建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年6月号〉

寄稿

着々と進む緑立つ道〜第二京阪道路〜(後編)

国土交通省近畿地方整備局 前浪速国道事務所 副所長 先本 勉
(現 近畿地方整備局道路部道路工事課長)

岡山県出身
昭和48年4月 国鉄 大阪工事局採用
昭和63年4月 近畿地方整備局採用
平成16年7月 近畿地方整備局 奈良国道事務所 工事施工管理官
平成18年4月 近畿地方整備局 浪速国道事務所 副所長
平成21年4月 近畿地方整備局 道路部道路工事課 課長



(2009年3月号続き)

3.事業進捗状況
 現在、第二京阪道路では、上部工、下部工、舗装、遮音壁などの工事発注を終え、全線にわたって工事を展開しているところであり、今後は植栽やその他設備関係の工事などを順次発注する予定である。
 ここでは、代表的な高架橋工事の状況を3つ紹介する。



1)青山地区高架橋工事
 本工事は、大阪府交野市のJR学研都市線付近から大阪府道交野久御山線までの約900mの区間において橋梁上下部工及び盛土工を行うものである。民家の密集する市街地に隣接し、交通、環境、安全面に十分な配慮が必要な区間で、高度技術提案型(設計・施工一括発注)方式としている。(写真-2)

工事名:第二京阪道路(大阪北道路)青山地区高架橋工事
工事箇所:大阪府交野市倉治地先〜青山地先
工   期:H19.9.13〜H21.12.25
工事延長:L=889m
下部工事:盛土125,400m3
     ラーメン式橋脚10基
     張出式橋脚5基
     鋼管ソイルセメント杭277本
上部工事:20径間連続PC箱桁橋(4主桁)
▲図-5 青山地区高架橋の標準断面図
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 本工事の特徴は、工事工程短縮とコスト縮減を実現する施工技術として、橋脚の急速施工が図れる「帯鉄筋を組み込んだハーフプレキャスト工法(SPER工法:特許第2790986号)」が採用された。本工事で施工するラーメン式橋脚が10基と張出式橋脚が5基の内、ラーメン式橋脚に適用した。この工法は、マッチキャスト方式にて工場製作したハーフプレキャストセグメントを順次建込み、コンクリートを2リフトに分けて打設するものである。この工法を採用することにより、工場製作による高品質化、工事工程短縮効果、中性化進行抑制によるコンクリートの耐久性向上を図っている。
 また、上部工の急速施工として、「セグメント後方組立方式スパンバイスパン架設工法」が採用された(写真-3)。本工事の橋梁上部工架設は、盛土工事や下部工事が行われる中、並行して上部工の施工を進める必要があるため、主工法として採用された。工場製作されたプレキャスト部材を用いることにより高品質化が図られ、プレキャスト部材の組立、架設を全て橋面上で行うことにより盛土工事等の桁下条件に左右されずに効率的に施工を進めることが可能となった。

▲写真-2 青山地区高架橋工事施工状況(H20.9撮影) ▲写真-3 スパンバイスパン架設工法




2)茄子作地区PC上部工事
 本工事は、大阪府枚方市茄子作地区の約900mの区間において橋梁上部工を行うものである。上部工事のみであるが、橋長も長く統一した支間の連続する橋梁で、想定される構造形式・工法が複数存在すること、新技術・新工法の提案が望めることから、PC上部工の高度技術提案型(設計・施工一括方式)方式としている。

工事名:第二京阪道路茄子作地区PC上部工事
工事箇所:大阪府枚方市茄子作地先〜交野市星田地先
工   期:H19.3.23〜H21.3.10
工事延長:L=898m
上部工事:20径間連続PC箱桁橋
     2径間連続PC箱桁橋
     7径間連続PC箱桁橋
▲図-6 U桁リフティング工法
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 本工事の特徴は、工事工程短縮とコスト縮減を実現する施工技術として、「U桁リフテング架設工法」が採用された(図-6)。桁製作は、1径間を現場内の製作ヤードで製作し、リフテングガーダーにて1径間分の桁を架設する。一般的なスパンバイスパンに比べて、コスト縮減が図れる工法であり、急速施工、環境への配慮、高品質化も図れ、効率的に施工を進めることが可能となった。

▲写真-4 茄子作PC上部工事施工状況(H20.9撮影)




3)讃良地区鋼上部工事
 本工事は、四條畷市砂から門真市北巣本までの約1km区間の鋼上部工事であり、府道や市道及び寝屋川を横過するため、架設時には多くの制約を受けている。また、本工事は総合評価型発注方式とし、上部工架設工法等の技術提案を求めた。

▲図-7 讃良地区鋼上部工事の全体一般図
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工事名:第二京阪道路(大阪北道路)讃良地区鋼上部工事
工事箇所:大阪府四條畷市砂地先〜門真市北巣本地先
工 期:H19.12.5〜H21.10.30
工事延長:L=1,240m
鋼 重:約12,000t
上部工事:鋼8径間連続少数鈑桁橋
      鋼5径間連続箱桁橋
     鋼6径間連続少数鈑桁橋
     鋼2径間連続箱桁橋
     鋼4径間連続少数鈑桁橋
     鋼単純非合成箱桁橋
▲図-8横取り架設工法
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 本工事の特徴は、府道八尾枚方線上の橋桁架設において、あらかじめ地組立てした橋桁を大型搬送台車で道路上に運搬した後、一括で架設を行う(写真-6)ことで、府道の交通止め時間および交通止め日数の短縮を図っている。
 また、新家地区から讃良地区の橋桁架設工事は、一般道部の片側ラインを架設ヤードとし、限られた空間を有効利用することで、「横取り架設工法」(図-8、写真-7)を採用している。多径間に渡る橋梁全体の横移動は、高度な技術が要求され、安全かつ迅速な架設ができるように、十分な事前計画を行っている。

▲写真-6 大型伸縮ジャッキによる一括架設工法 ▲写真-7 讃良地区鋼上部工事桁架設状況




4.おわりに
 第二京阪道路では、平成21年度末供用に向け、周辺環境への配慮や工事の安全に留意しながら事業を推進している。地元、周辺地域、経済界など各方面からの供用の期待に応えられるよう、国NEXCO西日本、施工業者を始めとする関係者が一丸となって事業推進に取り組んでいるので、引き続き、ご理解、ご協力をお願いしたい。


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