建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2010年2月号〉

寄稿シリーズ

「土木の最前線から」
〜旭川土木現業所・室蘭土木現業所・網走土木現業所編

管内のもつ地域資源を生かし特殊性に配慮した基盤整備が進捗



旭川土木現業所


●中川橋梁 新谷建設 株式会社 現場代理人 山田 哲氏
●富良野川改修工事ヌッカクシ富良野川分水路地区1工区 生駒・草野 経常建設共同企業体 現場代理人 山崎 豊氏
●3・3・15永隆橋通交付金工事(宮前工区) タカハタ・安田 経常建設共同企業体 現場代理人 土谷 秀樹氏
●富良野川砂防工事 3号ダム 株式会社 丸善建設 現場代理人 村田 完吾氏
●中愛別上川線 交付金(改築)工事(吉布橋) 飯島・三和 経常建設共同企業体 現場代理人 岡村 英樹氏

室蘭土木現業所


●波恵川改修工事1工区 幌村・玉川 経常建設共同企業体 現場代理人 遠山 亘祐氏
●鷲別漁港 地域水産物供給基盤整備工事 道南綜合・木村 経常建設共同企業体 現場代理人 斉藤 昌聡氏

網走土木現業所


●オホーツク流氷公園整備事業遊戯施設整備工事外 五十嵐・タカハタ経常建設共同企業体 現場代理人 伊藤 優治氏


▲中愛別上川線交付金(改築)工事(吉布橋) 上部工コンクリート打設状況


 地域活性化と景気対策を含めた21年度道予算に基づき、昨年に工事発注された基盤整備は、年度内完成に向けて着実に進められている。各事業とも地域の特色を反映し、例えば旭川土木現業所では、米どころの上川管内において、米作農業と観光資源を生かすインフラ整備が進められ、室蘭土木現業所では有珠山の噴火による災害という自然条件に配慮し、安全、安心を重点とした整備が行われ、網走土木現業所では、肥沃な漁業資源と流氷を擁するオホーツク海や、世界遺産の知床を生かすための整備が進められている。





中川橋梁

中川橋梁 新谷建設 株式会社 現場代理人 山田 哲氏


▲地盤改良工(パワーブレンダー工法)


 当工事は、北海道旭川土木現業所発注の道道問寒別佐久停車場線の道路整備事業として中川町市街地と佐久を結ぶ区間の改良工事に伴い、トヨマナイ橋の幅員狭小により架け替えを行う工事です。
 現場の先行工事(他工事)で迂回路工事・旧橋解体工事・土留工事を行い、9月中旬より当工事の施工に入り、工事進捗率は1月15日現在70%で無事故無災害できております。
 天塩川支流のトヨマナイ川は、濁度の少ない清流としても有名で秋サケの遡上時期には日に数匹が毎日確認されました。そのため排水処理に配慮し濁水処理装置を設置して、中性無機凝集材を使用し河川環境保全に努めました。
 トヨマナイ橋は、桁長24.1mで既製PC桁としては2番目に長さがあり、輸送・設置に協力業者と事前施工検討会を開いて、施工及び安全対策に万全を期して架設しました。
 他に私が初めて経験する新規工種として軟弱地盤改良工(パワーブレンダー工法)、擁壁(ハット型鋼矢板)打込工(ダウンザホール工法)等を行い橋梁工事に付帯する改良工事も行い施工区間を開放する予定です。
 施工計画の段階から天塩川の水位観測及び迂回路の通行状態を把握する為に遠隔操作カメラを現場に設置して、現場事務所からと休日には自宅のパソコンから監視を行い不足の事態に速やかに対処出来るようにしています。
 3月末の工事完成に向けて、発注者(旭川土現美深出張所)のご協力により『明るく厳しく災害“0”へ』をスローガンに無事故で完成という目標に向かって進めています。

▲擁壁(ハット型鋼矢板)工(ダウンザホールハンマー工法) ▲360t吊りクレーンによるPC桁架設状況


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富良野川改修工事ヌッカクシ富良野川分水路地区1工区

富良野川改修工事ヌッカクシ富良野川分水路地区1工区 生駒・草野 経常建設共同企業体 現場代理人 山崎 豊氏


▲地盤改良状況
▲クリックすると拡大したものが開きます。


 当現場は十勝岳連邦、夕張山地及び幌内山地に囲まれた富良野盆地に位置する農業が盛んな中富良野町にあります。
 本工事はヌッカクシ富良野川の治水安全度を上げるため、分水路を設けて富良野川へ通水させる工事ですが、工事箇所周辺が軟弱地盤となっており、粉体噴射攪拌工法(DJM工法)により改良しています。
 工事期間中は最低気温が-20℃を下回ることが珍しくない地域ではありますが、地域の方々とコミュニケーションをはかりながら企業体職員及び協力会社全員が一丸となって工事を完成させたいと思っております。


工  期:平成21年10月7日〜平成22年3月30日
工事概要:工事延長 L=384.48m
     粉体噴射攪拌(DJM工法)
     Φ1000o 杭長 3.0m〜11.7m
     N=1,734本


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3・3・15永隆橋通交付金工事(宮前工区)

3・3・15永隆橋通交付金工事(宮前工区) タカハタ・安田 経常建設共同企業体 現場代理人 土谷 秀樹氏


▲土工事 ▲橋梁取壊し


 旭川の新しい都心づくりをめざす「北彩都あさひかわ整備計画」の一環として鉄道高架事業が進められています。
 当企業体は、そのうちの関連街路事業3・3・15永隆橋通交付金工事(宮前工区)を施工しました。当工事は、宮前地区と神楽地区を結ぶ路線の一部で延長L=246mです。
 主な工種は旧誇線橋の桁部、橋脚の解体撤去をはじめ、土砂掘削、車道及び歩道の新設、路盤・舗装、電線共同構、排水工などです。  工事場所は当工区のほか、JRの高架工事、旭川市発注の上下水道工事、ガス、電気工事などが同時に行われました。各工事が輻輳し工程調整に苦心しましたが、各施工者の協力のもと、工事が円滑に進められました。
 なお、解体した旧高架橋は、現場内において定められた粒径に小割し、路盤材として使用し再生活用が図られました。
 また、発注者と協議のもと、旭川市消防署と協力し、旧誇線橋を利用した応急はしご救助訓練や構造物の穿孔、切断の模擬などの消防・防災馴練、併せてAED(自動体外式除細動器)の実践講習を行い、社会貢献や救急体制の充実に努めました。


工 事 名:3・3・15永隆橋通交付金工事(宮前工区)
施工場所:旭川市宮前通東
工  期:平成21年6月24日〜平成22年2月1日
工事内容
道路土工(土砂掘削):19,000m3
排水工(地下排水):1式
路盤工(車道):5000u
   (歩道):2000u
舗装工(車道):4700u
   (歩道):2000u
電線共同溝工:1式
構造物撤去工:1式(橋脚4基)
仮 設 工:1式


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富良野川砂防工事 3号ダム

富良野川砂防工事 3号ダム 株式会社 丸善建設 現場代理人 村田 完吾氏


▲施工状況全景


本工事の施工目的
 本工事は、土石流や十勝岳噴火に伴う火山泥流対策として富良野川の既設砂防3号ダムの嵩上げを目的に垂直壁、左岸の第3側壁護岸工、第3水叩工及び下流の護床・護岸工を新設する工事です。私たちは当事業の趣旨を良く理解するとともに、土石流や火山泥流の恐怖から地域住民の方々が安全に安心して生活できるように、確かな施工で全力で取り組んでいます。

▲3号ダム完成予想図 ▲第3水叩防寒囲い全景

工事概要
砂防土工:
・掘削工 L=181m、V=3040m3
・盛土工 L=180m、V=7910m3
コンクリートダム工:
・垂直壁工 L=102.7m、V=977m3
・第3側壁護岸工 L=17.9m、V=338m3
・水叩工 L=91.9m、V=2008m3
護床工:
・護岸工
・根固めブロック N=538個
・連節ブロック N=355個
全コンクリート量:約149,000m3
土石流及び泥流堆積量:1,950,000m3
工期:平成21年7月29日〜平成22年2月22日


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中愛別上川線交付金(改築)工事(吉布橋)

中愛別上川線 交付金(改築)工事(吉布橋) 飯島・三和 経常建設共同企業体 現場代理人 岡村 英樹氏


▲主桁架設状況 ▲上部工コンクリート打設状況


 当工事は、上川町に位置した吉布橋(きっぷばし)の老朽化による改築工事です。
 旧橋は昭和25年に、当時国道として利用されていた現路線に建造され、平成20年までの約60年の長期に渡り、多くの人に利用されてきた歴史ある構造物です。
 改築は橋梁下部(逆T式橋台)2基、橋梁上部(プレテンション桁)L=24.8mで、平成21年7月から着手し、22年3月の完成予定です。
 冬期に向かっての施工となるため、コンクリートの品質管理を十分に行い、旧橋よりも長い期間利用されるよう、着実な施工を心がけています。


工事概要
橋梁下部工 逆T式橋台 2基
橋梁上部工 プレテンション中空床版桁 N=12本
護 岸 工 張ブロック A=933u
車道路盤工 凍上抑制層 A=687u
      下層路盤   A=705mu
      AS安定処理 A=554u
車道舗装工 粗粒度アスコン A=609u
      細粒度アスコン A=716u
構造物撤去工 旧橋解体、
        仮道・仮橋撤去 1式


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波恵川改修工事1工区

波恵川改修工事1工区 幌村・玉川 経常建設共同企業体 現場代理人 遠山 亘祐氏


▲波恵川改修工事 施工状況


 私たちは、波恵川改修工事1工区の施工を担当しています。波恵川は昭和37年の洪水により、家屋浸水や農地被害などの多大な損害が発生したため、42年から改修が進められていました。ところが、56年、平成4年、13年、15年にも家屋や農地の冠水被害が発生したため、現在は堤防新設や河道掘削による河積の拡大を行っています。
 施工に当たっては、現況の河道を活かし、植生が早期に回復できる護岸を採用し、山側には現況河岸や河畔林を設置するなど、自然環境に配慮した工法を採用しています。

工事概要【当初】
施工延長:L=250m
 掘削工 L=250m V=16,100m3
 築堤工 L=450m V= 3,030m3
 護岸工 L=148m A= 878u
 取水堰 1基
 取水桶門 1基
 用水路  L=89m
工期【当初】
平成21年9月30日〜平成22年3月30日


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鷲別漁港 地域水産物供給基盤整備工事

鷲別漁港 地域水産物供給基盤整備工事 道南綜合・木村 経常建設共同企業体 現場代理人 斉藤 昌聡氏


▲鷲別漁港工事 施工状況


 私たちは、鷲別漁港地域水産物供給基盤整備工事の施工を担当しています。この鷲別漁港は毎年、航路や泊地に砂が堆積する上に、波が収斂するために航路帯や港内の静穏度が低く、安全な操業が困難でした。このため、刺し網の出漁日数は制限され、大型漁船や定置網漁業の利用においても水深に制約がありました。さらには恒常的な浚渫によって、周辺海域から多量の土砂が移動喪失するために汀線が減少し、ホッキ漁場での生態系に悪影響が及ぶことが懸念されていました。
 そこで、外防波堤・砂防堤を整備し、既存の東防波堤を改良するほか、南護岸を新設し、埋塞カ所の浚渫によって安全な-3.5m航路を確保することになりました。

工事概要【当初】
防砂堤:L=65m
 基礎工 L=65m
 場所打式本体工 L=65m
 被覆・根堅め工 L=65m
 上部工 L=65m
 仮設工 1式
工期【当初】
平成21年8月12日〜平成22年3月30日


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オホーツク流氷公園工事概要

オホーツク流氷公園整備事業遊戯施設整備工事外 五十嵐・タカハタ経常建設共同企業体 現場代理人 伊藤 優治氏


▲あおぞら交流館(公園管理事務所・多目的ホール) 外観


はじめに
 北海道立オホーツク流氷公園は全道で11番目の道立の広域公園で、オホーツク圏の紋別市に位置します。「試みて進化する広域公園〜流氷を望み潮騒が聞こえる大いなる風景 緑豊かな手づくり公園」をコンセプトに平成14年度から事業を開始、平成21年11月15日に一部開園し、平成25年度に全面開園を予定しています。みんなでつくり、まもり、そだて、みんなが愛着をもてる公園を目標に掲げ、設計段階から計画づくりに住民が参加、ワークショップを開催するなど地域密着型、住民参加型の公園として新たな試みをもった公園です。

▲ジャンプ山全景 ▲竪穴式遊具(完成予想図)


工事概要  当現場の主体工事は大型屋外遊具2基で、「ジャンプ山」はトランポリンを山型にしたような遊具で表面を覆う膜の中に地中より空気を送風して膨らまし、その上を飛んだり跳ねたり滑ったりする人気のある遊具です。「竪穴式コンビネーション遊具」は紋別にあるオムサロ遺跡に関連し竪穴式住居をイメージした複合遊具で、ネットのジャングルジム、ハンモック、遠くの声を集めるパラボラ遊具など学びながら楽しく遊ぶ園内一の大きな遊具です。両遊具施設とも平成22年8月に開園予定です。


おわりに
 自身初めての公園工事であり、多様な工種と特殊な品質特性、複雑な遊具形状や遊具の安全基準など数多くの要求事項・配慮事項・協議事項に対し、発注者の指導やメーカーの助言、及び協力会社の力を借りて現在に至ります。「子供たちが安全に楽しめる遊具をつくる」と言う基本理念を柱に現在も現場作業は進行中です。今回、道立公園の整備事業という数少ない機会に携わることができたが、土木技術者としての知識・経験以上に発注者の要求事項の意味と役割を踏まえた上での現場施工、技術提案力が必要だと強く思います。



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