建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年3月号〉

寄稿

着々と進む緑立つ道〜第二京阪道路〜(前編)

国土交通省近畿地方整備局浪速国道事務所 副所長 先本 勉

岡山県出身
昭和48年4月 国鉄 大阪工事局採用
昭和63年4月 近畿地方整備局採用
平成16年7月 近畿地方整備局 奈良国道事務所 工事施工管理官
平成18年4月 近畿地方整備局 浪速国道事務所 副所長



1.第二京阪道路の概要
 第二京阪道路は、京都と大阪を結ぶ延長約28.3kmの道路であり、6車線の自動車専用道路と2〜4車線の一般道路からなる国道1号のバイパスである(図-1)。
 主に一般道路の上部に自動車専用道路が整備される高架区間、周囲の地盤高より低い位置に自動車専用道路等が整備される堀割区間により構成される(図-2)。国土交通省が行う国道1号の改築事業と西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)が行う一般有料道路事業との合併施行方式で整備を進めており、既に阪神高速道路8号京都線との接続部から枚方東ICまでの約11.4kmを供用している。残る約16.9kmについても平成21年度末供用を目指し、鋭意事業を進めているところである。
 現在、第二京阪道路では、上部工、下部工、舗装、遮音壁などの工事発注を終え、全線にわたって工事を展開しているところであり、今後は植栽やその他設備関係の工事などを順次発注する予定である。ここでは、第二京阪道路の高架橋区間の橋梁形式及び代表的な橋梁工事の状況を紹介する。

▲図-1 第二京阪道路位置図 ▲図-2 第二京阪道路標準断面図
▲写真-1既供用の京都府域の橋梁

2.緑立つ道と橋梁形式
 第二京阪道路は「緑立つ道」の愛称で親しまれ、総合的な道路景観・デザインのあり方を検討するために、「緑立つ道」デザイン委員会が平成元年2月に発足した。その後、第二京阪道路(京都府域)デザインアドバイザー会議そして、第二京阪道路(大阪府域)デザインアドバイザー会議にて、高架橋の基本デザイン案が提案された。
 デザインの目標としては、公共土木構造物としての質実さを追求し、すっきりとして圧迫感を感じさせないかたち、及び力学的合理性と経済性への配慮をしたデザインを目指した。多種多様なデザイン・提案に基づいて検討した結果、以下のデザインが採用された。
 京都府域の橋梁形式は、現場打ち施工によるPRC中空床版橋が基本で、標準支間長が27mである。この付近は、比較的に交差点・交差道路が少なく、規模も小さいことから27mの標準支間で連続化が図れ、経済性・施工性より選定された。(写真-1)
 大阪府域の橋梁形式は、北側の枚方市津田南から寝屋川市寝屋の約6kmと南側の寝屋川市高宮〜門真JCTの約6kmで大きく分類される。北側の高架区間は、交差道路が多く、鉄道を横過する箇所もあり、支間長が長くなる特殊部が多く発生した。そこで、標準部と特殊部で極力と構造形状を統一でき、景観的に配慮し、経済的なPC連続箱桁橋を基本とし、標準支間は約40mである。また、交差点部等の特殊部は支間長が長くなるが、標準部と同型式のPC連続箱桁橋(片持工法、支保工法など)が可能となり、連続性が図れる。また、コンクリート構造物の重厚感、威圧感を和らげるため、橋脚にはアクセントのある縦スリットや滑らかな曲線処理を施した。(図-3)。
 南側の高架区間(寝屋川・門真地区)は、北側(交野市域)に比べて地質が悪く、支持層が深いため、下部工への負担、下部工の基数を減らすため、上部工重量が軽い鋼連続桁橋を採用している。経済性、構造性、施工性の観点から、鋼連続少数鈑桁(3主桁)を基本とし、標準支間長は50mとした。また、交差点部等の特殊部は、支間が長くなるため、鋼連続箱桁橋を採用している(図-4)。
 鋼橋区間の床版形式は、PC床版の採用により主桁間隔を広げ、主桁本数を減らし、省力化とコスト縮減・耐久性向上を図る構造となっている。下部構造は、縦断計画が交野市域に比べて高く、一般道が専用部の真下にくるため、橋脚高が高いラーメン式橋脚を採用している。また、橋桁に生駒山系の山々や植栽帯のみどりと調和する塗装色(海松藍(みるあい))を採用したりするなど、周辺の景観に溶け込むように配慮している。

▲図-3 枚方・交野市域の高架橋パース ▲図-4 寝屋川・門真市域の高架橋パース

(以下次号)

第二京阪道路の施工に貢献しています
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