建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年4月号〉

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山陽と山陰を結び新しい国土軸を形成

――瀬戸内海から日本海まで短時間で直行

三次河川国道事務所・松江国道事務所 中国横断自動車道 尾道松江線


 山陰と山陽地域を地域を南北に貫く中国横断自動車道尾道松江線が、早期供用に向けて建設されている。広島県尾道市を起点とし、三次市付近で中国縦断自動車道に接続。さらに中国山地を横断して島根県松江市を終点とする延長137qの路線で、このうち111qは平成15年12月から新直轄方式に移行し、無料の高速道路として建設されている。山陽自動車道・中国自動車道・山陰自動車道及び西瀬戸自動車道を連結して中国四国地方の高速道路ネットワークを形成するもので、山陰と山陽間の連携を強化し、時間短縮による交流促進を図るのが目的だ。特に、山陰の中核である中海・宍道湖圏域と、中国地方の中心地である広島都市圏域を高速で結ぶことにより、大きな経済効果や交流人口の飛躍的増加が期待され、両地域住民の安全・安心なくらしを支える道路として、また山陰〜山陽間の交流促進・経済活動の活性化を促す道路として、地域社会に貢献する道づくりをめざし事業を展開している。


三次河川国道事務所
▲三次JCT・IC(仮称) 完成予想図
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▲尾道松江線 位置図
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 備北地域は、山陰と山陽を連絡する陸運・水運の拠点として、三次市を中心に古くから発展してきた。江戸時代に街道の整備が進み、5本の支線が三次市を起点として集中する交通体系となっていた。現代では、古くから整備されていた鉄道交通の利用が減少する一方で、道路交通への転換が進んでいる。このため、備北地域は今後とも道路交通への依存が高まり、安全で快適な道路整備がより一層重要になると予測される。
 三次河川国道事務所は、このうち三次・庄原地区「L=52.1q」を担当しており、今年度から地域が一体となって設計コンペや用地買収、建設工事を促進していくための推進プロジェクトチームを結成するなど、県、市との連携・協力を強化しつつ早急な供用を目指して取り組んでいる。
 所管区間は、広島県三次市吉舎町から庄原市高野町までで、道路の構造は4車線、暫定2車線で、設計時速は80qとなる。
 この路線の整備によって、西瀬戸自動車道(瀬戸内しまなみ海道)と一体となって、中国四国地域を結ぶ新たな広域連携軸を形成する。また、備後・備北地域や松江、出雲などの沿線地域はもとより、さらに四国方面へ向けた広域的な経済圏、商業圏が形成される。そして、山陽〜山陰間が約2時間で結ばれ、完全な日帰り圏となるため、産業活動や医療、教育などの行動圏が拡大する。沿線地域が持つ多様な観光文化資源を有機的にネットワークすることで、広域的な観光圏が形成されるなど、地区住民のビジネスと生活の可能性を大きく広げることが期待できる。



松江国道事務所
▲吉田掛合IC(仮称)完成予想図
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▲断面図
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 松江国道事務所は、広島県境から三刀屋木次ICに至る延長約25kmを所管しており、建設を進めている。
 平成5年度に施工命令が出された、三刀屋木次ICから松江玉造ICに至る延長約26kmについては、NEXCO西日本(旧・日本道路公団)の施工により、平成15年3月までに開通している。尾道JCTから三刀屋木次IC間は、同年12月から国と地方の負担による新直轄方式に移行した区間で、このうち広島県境から三刀屋木次IC間の延長約25kmについて松江国道事務所が事業を担当している。
 主な構造は、ICは吉田掛合に1箇所、トンネルは6箇所(総延長約6.1km)、橋梁は15橋(総延長約2.9km )を要し、中でも県境部の大万木トンネルは延長4,878mと、中国地方の道路トンネルとしては最長であり、尾道松江線を代表する構造物となる。
 施工に当たっては、事業者と地域住民との調整を行う組織として、各地区毎に選出された委員により構成される「工事委員会」を組織し、地域の意見を反映しつつ工事を進めている。
 委員会では工事着手にあたって事前に工事内容等を説明するほか、工事期間中も必要に応じて工事に関する安全対策等の協議を行っている。また、委員は各地区内の意見を調整するなど、尾道松江線の事業推進に貢献している。
 工事はすでに中野高架橋、下熊谷高架橋などが完了し、現在は大万木トンネル、杉戸第一橋、第二橋、吉田トンネル、大吉田川橋、木ノ下高架橋、川尻高架橋、川尻トンネル、吉田川橋、後谷川橋、吉田掛合IC、大志戸川橋、飯石川橋、高瀬山トンネル、石廻高架橋、上熊谷トンネル、正理川橋、深谷川橋、三刀屋木次インターチェンジなどが着工している。

▲雲南市三刀屋町地内 ▲雲南市木次町地内
尾道松江線建設工事安全対策協議会 松江地区・三次地区に貢献します
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