建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年6月号〉

寄稿

豊かな産業資源を活かし、安全・安心な地域社会の実現をめざす

釧路土木現業所 所長 西尾 正己

西尾 正己 にしお・まさみ
昭和28年 7月17日生(55歳)
昭和51年 3月 北海道大学工学部土木工学科卒業
昭和51年 4月 北海道職員採用(上級・土木)
昭和51年 4月 旭川土木現業所
昭和59年10月 土木部管理課
昭和63年 6月 土木部河川課
平成 2年 5月 帯広土木現業所技術部治水課河川係長
平成 5年 4月 土木部砂防災害課砂防係長
平成 8年 4月 土木部河川課ダム室ダム計画係長
平成10年 4月 室蘭土木現業所事業部治水課長
平成13年 4月 建設部砂防災害課課長補佐(平成15年6月同主幹)
平成16年 4月 稚内土木現業所企画総務部企画調整室長
平成17年 4月 稚内土木現業所事業部長
平成18年 4月 建設部土木局河川課参事
平成19年 6月 建設部土木局河川課長
平成21年 4月 釧路土木現業所長



ご挨拶
 釧根地域の皆様には、日頃より釧路土木現業所の事業に、ご理解とご協力をいただき、厚くお礼申しあげます。
 当所は、この地域が豊かな自然環境に恵まれ、農業や水産業に代表される一次産業が盛んであることから、観光や物流など地域の経済活動を支え、人々が安全・安心で暮らせることができるような地域社会の実現を目指し、日々、社会基盤の整備や施設の維持管理を行っています。
 道路関係では、交通ネットワークの拡充を図るため、別海町において釧根トライアングル整備構想の一翼を担う地域高規格道路の根室中標津線や、世界自然遺産「知床」の玄関口となる羅臼町で知床公園羅臼線などの整備を重点的に進めるとともに、引き続き橋梁の耐震強化など災害に強い道づくりを進めます。
 治水関係では、この地域の主要産業である水産業の振興を図るため、水産物の付加価値を高めるような衛生管理型の漁港整備を進めるほか、釧路湿原の流域に位置する久著呂川において湿原の乾燥化を防ぐため河道の安定化対策に取り組みます。
 また、津波や土砂崩れなどの災害に備え、地域住民の生命・財産を守るため治水事業、海岸浸食対策、急傾斜地崩壊対策に取り組むとともに、雌阿寒岳について、監視施設の整備や火山観測体制の整備を継続して進めます。
 道においては、依然として厳しい財政状況でありますが、今後も、社会資本の整備にあたり、自然環境との調和を図り、地域住民の皆様が安全で安心して暮らし、農業や漁業、観光などの産業を支える整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

釧路土木現業所平成21年度 公共事業概要について
 釧根地域は、3つの国立公園と2つの道立自然公園さらには、知床世界自然遺産を有し、北海道の中でも有数の自然環境を有している地域であります。
釧路土木現業所では、このすぐれた地域特性を生かし、管内の振興を図るため、環境や景観に配慮しながら社会基盤の整備を進めています。

道路事業
主な道路事業では、道路改良事業として釧根トライアングル整備構想の一翼を担う地域高規格道路・根室中標津線(別海町)において、道路整備を推進する。今年度はポントコタン橋の仮道工、床丹橋(橋長41m)の下部工・工場製作、道路工(路盤・舗装)1,260mを予定している。
 世界自然遺産・知床の玄関口である羅臼町市街地と、知床岬への最終中継地である羅臼町相泊地区を結ぶ唯一の道路として、知床公園羅臼線の整備を集中的に実施している。今年度においても、「生活を支える安全な道づくりを」を目指して落石対策や防雪対策を進めていく考え。
 さらに、「安全で安心な道づくり」のため釧路市と鶴居村を結ぶ釧路鶴居弟子屈線において、交通安全事業や交付金事業を活用して集中的に視距改良や線形改良を実施する予定。
町道明治通は、白糠町と釧路市をつなぐ重要な道路であるが、知事代行事業として北海道がその整備を進めてきた。今年度は、庶路川を跨ぐ庶路2号橋(橋長229m)の床版工、恋問2号橋(橋長78.6m)の橋台、橋脚の施工及び橋桁の工場製作を予定している。

▲星が浦海岸通H20施工中写真 ▲武佐の森大橋(床版・ゼロ国)H20施工中

街路事業
 釧路西港地区の3・3・13星が浦海岸通において、JR根室本線の高架化工事と合わせ整備を進めてきたが、昨年11月17日鉄道が高架化され、今年度、事業完了の予定。

空港事業
中標津空港において、平成17年度から滑走路改良工事(舗装)を進め昨年度完了し、今後は電源局舎改良工事を行う予定。

▲尾幌川広域基幹改修工事

河川事業
釧路湿原自然再生の一環として釧路川支流久著呂川(中久著呂地区)において、湿原への土砂流入を軽減する目的で河道安定化対策である帯工を実施する。
 また、釧路のシンボルでもある釧路川においては、治水対策を進めるとともに市民や観光者の憩いの場となる河川空間の整備を進める。今年度は築堤工、物揚場の改築を予定している。
 さらに、尾幌川では掘削工や支川処理、茶路川では低水路掘削、護岸工、樋管工などを、標津川においては断面拡大を目的とした築堤工を継続して実施する。

砂防・急傾斜事業
砂防事業では、羅臼川に位置する砂防ダムにおいて魚道工の整備に着手する。
 また、雌阿寒岳の火山噴火に起因する泥流や火砕流等の災害から人名や財産を守ため火山監視施設の整備を推進する。
 急傾斜地崩壊対策事業では、根室市浜松及び釧路市材木町1において引き続き事業を推進していく。

▲野付崎海岸侵食対策工事

建設海岸事業
 津波・高潮・波浪による海岸侵食や決壊などから国土を保全するために、日本最大の砂嘴(さし)でありラムサール条約登録湿地である野付半島を浸食から守るため、野付崎海岸において、自然に配慮した自然と共生する海岸整備を進める。
また、浜中町水取場及び後静においても、津波高潮対策として引き続き堤防工事を実施する。

漁港事業
 標津漁港では、標津町地域ハサップ(HACCP)と連携した衛生管理型漁港整備を進めており、今年度は東防波堤やマイナス(-)3.5m岸壁の整備を実施する。また、尾岱沼漁港(別海町)においても、衛生管理型漁港の整備を進める。
 また、昆布森漁港(釧路町)では第1南防波堤や第3南防波堤突堤の整備、散布漁港(浜中町)では西護岸や西防波堤の整備に拍車をかける。
さらに、老者舞漁港(釧路町)では今年度、外防波堤の工事を行い事業の完成を目指す。

漁港海岸事業
環境整備や津波対策として、標津漁港海岸では標津町の海洋性レクレーションスペースの創造を目的としたマリンプラザ事業を支援する環境整備を進めている。今年度は、養浜、緑地等の整備を実施する予定。
また、床丹漁港海岸(別海町)においても津波対策として堤防の改築を行う。

北海道の地域社会づくりに貢献します
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