建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年7月号〉

寄稿

多様なニーズを捉え快適で活力ある地域づくりを推進

稚内土木現業所 所長 内田 重已

内田 重已 うちだ・しげみ
昭和27年11月10日生まれ
東海大学工学部土木工学科 卒業
昭和51年 9月 小樽土木現業所治水課
昭和51年 9月 小樽土木現業所余市出張所
昭和58年 9月 土木部砂防災害課
平成 3年 6月 旭川土木現業所士別出張所第二技術係長
平成 4年 4月 函館土木現業所治水課河川係長
平成 6年 4月 土木部総務課主査
平成 8年 4月 札幌土木現業所当別ダム建設事務所長
平成11年 5月 小樽土木現業所道路建設課長
平成13年 4月 札幌土木現業所治水課長
平成14年 4月 建設部河川課ダム室主幹
平成15年 6月 建設部河川課河川開発室主幹
平成16年 4月 建設部河川課河川開発G主幹
平成17年 4月 旭川土木現業所企画調整室長
平成18年 4月 旭川土現事業部長
平成19年 6月 建設部河川課参事
平成21年 4月 稚内土木現業所長



 宗谷地域は、豊かで美しい自然の下、恵まれた資源を生かした酪農業や水産業、観光業が盛んな地域であります。  しかし、地理的に道央圏や中核都市までの距離が長く、管内の多くは交通手段を道路に依存していることから、高度医療機関への移動時間の短縮や通年での安全な交通の確保が求められています。
 また、地域住民が安心して暮らせるための災害に備えた河川や砂防などの治水対策のほか、地域の基盤産業である水産業に大きく寄与する漁港の整備も求められております。
 平成21年度の公共事業予算(当初)は、約84億円(対前年比0.99)、単独事業予算(当初)は、約12億円(対前年比0.86)、全体事業予算(当初)は、約96億円(対前年比0.98)となっております。
 事業の執行に当たりましては、社会資本整備を取り巻く状況が依然として厳しい中、多様な地域のニーズや課題を的確に捉えながら、快適で活力ある安全で安心な地域づくりに向け、選択と集中による効率的で効果的な事業を次のとおり推進して参ります。
 道路事業については、安全で信頼性の高い道路交通を確保するため、枝幸音威子府線などの継続事業の推進を行うとともに、管内特有の地吹雪や積雪に対し交通の安全性や定時性の向上を図るため、防雪対策事業などを引き続き進めて参ります。
 また、街路事業については、地域のまちづくり計画と連携を図りながら円滑な事業を進めるとともに、オホーツク通の完成を目指します。
 治水事業については、自然災害から尊い人命や財産を守り、安全に暮らせる住みよい地域づくりを目指して、稚内市街地を流れるクサンル川などにおいて河川改修事業を推進するとともに、利尻島での砂防事業などを重点的に実施して参ります。
 漁港事業については、漁港と漁場の総合的で一体的な漁港づくりを推進するとともに、須古頓漁港などにおいて、波浪や風雪などの厳しい自然条件下での漁業活動に配慮した安全で快適な就労環境の創出や高齢者や女性に優しい漁港づくりを進めて参ります。



平成21年度稚内土木現業所
  公共事業の概要について
▲礼文島線災害防除工事 ▲枝幸音威子府線 道路改良工事外(その2)

T道路事業
○交通ネットワークの強化
 管内の多くは、交通手段を道路に依存していることから、地域交通ネットワークの強化を図るため、国道に連結する稚内猿払線や豊富猿払線、豊富浜頓別線、枝幸音威子府線などのほか、離島内の生活道路の確保として利尻富士利尻線や礼文島線などの整備を推進します。
○災害に対する安全性の確保
 自然災害からの交通の安全を確保するため、枝幸音威子府線(枝幸町歌登)において落石対策、元地香深線(礼文町)において地滑り対策、沓形仙法志鴛泊線(利尻町)において越波対策、美深中頓別線(枝幸町)において橋梁の耐震対策などを推進します。
○交通安全の確保
 歩行者や一般車両の交通の安全を確保するため、枝幸音威子府線(枝幸町)において自歩道、稚咲内豊富停車場線(豊富町)において道路横断勾配の改善、歌登咲来停車場線(枝幸町歌登)において視距改良、豊富浜頓別線(猿払村)において路肩拡幅などの整備を推進します。
○安全な冬季交通の確保
 積雪や地吹雪からの安全で快適な交通を確保するため、利尻富士利尻線(利尻富士町)において鷲泊市街地のまちづくり計画と連携しながら堆雪幅確保、稚内豊富線(稚内市)、豊富中頓別線(中頓別町)、美深中頓別線(枝幸町)、利尻富士利尻線(利尻富士町)、沓形仙法志鴛泊線(利尻町)において防雪柵設置などの整備を推進します。
○自動車専用道路(豊富バイパス)へのアクセス
高速交通ネットワークの形成に向け、豊富バイパスへのアクセス道路として豊富浜頓別線(猿払村)などの整備を推進します。
○シーニックバイウェイルートの道路整備
 観光と道路を結びつける新たな取り組みである「宗谷シーニックバイウエイ」の一環として、稚内天塩線(稚内市)において停車帯、礼文島線(礼文町)において道路拡幅などの整備を推進します。

U街路事業
 快適な都市空間の創出を目指して、3・4・7オホーツク通(枝幸町)の完成を目指すほか、稚内駅周辺整備計画と連携を図る3・4・6波止場通(稚内市)の整備を推進します。

V河川事業
 クサンル川(稚内市)において市街地の洪水を防ぐための河川改修を行うとともに、頓別川(浜頓別町)において河畔林の保全や植生の復元に配慮した河川改修を推進します。

▲アフトロマナイ川砂防工事(国債)

W砂防関係事業
○砂防事業
 地域住民の生命や財産を守るため、山腹の荒廃が著しい利尻島のアフトロマナイ川(利尻富士町、大空川(利尻町)など) において土石流を防ぐ砂防施設の整備を推進します。
○急傾斜地事業
 地域住民の生命や財産を守るため、礼文町の大備地区において背後地の崩壊を防ぐため急傾斜地崩壊防止対策事業の推進を図ります。

X海岸事業
 津波・高潮対策として、又留内海岸(稚内市)において既設護岸の改良を推進します。

Y漁港事業
○水産物の安定供給の確保
 水産物の安定供給を図るため、漁場整備や漁村づくりとの連携を図りながら、知来別漁港(猿払村)、頓別漁港(浜頓別町)、目梨泊漁港(枝幸町)、蘭泊漁港(利尻町)、本泊漁港(利尻富士町)、須古頓漁港(礼文町)などにおいて漁港の整備を推進します。
○快適な就労環境の創出
 風雪などの厳しい自然条件下での漁業活動に配慮した快適な就労環境を創出するため、浜中漁港(礼文町)、新湊漁港(利尻町)、本泊漁港(利尻富士町)などにおいて、防風柵の設置を推進します。

北海道の地域社会づくりに貢献します
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