建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年6月号〉

寄稿

安全・安心な暮らしと活力ある地域社会を目指して

室蘭土木現業所 所長 高橋 邦明

高橋 邦明 たかはし・くにあき
昭和28年9月2日 歌志内市出身
室蘭工業大学大学院 修了
平成15年6月 稚内土木現業所企画総務部企画調整室長
平成16年4月 株式会社北海道エアシステム取締役
平成19年4月 建設部建設管理局建設政策課参事
平成19年6月 水産林務部水産局漁港漁村課長
平成20年4月 建設部土木局道路課長
平成21年4月 現職



 平成21年度の北海道開発予算は、全国の一般公共事業費が対前年度比約9%減となる中、約6%の減少にとどまり、平成20年度の第1次と第2次の補正を加えれば、約2%の減少となり、減少幅は最小限にとどめられたと考えています。
 当所の公共事業予算においても、事業費約192億円で対前年比約8%減ですが、1次、2次の補正を加えればほぼ前年度並みの事業費が確保できました。
 本年度の主な事業としては、物流ネットワーク形成のために、高規格幹線道路と一体となった 道路の整備や港湾・ICなどの物流拠点へのアクセス道路の整備として、上厚真苫小牧線、臨海北通(苫小牧市)、正和門別停車場線、比宇厚賀停車場線(日高町)や道州制モデル事業として穂別インター線(むかわ町)、白老大滝線(白老町)、また、快適な広域観光を支える観光拠点へのアクセス道路の整備として、倶多楽湖公園線(登別市)の道路整備事業を実施します。
 また観光やまちづくり支援のため、まちづくりと一体となった街路・道路整備として、豊浦洞爺線(洞爺湖町)、美和豊浦停車場線(豊浦町)や安全で円滑な道路空間の創出のため、中島中央通(室蘭市)、苫小牧環状線(苫小牧市)でバリアフリー歩行空間や自転車走行空間の確保事業を行います。
 さらに、災害に強く安全性の高い道路のために、避難路や緊急輸送道路などの緊急時の代替道路の整備や危険箇所などにおける防災対策を推進するために、宿志別振内停車場線、芽生貫気別線(平取町)、三石日高線(日高町)、平取静内線、静内浦河線(新ひだか町)の道路整備事業を実施します。

▲倶多楽湖公園線 道路改良(1号橋)工事(上部工) ▲3・1・3臨海北通踏切除却工事(国債)

 このほか、自然環境に配慮した施設の整備のため、貴重な自然環境の保全・再生に資する河川の整備として、美々川自然再生(苫小牧市・千歳市)、自然景観や生態系に配慮した砂防施設の整備として、カバユサンナイ川砂防(伊達市)、ケリマイ川砂防(新ひだか町)、また在来植生に配慮した緑の斜面整備として、三石歌笛急傾斜地崩壊対策(新日高町)の事業をそれぞれ実施します。
 洪水や土砂災害に備えた安全性の高い災害防止施設を整備するために、引き続き総合的な治水・利水対策に向けた厚幌ダム建設事業(厚真町)や様似ダム堰堤改良事業(様似町)を推進するとともに、明野川(苫小牧市)、厚真川(厚真町)、気門別川(伊達町)、知利別川(室蘭市)、安平川(苫小牧市・安平町)、波恵川(日高町)、真沼津川(新ひだか町)において、河川の治水施設整備事業を実施します。

▲登別出張所-竹浦海岸侵食対策工事1工区 ▲上厚真苫小牧線道路改良工事1工区

 また浸食が著しい海岸の保全対策として、鷲別海岸(登別市)、竹浦海岸(白老町)の建設海岸において、人工リーフや消波工の整備を実施し、虻田漁港(大磯分区)地域(洞爺湖町)においては、水産物供給基盤事業を実施します。
 土砂災害に備えた急傾斜などの施設設備としては、室蘭御崎町・西小路2(室蘭市)、えりも本町1-1(えりも町)の急傾斜地崩壊対策事業、南久保内川(壮瞥町)、ユオイ沢川、貫気別川(平取町)、ウエンテシカン川(日高町、新冠町)、比宇川(新冠町)、慶能舞川(日高町)、元浦川(浦河町)の砂防事業を実施します。
 さらに、火山泥流などに対応できる砂防施設の整備として樽前山火山噴火警戒避難事業(苫小牧市、白老町)、有珠山火山噴火警戒避難事業(伊達市、洞爺湖町、壮瞥町、豊浦町)を実施します。
 以上が本年度の主要な事業概要です。

▲登別出張所-竹浦海岸侵食対策工事1工区 ▲波恵川改修工事2工区区

 当所としては、地域重視の姿勢を大切にし、胆振・日高の特性・潜在能力を生かしながら、地域の皆様が安全で安心して暮らせる公共事業を行うことにより、活力ある地域社会の実現が図られ、安定した地域発展につながるものと考えています。
 今後も国や市町村などの関係機関と連携して、事業の重点化や効率化をさらに進めて、災害に強い安全でゆとりのある快適な地域の形成を目指して、事業評価やアカウンタビリティーの徹底、コスト縮減や既存ストックの有効活用などの取組を一層推進して、質の高い社会資本の整備を進めたいと考えています。併せて、次の世代の人々に良好な社会資本を残すため、橋梁などの公共土木施設の適切な維持管理に努め、アセットマネジメントシステムに基づく計画的な修繕・更新を進めます。
 また建設現場の効率化を通じて建設業の経営効率化が図られるよう、当所発注工事において、発注者、施工者、設計者の三者が、設計の考え方や施工時の留意点の確認などを行う「三者検討会」や「監督員と現場代理人の研修会」の継続や設計変更の迅速化等今後も経営効率化に向けて様々な視点から検討を進め、行政側が実行可能な方策について検討実行していきたいと考えています。
 防災体制の強化についても、昨年度所内に設置した災害対策検討委員会をさらに活用することにより災害時における関係機関や地域の企業、団体などと一層の連携を図り、防災体制の充実・強化に努めて参りたいと考えています。
 最後に、昨年度策定された「ほっかいどう社会資本整備の重点化方針」に基づき、選択と集中の視点を一層明確にし、地域にとって必要な社会資本整備を着実に進めていかなければならないと考えています。

北海道の地域社会づくりに貢献します
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