建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年7月号〉

寄稿

上川の美しい自然・農業・観光資源を活かした地域社会の形成を推進

旭川土木現業所　所長　村口　明

村口　明　むらぐち・あきら 昭和27年6月29日 青森県むつ市出身 昭和53年3月 北海道大学工学部卒業 昭和53年4月 北海道庁入庁 平成10年4月 北海道函館土木現業所道路建設課長 平成12年4月 北海道札幌土木現業所道路建設課長 平成13年4月 北海道建設部道路整備課長補佐 平成15年6月 北海道建設部道路整備課主幹 平成16年4月 北海道室蘭土木現業所洞爺出張所長 平成17年4月 北海道室蘭土木現業所事業部長 平成19年6月 北海道建設部まちづくり局都市環境課長 平成21年4月 現職

平成21年度 旭川土木現業所事業概要

はじめに
　旭川土木現業所における平成21年度事業予算は、平成20年度末の1次補正と2次補正を加え、平成21年度の道州制地域連携モデル事業(予定)を含め、過年度契約済みの新永隆橋と西岡ダムの債務分を除くと総額214億8千5百万円で対前年度比104.0%となりました。
　このうち、公共事業については、道路事業と街路事業の合計で113億3千2百万円、対前年度比107.1%、治水事業は、69億2千7百万円で対前年度比96.1%、また、単独事業については、道路・河川・砂防事業を合わせ32億2千6百万円、対前年比112.4%となっています。
　当所といたしましては、国や市町村、住民と連携を取りながら、地域の意向や特性を踏まえて、上川の美しい自然や多様な農業・観光資源などを活かし、活力ある地域社会の形成を促進するために、北海道の厳しい財政状況を踏まえ、「選択と集中」の観点に立ち、より効率的・効果的な社会資本の整備を行ってまいります。

▲3・3・15永隆橋通　新永隆橋新設工事（上部工）

▲占冠インター線　交付金(改築)工事

道路・街路事業
　地域の発展の基盤となる幹線ネットワークの形成に向け、観光、農林水産業の活性化や圏域間交流の促進のため、高規格幹線道路と一体となった幹線道路ネットワークの整備を行っており、占冠インター線、3･3･7旭町通、美深雄武線などで事業を推進します。
　また、旭川空港へのアクセスとして、地域高規格道路「旭川東神楽道路(鷹栖東神楽線)」の環境アセスメントなどの事業化に向けた手続きを進めています。
　少子・高齢化、人口減少など時代の潮流に対応しうる、持続可能で活力ある地域社会の形成に向け、地域の中核都市の再生を図るための基盤整備として、北彩都あさひかわ（旭川駅周辺整備事業）の関連事業である（仮称）新永隆橋の新設などの事業を推進します。
　都市交通の円滑化を図るため、環状・放射道路の整備として、鷹栖東神楽線の整備を推進し、渋滞対策として3･3･8金星橋通の整備を推進します。
　ユニバーサルデザインの視点に立ち、冬期も踏まえたバリアフリー施策を推進していますが、歩行空間のバリアフリー化として、朱鞠内風連線、旭川環状線などの整備を推進します。
　都市と農山漁村の交流・共生を促進するネットワークの形成に向け、地域連携強化事業として、愛別当麻旭川線、鷹栖東鷹栖比布線などの整備を推進します。
　まちづくり支援事業として、3･3･8東2丁目通（立体交差・上川町）などの整備を推進します。農産物などの地域内物流ルートの整備として、鷹栖東鷹栖比布線、天人峡美瑛線（横牛橋、橋梁補修）の整備を推進します。
　安全・安心が確保された地域社会の形成に向け、災害に強く安全性の高い道路整備として、旭名寄線（跨線橋耐震補強）などの整備を推進するとともに、冬期における安全で快適な道路交通を確保するため、吹溜り発生箇所の整備として紋穂内停車場、雪崩対策として美深雄武線などの整備を推進します。冬期交通不能区間の解消のために鷹栖江丹別線の整備を推進します。
　このほかに、交通事故を減らすことを目的とした事業を推進していますが、自歩道の整備として、東川東神楽旭川線、温根別剣淵停車場線、踏切の構造改良として、石勝高原幾寅線、奈江富良野線などで整備を推進します。
　高度成長期に急速に整備した道路施設が更新の時期を迎えるため、適切な維持更新により交通機能の確保を図ります。橋梁関係では、天人峡美瑛線（横牛橋補修）、美深雄武線（東郷橋耐震補強ほか）などの整備を推進し、道路ヒーティング補修工事として、旭川環状線、温根別ビバカルウシ線の整備を推進します。
　豊かな自然を生かした観光立国の実現に向け、広域観光ルートの整備については、愛別当麻旭川線(当麻町市街地)、上富良野旭中富良野線の整備を推進します。
　また、観光拠点へのアクセス道路の整備については、朱鞠内風連線(朱鞠内湖)、奈江富良野線(富田ファームなど)、吹上上富良野線(十勝岳温泉)、瑞穂旭川停車場線(旭山動物園）、麓郷山部停車場線(麓郷の森)などの整備を推進します。
　サイクルネットワークの整備については、大規模自転車道の整備として旭川層雲峡自転車道線の整備を推進します。

▲剣淵川改修工事　シュルクタウシベツ川地区外	▲富良野川砂防工事　3号ダム(国債)

河川・ダム事業
　洪水などから地域住民の人命や財産を守る安全性の高い治水対策として、農地や市街地を流下する河川の流域一帯における治水機能の向上を図るため、富良野川・剣淵川などにおいて重点整備を推進します。
　また、地域の浸水被害を防止し安全性を高めるため、比布川(比布町)・豊栄川(名寄市)などの整備を推進します。 　旭川市近郊の河川対策として、ポン川(東神楽町)、牛朱別川(旭川市外)・雨紛川(旭川市)の整備を推進します。 　そのほか、自然環境を保全し、水と緑豊かな「生きている川づくり」を推進し、生物の良好な生息環境を保全・創出するための川づくりや、周辺の景観や地域整備と一体となった河川整備を推進します。
　地域に密着した生活貯水池事業の推進については、貯留施設による治水・利水対策として西岡ダムの整備を推進し、今年度の事業完成を予定しています。

砂防事業
　十勝岳周辺地域における火山防災施設の整備と緊急時防災体制を確立するために、土石流や十勝岳噴火に伴う火山泥流対策として、富良野川の3号ダム嵩上げ、布部川、ヌッカクシ富良野川・ポン布部川等における砂防工事を推進します。
　また、十勝岳噴火に伴う火山泥流等に対応した警戒避難に資するため、「十勝岳噴火警戒避難対策事業」により、監視機器等の整備を推進します。
　土石流などから地域住民の人命や財産を守る砂防設備の整備については、渓流の保全を図り下流域を土石流などから守るため、ピヤシリ川(名寄市)・八幡の沢川(名寄市)・若牛内川(愛別町)などで整備を推進します。
　急傾斜地の整備として、旭川神岡3において急傾斜地崩壊対策を推進します。