建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年5月号〉

寄稿

室蘭岳の豊かな自然の恵みを享受

――チマイベツ浄水場更新・平成22年8月の供用開始予定

室蘭市水道部建設課 課長 伏見 行

 豊かな都市環境と災害に強いライフラインの確保を目指す室蘭市では、上水道施設整備に積極的に取り組んでおります。平成20年度から老朽化したチマイベツ浄水場の更新に着手し、今春から建設工事が本格化する見込みです。なお、3年後の平成22年8月の供用開始を予定しております。総事業費は約35億円となっており、新浄水場のコンセプトは、「室蘭岳の豊かな自然の恵みを享受し、先人の歴史(おもい)を受け継ぐ市民に親しまれる浄水場」をコンセプトとしております。
▲チマイベツ浄水場

 室蘭市の水道は、チマイベツ浄水場(昭和15年)・知利別浄水場(昭和32年)・千歳浄水場(昭和42年)の3浄水場体制で給水を行っておりました。
 しかしながら、人口減少による給水量の減少、施設稼働率の低下)、施設の老朽化、技術職員の一斉退職により、ますます経営環境も厳しくなる中で、将来に向けた対策として、平成17年2月に浄水施設再編計画を策定したところです。
 この中で、浄水場体制は、豊富な千歳水源の利用を前提に、再編のための経費や技術面などを考慮して、効率的で安定した供給が図られる、千歳・チマイベツ浄水場の2浄水場体制とし、知利別浄水場を休止としました。
 現在行っている浄水場の更新は、この計画に基づく事業でございます。

▲ペトトル水源 ▲浄水場混薬槽
▲浄水場左側面

 チマイベツ浄水場建設の経緯についてでございますが,現在の浄水場は,昭和15年に供用開始して以来約70年が経過しております。これまで、施設の改良工事や機器類の更新工事等により延命を図ってまいりましたが、建設年度古いことから耐震性能が低く、設備にも製造中止等により交換不能な設備があることなど、施設全体の老朽化が著しいため、既存の浄水場を廃止し,同場内に新しく浄水場を建設しております。
 更新施設の概要は、耐震化となる管理棟・水処理棟さらに天日乾燥床・排水池からなり、また、水処理方式は既存浄水場同様急速ろ過方式としており、より環境に配慮した「省エネルギー型浄水場」、さらに「維持管理しやすい浄水場」を目指して建設しております。
 工事は平成20年度に建築・土木・機械・電気・配管等の工事の発注を終え、平成21年から工事が本格化する見込みで、工事は3年継続で進めております。
 最後に、同浄水場の水利権は1万6500立方メートル(水源チマイベツ川・ペトトル川)の2河川となっており、室蘭市の1日最大給水量は4万4900立方メートルで、同浄水場をフル稼働させ、不足分を千歳浄水場で補う方針としております。


室蘭市水道部・チマイベツ浄水場更新に貢献します
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