建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年7月号〉

寄稿

災害に強い高速交通ネットワーク網整備

観光支援・物流の効率化をめざす

函館土木現業所 所長 下出 育生

下出 育生 しもで・いくお
昭和32年2月20日生まれ 札幌市出身
昭和54年3月 北海道大学工学部土木工学科 卒業
昭和54年4月 北海道採用 北海道職員採用試験(上級・土木)採用
昭和54年4月 旭川土木現業所勤務
昭和60年4月 室蘭土木現業所勤務
昭和62年8月 住宅都市部街路公園課勤務
昭和63年4月 住宅都市部都市整備課勤務
平成 1年7月 住宅都市部都市整備課勤務
平成 5年4月 釧路土木現業所技術部道路建設課舗装係長
平成 6年4月 釧路土木現業所事業部道路建設課舗装係長
平成 7年6月 商工労働観光部企業立地推進室主査
平成 9年6月 建設部道路計画課計画第二係長
平成11年5月 建設部道路計画課道路計画係長
平成13年4月 帯広土木現業所事業部道路建設課長
平成16年3月 建設部参事
平成16年4月 職業安定局雇用政策課中央雇用計画官(厚生労働事務官)に割愛採用
平成18年4月 建設部土木局道路課参事
平成21年4月 函館土木現業所長兼檜山支庁参与


▲鹿部漁港広域水産基盤整備工事

 函館土木現業所が所管している道南地域(渡島支庁及び檜山支庁管内)は、北海道の南西部に位置する渡島半島と奥尻島などからなり、東は噴火湾、西は日本海、南は津軽海峡、太平洋と三方を海に囲まれています。
気候は、暖流である対馬海流の影響を受け、道内では、比較的温暖で積雪量も少なく、日本海側と太平洋側の両方から暖かく湿った空気が入りやすいため、降水量は比較的多くなっています。
 面積は6,566ku(全道の7.9%)、人口は48万5千人(平成20年12月末住民基本台帳、全道の8.7%)で、人口は、昭和55年の58万5千人をピークに減少傾向にあります。
 管内の市町数は、2市16町で、人口の75%は、函館市とそれに隣接する北斗市、七飯町を含んだ函館圏に集中しています。
渡島半島は、南北に細長く、中央部を山脈が縦断して渡島平野などの一部を除き山地が海岸まで迫っているため、急傾斜地が多く、道路はそのほとんどが急峻な海岸沿いや山間部に通じており、高波や土砂崩れなどの自然災害による影響を受けやすい地勢となっています。
 また、中心都市である函館市は、本道の南西端にあり、北海道縦貫自動車道が八雲ICまでしか供用されていないため、道央圏と連絡する幹線道路は国道5号のみとなっているため、観光支援や物流の効率化などのためにも、高速交通ネットワーク網の整備が急務とされているところです。
 さらに近年、たびたび小噴火を繰り返している駒ヶ岳や恵山などの活火山を抱えるなど災害に対応した社会資本整備の必要性が強い地域でもあります。
 函館土木現業所としては、道財政が年々厳しさを増している中、道南圏の地域特性を考慮しながら災害に強い安全性の高い道路整備や総合的な治水対策、土砂災害対策などを推進するとともに、2015年度中の開業を目指す北海道新幹線や高規格幹線道路の整備と連動し、高速交通ネットワーク網の整備効果を最大限に発揮するため必要な社会資本整備を促進し、道南圏の経済・文化などの発展に寄与していく考えです。

▲H20太櫓川広域基幹改修工事 ▲H20厚沢部川広域基幹改修工事
▲噴火湾パノラマパーク(オープン2周年記念フェスティバル)

主要事業について
 道路事業では、江差木古内線早瀬トンネル(天の川きららトンネル)の供用開始を目指すとともに、大型車両の増加で老朽化の進んだ函館南茅部線亀尾橋の架換事業に着手します。
 また、高速交通ネットワーク網の整備効果を発揮するために、森IC及び茂辺地IC等の供用開始に向け、インター線の整備に取り組みます。
 街路事業では、市街地の活性化を図るため3・4・2出雲通(八雲町)の整備を促進するとともに3・4・47文教通(函館市)の用地補償を促進し、3・4・7本町大通(八雲町)の完成をめざします。
 また、「函館新外環状道路」の最初のICである赤川インターの供用に併せ効果を発揮すべく、都市計画道路3・3・20放射2号線の整備を進めます。
 公園事業では、噴火湾パノラマパークでふれあい農園、ホタルの谷、ステージ等を整備するとともに、ハイウエイオアシスを整備します。
 下水道事業では、函館湾流域下水道において平成21、22年の2か年で3系目の水処理施設増設を行うとともに既存の水処理施設等の更新を行います。
 河川事業では、安全・安心な地域づくりに寄与するため、久根別川、厚沢部川、太櫓川、木古内川等の事業を促進します。また、大沼地区の活性化を図るため大沼の小島や湖岸に親水護岸を整備します。  砂防・急傾斜事業では、駒ヶ岳など火山地域及び荒廃渓流における土砂災害対策を促進するとともに、地域住民の生命・財産を守るため、急傾斜地崩壊対策事業を促進します。
 砂防事業では軍川(七飯市)、シベット川(せたな町)、急傾斜地崩壊対策事業では南茅部川汲(函館市)、今金田代1(今金町)を新規に着手します。
 河川局海岸では、波浪による海岸の越波防止を目的として松前海岸(松前町)、西浜海岸(八雲町)などの事業を促進します。
 漁港事業では、水産物の安定供給を図るため落部漁港等の建設を促進するほか、木直(函館市)、沼尻(森町)、などの各漁港の完成を図ります。また、大舟漁港望路分港(函館市)の整備を新規に着手します。
 漁港海岸では、福島漁港海岸(福島町)などの事業を促進します。

▲3・3・20放射2号線、平成20年度に暫定施行で歩道工を先行することにより安全な通学路の確保を行った
北海道の地域社会づくりに貢献します
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