建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年7月号〉

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全国ワースト6位の渋滞に悩む沖縄西海岸

――年間600億円の整備効果に期待

沖縄総合事務局南部国道事務所 沖縄西海岸道路

▲那覇西道路建設状況写真 ▲那覇西道路建設状況写真
▲沖縄西海岸道路計画路線図
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 沖縄県西海岸側の沿海部で、新規路線となる沖縄西海岸道路の整備が進められている。これは、国道58号と331号の渋滞解消を目的に計画された路線で、渋滞解消による経済効果は年間600億円が見込まれている。
 沖縄本島の南北を西海岸側で結ぶ国道58号と国道331号は、通勤・通学や物資輸送など、人々の暮らしと経済活動に欠かせない大動脈となっている。それだけに、これら2路線の利用車両は増加の一途を辿っており、那覇市をはじめ中南部地域の西海岸沿岸部では渋滞が慢性化していた。特に県都である那覇市や、県の玄関口となる那覇空港が県南部に位置していることで、南北間の交通需要は特に高くなる構造となっている。
 このため、南部国道事務所所管エリアでは、国道58号の那覇市から北谷町までと国道330号の那覇市から浦添市までの交通量は、70,000〜80,000台/日に上り、特に中南部への集中が顕著となっている。これにともない、県の1km当たりの渋滞損失時間は41.2千人/年・キロで、全国平均の20.3千人/年・キロの2倍以上となり、3大都市圏以外の都道府県ではもっとも大きく、全国でもワースト6位の低水準という状況にある。
 すでに中南部都市圏を南北に連絡する高規格道路として、沖縄自動車道が整備されてはいるものの、圏域の中心となる那覇市との交通時間が30分以上を要する地域が、今なお多く残されている。このため、地域住民や地域経済界にとって、国道58号及び国道331号の混雑緩和は悲願であり、対策への政策要望は高かった。
 そこで、この要望に応えて、読谷村から糸満市に至る50qの国道58号・331号の新規路線となる地域高規格道路「沖縄西海岸道路」が計画され、事業が進められている。この沖縄西海岸道路が完成すれば、国道58号と国道331号の交通混雑緩和だけでなく、両路線にアクセスする県道や市町村道の通行がスムーズになり、各地への所要時間が短縮されるため、地域間交流を促されることが期待される。特に、西海岸側は国道58号沿いに市街化が進み、沿岸部は地域の活性化を目指して多くの「地域開発プロジェクト」が計画されるなど、開発が進められている。これらの開発に伴う需要拡大に対応し、沿線に連担する都市の連絡を強化することで、各都市の特性を活かした発展を促すことが期待される。
 また、物流効率が向上することで、流通経済をはじめ各種産業の発展も期待され、渋滞による時間ロスの解消により、時間、燃料費の無駄が軽減されることから、時間便益として年間で600億円(平成14年作成のパンフレットより)が節約できると試算されている。
 工事は平成21年時点で18qの整備が進められており、また、ルート設定のための調査も継続して行われている。
 南部国道事務所としては、沖縄県と協力してこの路線とともに将来は東西間を連結する道路の不足も解消すべく、3本の骨格となる国道と沖縄自動車道の有効活用及び渋滞の緩和に向けて、はしご状の道路ネットワークを構築し、「はしご道路」の完成を目指している。沖縄自動車道と連結する箇所には、スマートインターチェンジの導入も検討しており、その交通体系の完成によって、渋滞解消、観光支援、物流効率化など多角的な効果が期待される。


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