建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年5月号〉

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中山間地域の高度医療を支援し住民の生活不安を解消

――農産物の販路拡大と観光ルートの新規創設を可能にする

福山河川国道事務所 中国横断自動車道 尾道松江線


▲尾道ジャンクション(仮称)(西日本高速道路(株) 事業中)から三次方面をのぞむ
▲尾道松江線 位置図

 広島県尾道市から島根県松江市にかけて、山陽地方と山陰地方を結ぶ中国横断自動車道尾道松江線137qのうち、福山河川国道事務所が所管するのは、起点となる尾道市から三次市甲奴町までの33.3q(西日本高速道路且幕ニ区間0.9qを除く)の区間だ。  山陽自動車道尾道JCT(仮称)料金所を起点に、御調IC(仮称)、甲山IC(仮称)、甲奴IC(仮称)を経て、三次河川国道事務所所管の三次市吉舎町へとバトンタッチする。新直轄方式で、道路構造は4車線、設計速度は時速80qの自動車専用道路として計画されているが、先行して2車線を施工し整備中である。

 この路線のルートとなる中山間地域は、第三次医療施設に60分で到達できない地域が多く、中には50人以上が居住していながら医療機関が全くない無医地区も広域的に点在しているため、地区住民は生活不安を抱えた状態に置かれている。そのため、医療施設へのアクセス性の向上が求められていた。  また、産業構造は第一次産業に特化しているため、地域活性化の上では農産物の販路拡大が欠かせない。さらに将来の発展に向けては、企業立地や観光入り込み客の増加策などにより、リダンダンシーの確保も強く求められていた。  そこで、この路線の整備によって、尾道−松江間の移動は、従来の一般国道で約3時間50分も要していたのが、約2時間30分へと短縮し、尾道−三次間では約90分の所要時間が約70分へと短縮される。このため、医療施設への搬送時間が大幅に短縮されることにより、広域的に高度医療を受けることが可能となる。また流通の効率化も図られることから、地域経済の市場開拓、企業の新規参入の機会が拡大するとともに、さらに新たな観光ルートの創設が可能になるため、人流・物流がより活発化することが期待される。  尾道松江線は、こうした地域の要望を背負って建設が進められている。工事は現在、概ね全線で着工しており、既に御調川橋、岩根トンネル、宇津戸第一トンネル、宇津戸川橋、別迫トンネルなどが完了し、木ノ庄トンネル、木梨第一橋、別迫橋、小童川橋などが施工中である(橋梁、トンネル名は仮称)。





▲尾道松江線 標準断面図
尾道・松江自動車道安全衛生協議会 世羅・甲奴地区
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