建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年8月号〉

interview

北海道農業建設協会の新会長に就任

――創業115年にわたって堅持し続けた奉仕の理念

社団法人北海道農業建設協会    会長理事
荒井建設株式会社 代表取締役社長執行役員
荒井 保明氏

荒井 保明 あらい・やすあき
昭和35年12月12日 生まれ
昭和58年 3月 中央大学法学部法律学科 卒業
昭和61年 6月 荒井建設株式会社 入社
昭和62年 6月 荒井建設株式会社常務取締役 就任
平成 6年 4月 荒井建設株式会社代表取締役副社長 就任
平成13年11月 荒井建設株式会社代表取締役社長 就任
平成14年 6月 アライ地所株式会社代表取締役社長 就任
平成15年 7月 荒井建設株式会社 代表取締役社長執行役員 就任
公職歴
平成10年度 (社)旭川青年会議所理事長 就任
平成12年度 (社)日本青年会議所副会頭 就任
平成14年 2月 (社)旭川建設業協会理事 就任
平成18年 6月 旭川警察官友の会副会長 就任
平成20年 2月 (社)北海道舗装事業協会理事 就任
平成20年 5月 (社)旭川観光協会副会長 就任
平成21年 3月 旭川商工会議所副会頭 就任
平成21年 4月 北海道護国神社奉賛会会長 就任
平成21年 5月 (社)北海道農業建設協会会長 就任
荒井建設株式会社
本社/旭川市4条西2丁目2番2号
TEL 0166-22-0121

 創業115年の歴史を誇る荒井建設の底流に流れる企業精神は、一貫した奉仕の心であった。荒井保明社長はこの3月に、それを継承しつつも、時代に即した新しい経営理念を策定。そして5月には北海道農業建設協会長に選任され、老舗企業の運営だけでなく、農業土木に携わる建設業界を先導していく立場にも立ったのである。
▲社屋
──荒井建設の成り立ちから伺いたい
荒井 当社は明治27年に富山県から来道した荒井初一が、「荒井商店」を創業したことに始まります。その後、大正10年に「荒井合名会社」へ改組し、昭和23年に現組織に改めて今日に至っています。  創業以来、当社は地域住民の生活環境向上に寄与する鉄道、発電所の建設をはじめ道路、治水、治山、農業基盤、下水道の整備などの公共土木や、学校、庁舎、福祉施設などの公共建築を手がけるとともに、民間建築工事でも数多くの実績を重ねてきました。  当社が115年の歴史を刻むことができた最大の理由は、創業者の教えである「地域への奉仕の精神」を貫いてきたことにあります。初代の初一は大正13年に上川〜層雲峡間12kmの道路を自費で開発し、「大雪山調査会」設立活動や大雪山の国立公園指定にも尽力しました。また、大正15年には商工会議所第三代会頭として、経営破綻した糸屋銀行の預金者救済にも奔走するなど、生涯を通じて奉仕の姿勢を貫きました。  この創業者の「念い」(おもい)を受け継ぎながら、一方では時代が求める経営環境に合わせた企業の「モデルチェンジ」も積極的に行っています。
──今年度から、会社として新しい理念を構築したのですね
荒井 地域の経済状況も思わしくなく、先行きも見えない時代だからこそ、あえて会社の進む方向と到達目標を示し、会社全体で同じ進路に向かっていけるよう考えています。従来の社是社訓に換えて、「北海道で最も信頼され魅力あるトップ企業となる」ことを目標にした経営理念を、この3月に策定しました。  これを早急に会社全体に浸透させ、人材の確保と育成、技術力の向上など経営資源の一層の充実に努めているところです。
──今後の事業展開と経営の見通しやビジョンを伺いたい
荒井 この経営理念に基づき、5ヵ年の中期計画を策定して目標を設定し、経営を軌道に乗せていきたいと考えています。公共事業の減少、企業設備投資の低迷、資材の高騰など、取り巻く状況はマイナス要因ばかりではありますが、事業本部制・月次決算の導入、工事原価・一般管理費の削減、各支店の機能強化などで乗り切っていきたいと思います。
──北海道農業建設協会の会長にも就任しましたね
荒井 まず宮脇前会長には、公共事業の急激な削減と入札契約制度の変革という難しい時期に、2期4年間にわたって協会会長として業界の先頭に立ち、リーダーシップを発揮されてこられたことに、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。  10年ほど前は、私の父(故・荒井宏)が三代前の協会会長職にありました。当時と今は、経営環境も全く異なり、北海道の農業農村基盤整備の事業量は当時と比べて半減しているのではないでしょうか。  当時は上京して、例えば自民党本部や道内選出議員や関係省庁に陳情を行ったり、道農政部に積極的な要望活動を行って、その行動について一定の成果を実感出来た時代であったと聞いています。しかし、現状では行動しても、なかなか成果の出づらい状況下にあり、宮脇前会長も相当にご苦労されたと思います。  業界団体の運営には大変難しい状況にありますが、前会長から「あとをしっかり頼む」と激励をいただき、身の引き締まる思いです。協会会員290社の実情や要望をきめ細かく把握し、そのことが高橋知事にも伝わるよう道農政部にしっかりお願いしていきたい。
▲平成10年 留萌支庁 樽真布ダム
──建設業を取り巻く厳しい状況と受注環境に対し、協会としてどう取り組んでいきますか
荒井 基盤整備事業の予算確保については、道庁の財政問題もあり、引き続き大変厳しい状況が続きますが、近年、食料安全保障や地球温暖化などの問題が顕在化していることから、将来のわが国を支えるのは北海道農業であるとのビジョンのもと、総合的な品目で国全体の食料自給に貢献できるのは北海道以外にはないと考えています。  現状は道財政が苦しい状況にあることは理解しますが、基盤整備は着々と実施して、将来の北海道自立にむけた戦略の布石とするべきと考えています。また、国の農業政策の動向や地域のニーズに合わせ柔軟に運用可能な制度の拡充について、タイミングを見ながら道にお願いしていきたい。  公共事業の調査基準価格の設定に関しては、新通達により従来の「予定価格の2/3から85%の範囲内」から「予定価格の70%から90%の範囲内」に改められ、道発注公共事業においてもおよそ2ポイントの引き上げになりました。このことに関しては一般管理費の一部計上が認められるなど改善の方向にはありますが、現場経費、一般管理費などの計上がまだ不十分です。  「地域に根ざした建設業者の経営状況」や「地方の痛み」に、より近い道庁などの地方自治体から率先して調査基準価格のさらなる引き上げを早急に実施して頂きたいものです。この夏以降の補正予算執行による経済効果が、市中に効果的に行き渡るよう緊急経済効果としての時限的なものでも実施して頂けるのであれば、大変ありがたいところです。
──今後の協会運営についての基本方針は
荒井 4年後に施行される「公益法人制度改革」に備え、現在のところ前会長在任時からの方針として一般社団法人への移行を選択検討中ですが、引き続き会員各位のご意見をいただきながら、スムーズな移行へ向けた準備を進めていきたいと考えています。  再任された中山氏、宮坂氏、早水氏の3副会長各位と宮脇相談役、それに山崎専務ら事務局としっかりコミュニケーションをはかり、会員290杜にとって、当協会の存在意義を実感出来るような運営を心がけていきます。
会社概要
創  業:明治27年11月1日
資 本 金:1億円
事業内容:
 ・土木・建築・住宅・舗装その他建設物の施工
 ・建築・住宅の企画・設計および工事監理
 ・防水強化材の販売、施工
 ・空中撮影システムの販売および撮影
 ・その他上記に関する一切の業務
役職員数:191名
許可・登録:
 ・ 国土交通大臣許可 特-19第2012号
 ・ 北海道知事登録 一級建築士事務所(上)第69号
ISO取得:ISO9001:2000
加入団体:日本土木工業協会、日本道路建設業協会、日本トンネル技術協会、土地改良建設協会
     日本ダム協会、北海道農業建設協会、建築業協会
代 理 店:
 ・輸入住宅:アームストロング 認定ビルダー
 ・防水強化材:リアルガード 北海道総代理店
 ・空撮システム:スカイキャッチャー販売代理店

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