建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年3月号〉

寄稿シリーズ

「土木の最前線から」
〜札幌土木現業所・小樽土木現業所編

社会基盤整備に懸命に取り組む現場代理人

札幌土木現業所

●江別恵庭線 改築工事その2　株式会社 北英建設　現場代理人　黒沼　淳也氏

小樽土木現業所

●3・2・4臨港線　1種改築工事外　福津・岩倉・近藤 特定建設工事共同企業体　現場代理人　南方　省二氏氏
●美谷漁港海岸高潮対策工事　長･勇 経常建設共同企業体　現場代理人　佐藤　正之氏
●余市川改修工事3工区(左岸)　和田・中村 経常建設共同企業体　現場代理人　佐藤　秀利氏
●ワッカタサップ川改修工事1工区(道州)　櫻・工藤 経常建設共同企業体　現場代理人　古里　幸男氏
●倶知安ニセコ線　交付金雪外工事(雪崩予防柵)　道ガソン・ニワ 経常建設共同企業体　現場代理人　山内　健市氏
●岩内洞爺線道路改良工事　横関・宮永 経常建設共同企業体　現場代理人　山下　秀一氏

▲3・2・4臨港線　1種改築工事外

江別恵庭線 改築工事その2

江別恵庭線 改築工事その2　株式会社 北英建設　現場代理人　黒沼　淳也氏

黒沼　淳也　くろぬま・じゅんや 昭和47年 2月26日生まれ 平成 4年 3月 専修大学北海道短期大学　土木科　卒業 工事履歴 平成12年 1月 国庫補助事業　3・2・10環状通道路改良工事(その8)　現場技術員 平成12年 5月 一般国道278号南茅部町東古部災害防除外一連工事　現場代理人 平成12年12月 緊急地方道路整備事業　3･4･152苗穂中通道路改良工事　現場代理人 平成13年 7月 然別余市線　災害防除工事　現場代理人 平成14年 3月 知床公園羅臼線道路改良工事3工区(0国債)　主任技術者 平成14年 9月 知床公園羅臼線道路改良工事3工区　主任技術者 平成15年 3月 3.4.8.中央通2種改築工事2工区(補正)　現場代理人 平成16年 3月 国庫債務負担行為道道京極定山渓線(2511林班)道路改良工事　現場代理人 平成17年 9月 一般国道452号夕張市鹿島改良外一連工事　担当技術者 平成18年 8月 一般国道452号三笠市桂沢法面補修外一連工事　監理技術者 平成19年10月 旧藻岩第2幹線緊急管路化工事NO.4-0001　担当技術者 平成20年 7月 滝野公園清水沢口横断歩道橋工事　監理技術者 免許・資格 平成10年 3月 1級土木施工管理技士 平成20年 2月 指定建設業監理技術者資格

▲施工状況全景(左：国道12号線、右：国道275号線)

▲CI-CMC工法の現道近接施工状況

施工技術について
　今回の工事は、地盤改良がメインとなっており、CI-CMC工法とLDis工法の2工法が選定されています。どちらも変位抑制型のスラリー系深層混合処理工法です。
CI-CMC工法は、大型機械攪拌による2軸同時施工で日進量が期待できますが、その反面、機械本体の重心が高く大型であるため転倒防止や打設方向の検討等、配慮が必要です。
　また、今工事箇所は現道の近接及び麻別川の両岸に位置しており、非常に狭小範囲での施工であったため綿密な施工計画が要求されました。
　LDis工法は、ボーリングマシンによる小型機械での施工で、麻別川法面付近を施工するものです。低変位型ではありますが、河川法面部や現道橋梁に変位がないか、排土量を管理し自動追尾型測量機器により常時観測しながら施工しています。
　対象地盤は泥炭部の自然含水比(Wn=400〜1000%)が高くその範囲が大きいのが特徴です。より均一な品質を確保するため、エリア毎の試験施工により最適な配合を決定し、施工管理を行っています。 　冬期間の施工でかつ風が吹き抜ける地形ため、スラリーの温度は影響を受けやすく温度管理を徹底し品質を確保しています。
　現場は、国道12号線と国道275号線をつなぎ、傍には江別西インターがあるため、特に朝夕のラッシュ時には交通量が多く、安全面には非常に気を遣っております。大型車両が多く出入りするするため、近隣住民への施工方法の説明や定期的に要望等を聞き入れ積極的にコミュニケーションを図って施工しています。

3・2・4臨港線　1種改築工事外

3・2・4臨港線　1種改築工事外　福津・岩倉・近藤 特定建設工事共同企業体　現場代理人　南方　省二氏

　私たちは、小樽港の3・2・4臨港線1種改築工事外の施工を担当しています。この工事は道路の地盤改良や、JR跨線橋の撤去などによる改良工事です。現場は札樽道の小樽出入口とウィングベイ小樽の間近にあり、交通量の多い場所で、通勤、通学路となっていることから、仮歩道を設置しています。しかし、橋桁撤去の際には仮歩道も1週間にわたって通行止めにしなければならないため、施工法を変更して3日間に短縮しました。
　施工に際しては、地域住民にチラシを配布して周知するほか、作業内容が変更する場合は各世帯を訪問して説明するなど、情報公開に努めました。
　現場においては、クリーンな作業環境を守るため、ウォーターバイオトイレを設置したり、作業員の通勤車両の消費燃料と走行距離から燃費やCo2排出量を算出し、環境意識の啓発・昂揚に努めています。
　施工においては、橋台の切断をワイヤーソーで行うため、作業用水が必要になりますが、施工時期が、12〜2月(工期は7月22日〜3月23日)までの冬期間で、厳しい季節風に晒されることから凍結防止に配慮が必要でした。工期も残りは僅かですが、完成に向けてトラブルなどが発生しないよう、現場はもとより周辺環境にも細心の注意を払って仕上げていきます。

美谷漁港海岸高潮対策工事

美谷漁港海岸高潮対策工事　長･勇 経常建設共同企業体　現場代理人　佐藤　正之

▲ブロック製作 クリックすると拡大したものが開きます。	▲離岸提据付予定箇所 クリックすると拡大したものが開きます。

　私たちが担当しているのは、美谷漁港海岸高潮対策工事です。この漁港のある寿都町は、道内でも特に風の強い地域で、冬期間には強烈な季節風が日本海側から吹き付けます。過去の記録では、1952年に最大風力49.8mという台風なみの強風が観測されました。これは全国でも4番目とのことです。
　美谷漁港はこうした強風により、常に高波や高潮、さらには津波の不安に悩まされてきました。そこで、今年度から離岸堤を施工し、安全度を高めることとなりました。毎年、強風と高波の恐怖にさらされ続けてきた地域が安心できるよう、私たちは対策効果が確実に得られることを目指して確かな施工に邁進しています。

余市川改修工事3工区(左岸)

余市川改修工事3工区(左岸)　和田・中村 経常建設共同企業体　現場代理人　佐藤　秀利氏

▲河道掘削状況	▲掘削完了後

　私たちは、余市川改修工事3工区(左岸)の施工を担当しています。
　余市川の河口は余市町市街地を流れています。近年まで大雨で増水すると町中心部まで内水被害があり、人々を苦しめてきました。そんなことから、道内で唯一「緊急対策特定区間」に指定され、その対策整備が実施されてきました。当工事は、その区間に隣接した河道掘削をすることで、河川氾濫をさらに抑制し、余市町に暮らす人々に安心安全を提供する目的です。
　当施工は3月の完成を目指し、着実な施工に心がけています。

ワッカタサップ川改修工事1工区(道州)

ワッカタサップ川改修工事1工区(道州)　櫻・工藤 経常建設共同企業体　現場代理人　古里　幸男氏

▲右岸護岸工	▲左岸護岸工

　私たちはワッカタサップ川改修工事1工区を担当しています。この工事は、市街地上流部でオロッコ川からワッカタサップ川への分水路を建設するもので、京極町の市街地周辺の洪水被害を軽減するのが目的です。そこで河積を確保して流量も増やすため、掘削工・護岸工を実施しています。
　同時に、この川は市街地周辺に位置するので「ふるさとの川づくり整備計画」に基づき、景観や環境に配慮することになっており、水際植生の保全や河畔林の保護のほか、魚類の棲息に配慮して、現況の河床の保全・復元も行っています。洪水調節という本来の機能はもちろん、地域住民の憩いの親水空間ともなるので、私たちは丁寧な施工に努めています。

倶知安ニセコ線　交付金雪外工事(雪崩予防柵)

倶知安ニセコ線　交付金雪外工事(雪崩予防柵)　道ガソン・ニワ 経常建設共同企業体　現場代理人　山内　健市氏

▲雪崩予防柵基礎床堀り状況

はじめに
　倶知安ニセコ線(北海道道58号線)は、後志支庁管内の倶知安町と蘭越町を結ぶ主要道路であり、沿線には五色温泉・お花畑等がある他、岩内洞爺線(パノラマライン)と接続され観光用道路として重要な役割を果たしておりますが、冬期期間には豪雪地帯で一部(倶知安花園〜五色温泉付近)通行止めになります。
　本工事は、ニセコ町から五色温泉に向かう唯一の道路である倶知安ニセコ線の安全を確保するために雪崩予防柵(柵高4.5〜4.8m、柵長5.5m)を設置する工事です。
施工状況
　当現場は、雪崩予防柵4〜5基を1スパンで区切り、施工しています。基礎コンクリートを1基当たり25m3打設後、基礎周囲を埋戻し植生土のうを積上げ、グランドアンカー(引張型SCアンカー)により緊張・定着後に、雪崩予防柵(静電粉体焼付塗装)を建て込みサポート柱(H-150)をアンカーボルトM30で固定し、支柱(H-200〜250)周囲を無収縮モルタルで充填し固定する事により完了となります。
　積雪深6mという特異な地域で毎日が除雪からの始まりですが、協力会社の機動力と技術力により、現時点で工程の遅れもない状態で進行しています。
おわりに
　この工事の完成により、雪崩が心配で五色温泉へ行く事ができない人達が安心して通行する事ができる路線になる事を切に願います。

岩内洞爺線道路改良工事

岩内洞爺線道路改良工事　横関・宮永 経常建設共同企業体　現場代理人　山下　秀一

▲道路土工の路体盛土施工状況

　当工事は後志管内蘭越町「岩内洞爺線」の道路改良工事です。
　当現場は一般交通の供用が行われていない箇所であるため、交通規制などは必要がありませんが、山間部を新規に施工する箇所であるため、自然環境保全に配慮しながらの施工をしています。
　工期は平成21年9月16日から22年3月23日までとなり、主な工種として道路土工とカルバート工があり、ボックスカルバート(内空H=1500 W=3500)により河川を切り替え、約20000m3の盛土を行います。