を進めている。
 河川事業では、釧路湿原自然再生の一環として釧路川支流久著呂川において、湿原への土砂流入を軽減する目的で河道安定化対策として帯工を実施するほか、護岸工を実施することを予定している。釧路のシンボルである釧路川では、治水対策を進めるとともに市民や観光客の憩いの場となる河川空間整備を進めており築堤工、護岸工を予定している。また、道州制特区推進法に基づき、昨年度まで直轄事業により実施していた標津川指定区間が移譲されることになり、今年度は、築堤工及び樋管工を実施することを予定している。
 砂防事業では、羅臼川の砂防ダムにおいて前庭工、魚道工を実施し、雌阿寒岳の火山噴火警戒避難対策事業を引き続き実施することを予定している。また、急傾斜地崩壊防止事業では、根室浜松と釧路市材木町1地区を実施し、このうち、釧路市材木町1地区で完成を図ることとしている。地すべり対策事業は、ピリカウタでアンカー工などを実施することを予定している。
 建設海岸事業では、津波・高潮・波浪による海岸侵食や決壊などから国土を保全するための整備を進めており、野付崎海岸、伊茶仁海岸において引き続き侵食対策事業を実施し、野付崎海岸は自然に配慮した自然と共生する海岸整備を進める。また、古多糠海岸において堤防の老朽化対策に着手するほか、水取場海岸、後静海岸において津波・高潮対策として堤防工事を実施し、完成を図ることを予定している。
 漁港事業では、標津漁港で標津町地域ハサップ(HACCP)と連携した衛生管理型漁港整備を進めており、今年度は屋根付岸壁の整備を実施し、尾岱沼漁港でも屋根付岸壁施設などの衛生管理型漁港の整備を進めることを予定している。




HOME