建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年8月号〉

interview

公共事業はその管内の地方自治体に発注業務の代行を

――子どもたちを故郷に定着させる「必要な予算措置」を検討

株式会社 北創 代表取締役社長 佐々木 康宏氏

佐々木 康宏 ささき・やすひろ
昭和31年10月8日 生まれ
昭和55年 3月 日本大学経済学部産業経営学科 卒業
昭和55年 4月 奈井江町・(株)平雄組 土木課 入社
昭和58年12月 佐々木建業(株) 入社
昭和59年 4月 佐々木建業(株) 常務取締役 就任
昭和62年 3月 北竜町議会議員(現在5期目)
平成 8年 4月 佐々木建業(株) 代表取締役 就任
平成12年 4月 妹背牛町・妹背牛建業と合併 代表取締役 就任
平成14年 4月 栗山町・錦建設と合併 代表取締役 就任
         社名を(株)北創に変更
平成15年 3月 北竜町議会 副議長 就任
平成19年 3月 北竜町議会 議長 就任
平成21年 6月 岩見沢市・新栄開発(株)と合併 代表取締役 就任
株式会社 北創
本社:夕張郡栗山町桜丘1丁目111番地8
TEL 0123-72-5331

 北竜町の旧佐々木建業株式会社と栗山町の旧錦建設株式会社が7年前に合併して創立した株式会社北創(本社・栗山町)の佐々木康宏社長を北竜本店に訪ねた。佐々木社長は20代で北竜町議になり、5期目の現在、町議会議長の要職にある。今年6月には岩見沢市の新栄開発と合併し、建設不況の中、全受注工事の直営化を目指し、攻めの経営姿勢で現場管理と施工能力のパワーアップに努めている。下請に丸投げするような安易な受注方針を排除し、労務者はすべて自社で抱え、現場の技術力を高めていく経営姿勢に建設業の真骨頂を見た。

――会社の創業は戦後ですか
佐々木 父・哲夫が昭和26年5月に創業しました。いまも元気で、美唄工業高を卒業後、道庁に入り、札幌土現が振り出しでした。土現には4年ほど務めて、「自分でやったほうがいい」と思い、26年の北海道開発局設置に伴い道庁土木部が開発局と道庁に分離されたのを機に、北竜町で独立しました。  私は昭和31年生まれで、30年代の北竜町は、道路はもちろん未舗装で砂利道ばかり。水田もまだ本格的に整備されていませんでした。  会社も決して順風満帆ではなく、2回不渡りを出しながら、何とか立ち直り、3回にわたる合併を経て今日に至っています。高校時代から建設現場でアルバイトをしたりして会社の危機を間近に見てきましたので、「会社の経営は大変だなあ」との思いは強く持っていました。
――昭和61年の26歳の時から6年間、鳩山由紀夫代議士の地元秘書を務め、この間、63年には北竜町議に初当選し、現在は議長となりましたね
佐々木 実は父も議長を経験しています。父は34年に町議になりましたので、父の背中を見ていて家業より行政、議会のほうに親近感を持っていました。
――鳩山代議士からはいろいろな影響を受けましたか
佐々木 大変に謙虚な方で、初当選の頃から北海道の自立を考えていました。最近はお会いすることはありませんが、いまでも人生の師と慕っています。
――ふるさとに戻ってこられたのは、北竜町に対する特別な思いがあったのですか
佐々木 北竜町の人口は、昭和35年には6,463人でしたが、現在は2,300人にまで減っています。全世帯の7割が農家で、友達の家が離農して出て行く寂しさを小中学校の時代から感じていました。  父が町議としてマチづくりに取り組んできましたので、故郷を何とか元気なマチにしたいという気持ちはありました。それで、大学を卒業して3年間、昭和55年から57年まで、奈井江町の建設会社でお世話になり、その後、佐々木建業に入りました。
――2千人規模の自治体にしてはダムが多いですね
佐々木 農業ダムで、豊かな水資源のもと、いいコメが生産されます。これも先人のお陰です。
――ヒマワリも有名ですね
佐々木 私も青年グループの一員としてヒマワリ作りに最初から関わってきました。作付面積は100haで全国一です。開花シーズンには、20万人の観光客が訪れるようになりました。
――今年の新年の議長挨拶では、子どもたちにメッセージを送っていますね
佐々木 北竜の子どもたちは全人口の1割にも満たない。65歳以上は4割を超えています。町長はどうしても高齢者のほうに目が向かいます。これは行政の宿命です。  子どもたちはいくらでも伸びる可能性を持っていますから、それを引き出してやるのがわれわれの役割だと思っています。小さな町ですから子どもたち全員の顔が分かっています。実際に子どもたちと話をすると伸びる可能性を秘めていることが分かりますから、夢を叶えてあげる道筋を考える、必要なら予算措置を検討することです。そうすれば東京や札幌に就職しないで、故郷に定着してくれると期待しています
――建設業の現状をお聞きします
佐々木 議員として建設業の必要性を訴えながら、必要な予算を確保しつつ、建設業の価値を高める役割を果たしたいと考えているところです。町としてのインフラ整備は十分に実施してきましたし、事業費を確保するのはもはや限界かと思いますが、北海道や国が管理する道路、河川等がありますから、まだまだ整備の余地はあります。  いままでは陳情していれば良かったのですが、いよいよ足下を固めるためにも田舎の地方議員で建設議員連盟を立ち上げようということで声かけを始めたところです。
――会社の経営方針をお聞かせください
佐々木 受注した仕事は基本的に外注に出すのではなく、自社で完結するシステム構築に努めているところです。これまで3回の合併を行い、合併のたびに受注増、ランクアップしてきましたが、今年6月には岩見沢市栗沢町の新栄開発と合併しました。新栄開発さんは下請部分も多く、重機のオペレーターも数名いて直営能力があるので、現場施工能力を高める武器としての合併です。  元請の仕事は減っていますが、下請、孫請にこだわらなければ、仕事はいくらでもあります。  公共事業の受注形態が総合評価方式など多様化していますが、業者を選別するのではなく、地域の建設業者が高落札率で受注できる仕組みを作るべきと思っています。そのためには市町村に代行発注させる方法も考えられます。
会社概要
事業内容:
 ・特定建設業
  北海道知事許可(特-19)空第01585号
   土木工事業/とび・土工工事業/鋼構造物工事業/舗装工事業/水道施設工事業
 ・一般建設業
  北海道知事許可(般-19)空第01585号
   建築工事業/造園工事業
相 談 役:佐々木 哲夫
設  立:平成14年4月1日
資 本 金:116,000,000円
売 上 高:600,000,000円(平成20年度)
本  店:雨竜郡北竜町字和42番地1
     TEL 0164-34-2221
新栄支社:岩見沢市栗沢町最上2-67
     TEL 0126-45-3418

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