建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年8月号〉

特集・福岡県の公共建設

県民生活を豊かにする都市づくり

――北部家畜保健衛生所　県営住宅大浦団地　朝倉光陽高校

▲北部家畜保健衛生所　パース

▲北部家畜保健衛生所　パース

　2006年の食品衛生法の一部改正に伴う「ポジティブリスト制度」の施行により、畜産物への動物用医薬品などの残留が厳しく規制され、消費者にとって一層の安全・安心な畜産物生産が求められる今日では、家畜保健衛生所の果たす役割はさらに重くなっている。こうした時代の要請に迅速・的確に対処するため、県は2007年4月に家畜保健衛生所の体制を再編するとともに、施設整備の充実強化を進めている。
　その組織体制は、家畜衛生の技術拠点として家畜衛生の技術指導や畜産物の安全性の確保などの業務を行う「管理衛生課」、家畜の伝染病発生の予防や自衛防疫の推進などの業務を行う「防疫課」、家畜の病性の鑑定や検査、調査、試験などの業務を行う「病性鑑定課・検査課」の3課体制となる。
　施設構成は各業務に応じて、家畜伝染病予防法に基づく検査や予防・消毒活動、防疫系活動のための一般検査室、防疫資材庫、病性鑑定・検査のための細菌検査室、無菌室、病理検査室、生化学検査室、洗浄滅菌室、暗室、動物用医薬品を管理したり、その取扱いや使用の適正化を図ったりするための場としての薬品室や会議室、自衛防疫の推進を図り、また家畜衛生技術指導を行い、家畜衛生思想の普及・啓発を図るための講習を行う会議室や、そのための資料作成に利用する図書資料室、そして区域内での指導出張の拠点となる事務室などで構成される。
　こうした基本計画に基づき、既存施設を残しながら建設を進め、既存施設の解体後を駐車場とした一部2階建の配置構成とする。配置計画上のゾーニングは、計画施設本館棟内部の機能を考慮しつつ施設への出入口や設備機器の配置、車庫棟や職員・外来駐車場の配置を定める。特に管理フロア関係室からの見通しや、検査フロア関係室からの防疫行為時の移動しやすさに配慮した計画とする。また、会議室利用時などの多数の外来者を考慮し、十分な台数の駐車スペースを確保するが、桜の木など外周の既存樹木は可能な限り残し、景観に優れ地球環境にもやさしいサスティナブルな計画を目指す。

▲県営住宅大浦団地　パース

　県営住宅大浦団地は、田川市中心部の南側に位置しており、西側には、国道322号線とJR日田彦山線が南北に縦断し、交通機関の利便性は良好だ。
　敷地は、高低差がほとんどない平坦な敷地であるため、高齢者や障害者の日常生活における負担は少ない。北側には大浦池があり、西側に市営住宅と民関戸建住宅、南側は保育所と民関戸建住宅が立地し、閑静な住環境となっている。
　こうした優れた住環境を背景に、設計に当たっては、「自然豊かでうるおいのある居住環境の形成」、「人にやさしい住戸・住棟、屋外空間の整備」、「快適な居住性の確保と省エネルギー性」、「安全で健康な住宅品質の確保」を基本理念とした。

▲朝倉光陽高校　鳥瞰パース

▲朝倉光陽高校　鳥瞰パース

　公立の学校・学科の再編成を進めて県は、第8学区における職業系専門学科について着手しており、「県立高等学校再編整備に関する第二次実施計画」を策定し、改編案をまとめた。朝倉光陽高等学校はそれに基づき、従来の朝倉農業高校と朝羽高校の2校を統合し、普通科及び農業に関する学科を有する総合型高校として、現朝羽高校校地（朝倉郡杷木町）に計画された。これによって、進学から就職まで生徒の幅広い進路希望に対応できる特色ある普通教育及び農業教育等を展開する方針だ。
　計画に当たっては、「地域と共に成長し、地域の活性化に寄与する学校づくり」を基本理念とし、地域を理解し将来を展望できる資質と国際感覚を育み、地域振興に資する実践力と豊かな人間性を備えた人材育成を目指すこととしている。そのため、複数の学科を併置し、学科間の教科・科目の相互履修（総合選択制）を可能とし、生徒の進路希望等に応じた複合的で、柔軟性のある教育を行う総合型高校とする。
　そこで、設計に当たっては、「教育環境の変化に対応できる学校づくり」、「総合型高校として特色のある学校づくり」、「豊かな感性を育てる学校づくり」、「快適な生活ができる学校づくり」、「環境に配慮した学校づくり」、「緑のある学校づくり」を基本理念としている。
　これに基づき、本館棟（渡り廊下含）は解体後に改築し、燃料倉庫、ゴミ置場は改築後に解体。体育館は増築し、武道場、産振実習棟東、産振実習棟西Aは耐震補強を含めて大規模改造する。農業機械実習棟は増築，大規模改造し、産振実習棟西B、図書、視聴覚室教室棟、豚舎（2棟）は大規模改造する。プール，更衣室、トイレ、堆肥舎、農機具実験室、駐輪場、体育館渡り廊下は解体し、弓道場（的場）その他の部室、同窓会館、作業室、温室、資材室、管理室、ボイラー室は現状利用することにした。