建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年6月号〉

寄稿

道央圏の社会資本整備推進 安心して暮らせる地域づくりを目指す

札幌土木現業所 所長 村山 雅幸

村山 雅幸 むらやま・まさゆき
昭和31年 3月21日生まれ 余市町出身
北海道大学工学部土木工学卒
昭和55年12月 北海道庁採用(帯広土木現業所)
平成 6年 4月 住宅都市部まちづくり推進室都市計画課交通計画係長
平成 9年 4月 建設部まちづくり推進室都市計画課基本計画係長
平成11年 5月 留萌支庁地域政策部地域政策課長
平成14年 4月 建設部公園下水課長補佐
平成15年 6月 稚内土木現業所副所長
平成17年 4月 水産林務部漁港漁村課長
平成19年 7月 北海道開発局事業振興部技術管理課防災対策官
平成20年 4月 北海道開発局事業振興部防災課長
平成21年 4月 札幌土木現業所長


 札幌土木現業所は、道央圏の石狩および空知の両支庁を所管区域とし、東西は約130km、南北は約200kmに及び、面積は全道の12%を占め、全国で7番目の広さの岐阜県とほぼ同じ大きさとなっています。
 管内には、道都札幌市や北海道の空の玄関口である新千歳空港、重要港湾石狩湾新港といった物流・人流の要衝を擁し、北海道の政治・経済の中心的な地域となっています。
 また、人口は、約267万人と全道の約48%を占めており、石狩管内(6市1町1村)は経済の中心地である札幌市、千歳をはじめ各市で人口が伸びていますが、空知管内(10市15町)は基幹産業であった炭鉱の閉山や農業就労者の減少により、減少が続いています。

▲災害に強い道路整備 江部乙雨竜線(江竜橋)現況写真(施工中)
▲栗沢南幌線(清幌橋)完成予想CG ▲岩見沢三笠線 現況写真(施工前)

 街路事業は24か所、事業費49億2千5百万円となっており、江別の顔づくり事業と一体で進めているJR函館本線野幌駅付近の連続立体交差事業の高架工事の本格化や、奈井江町の14号東通踏切除去工事が予定されています。

▲街路事業 現況写真(8丁目踏切)
▲JR函館本線(野幌駅付近)連続立体交差事業(江別市)

 治水関係では、河川事業が、28か所51億5100万円となっており、主な事業としては、徳富川や柏木川等において、自然環境に配慮した河川整備を促進するとともに、千歳川流域河川において、直轄事業と連携した工事及び河川整備計画の策定などを行っており、平成21年度も長沼町の南9号川の嶮淵川遊水地と連携した河川改修事業を促進します。

▲徳富川広域河川改修工事(新十津川町) 河畔林の保全 ▲徳富川広域河川改修工事(新十津川町) 自然石を使用した水制工
▲柏木川広域河川改修工事(恵庭市)第1遊水地完成イメージ ▲柏木川広域河川改修工事(恵庭市)第2遊水地保全ポイント

 また、ダム事業は、当別ダムと徳富ダムの2か所で、事業費が91億5百万円となっており、特に、当別川の洪水調整や水道用水の確保などを目的とした当別ダムは、今年度から本体工事が本格化することとなっています。
 さらに平成11年から実施している厚田漁港海岸環境整備事業は砂浜の造成を行い、完成する予定です。

▲当別ダム建設工事(当別町)完成予想図
▲厚田漁港海岸環境整備工事(石狩市)整備箇所 ▲厚田漁港海岸環境整備工事(石狩市)完成イメージ

 このほか、ソフト対策事業として、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、土砂災害のための対策の推進を図るため、平成14年度から現地調査を進めています。
 昨年後半から続く、世界的な経済危機は、本道の景気や雇用などに極めて大きな影響を及ぼし、北海道は今、大変厳しい状況に直面しています。
 しかしながら、全国を上回るスピードで人口減少や少子・高齢化が北海道内で進む中、誰もが安心して暮らせる地域づくりを実現するために、社会資本の整備は必要不可欠です。
 一方、道路財源の一般財源化や、道路・河川の権限移譲について国と都道府県の具体の協議が行われるなど社会資本を取り巻く環境が大きく変わっていく中で、限られた財源で、全道の道路・河川などの整備を進めることはもちろん、これらライフラインの維持管理にシフトすることが重要と考えています。
 こうしたことから、道においては、的確で効率的な社会資本の維持管理を実現するため、この3月に、施設ごとの管理水準などを明らかにする「公共土木施設の維持管理基本方針」を策定しました。今後、この方針に基づき実施計画を作成することとなりますが、維持管理の在り方は、我々土木現業所の将来のあるべき姿だということに視点を据えて、しっかりと取り組んで参りたいと考えています。

北海道の地域社会づくりに貢献します
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