寄稿
一般道道北檜山大成線は、せたな町北檜山区から太櫓地区、太田地区を経由して大成区に至る延長34kmの一般道道です。このうち、せたな町北檜山区新成から大成区太田までの延長9.6kmが開発道路に指定され、北海道開発局函館開発建設部が施工を進めています。 この路線は、交通不能区間の解消による新たな交通ネットワークの構築や、災害時の避難ルートの確保、そして個性ある地域の形成に貢献することが期待されています。地域の水産業や観光などの経済活動を支え、地域間の交流や連携、自立的発展には不可欠であるため、檜山管内の首長によって構成される期成会などから、早期の整備を要望されていました。
▲補強ロックボルト |
特に、沿線は急峻な山地が海岸線に続く地形であるため、落石や岩盤崩壊などの自然災害が発生しており、台風や低気圧による高波、越波などで頻繁に通行止めとなっていました。しかし、近隣へのルートはこの路線しかないことから、災害時における地域の孤立化の解消は地域住民の悲願でもありました。 そうした事情を反映し、地域の期待を背負って、私たちは太田トンネルの施工に当たっています。太田山は標高485mで、道南五大霊場の一つです。その象徴でもある太田神社は、454年に松前藩の祖である武田信広が太田大権現の称号を送って開基された、本道最古の山岳霊場でもあります。このため、施工に当たっては、そうした地域の歴史性と、信仰・文化を温存してきた自然環境を損ねることのないよう、細心の注意を払って進めています。
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