建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年7月号〉

ZOOM UP

氷川ダムの堤体かさ上げで能力UP

――ダム機能の向上と河川環境の改善を図る

熊本県氷川ダム管理所 氷川ダム再開発事業

▲完成予想イメージ

 氷川は、豊かな自然や五木の子守歌などで知られる熊本県「五家荘」地区の山地に源を発し、八代市(旧泉村、旧東陽村、旧鏡町)、氷川町(旧竜北町、旧宮原町)を西流して不知火海に流入する流路延長30.7km、流域面積148.6平方kmの二級河川で、現在稼働している水川ダムは昭和43年に着工し、49年に完成した多目的ダムだ。洪水調節、上水道用水の供給、かんがい用水の補給を目的としている。
 しかし、梅雨や台風など降雨量の多い時期は、洪水調節に備えて、利水のための貯留水を予備放流として、あらかじめ無駄に放流しなければならず、その一方で、下流部は河川維持流量が不足し、河川環境や生態系への影響が懸念されていた。

▲右岸より平成21年6月 ▲下流より平成21年6月

 このため、貯水池の効率的な運用と河川流祝の改善を図るために、平成2年度から堤体嵩上げのための、氷川ダム再開発事業が進められている。
 事業実施に当たっては、工事に伴う周辺環境への影響を最小限に抑えるために、既設ダムを2m高くすることにより、総貯水容量80万m3を増加する計画とした。
 また、再開発事業から100年分の堆砂容量を確保する必要があり、既存ダムの位置で容量を確保するには無理があるため、不足分は貯砂ダムで補う計画になっている。
 この再開発事業によって、氷川ダムは従来の治水・利水機能の強化が図られるとともに、新たな観光資源としての価値も発揮することが期待されている。
 工事は2007年2月に着工し、現在は、80tクローラクレーンによる本体コンクリート打設はほぼ終了しゲート据付作業中で、来年6月の完成に向けて秒読み段階に入っている。



ダム諸元
形 式:重力式コンクリートダム
高 さ:58.5m(既設:56.5m)
長 さ:202.0m(既設:193.5m)
堤体積:113.3千m3(既設:105.0千m3)
▲ダム平面図
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