建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年3月号〉

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市民・企業・行政が協働での雪対策を推進

――冬本番を迎え39地区マルチゾーンの除排雪体制整う

札幌市特集・札幌市雪対策室

平成20年度道路除雪体制・事業計画

<はじめに>
 積雪寒冷都市、札幌は人口190万人を擁し、降雪量が、年間6mにも及ぶ北方圏においてまれな都市です。  札幌市民にとって毎年の雪の処理は、最大の関心事で、市政調査においても、「よくやっていると思う施策」2位と市民の皆様より一定の評価を得ているが、その反面「力を入れて欲しい施策」では、31年間連続して第1位となるなど、様々な要望が寄せられております。
 このことから、冬期間の交通の確保や生活環境の創造など、除雪事業については、市政の重点課題として充実を図ってきました。
 また、現在、札幌市が管理する道路延長は5,400qを越え、降雪時の除雪体制は、円滑な都市交通を短時間で確保するため、1,000台に及ぶ除雪機械と3,000人の作業員が全市的規模で稼働し都市機能を維持しています。
 このような背景から、多額の予算を投入し事業を展開してきましたが、本市を取り巻く今日の社会経済情勢は厳しい財政状況、あるいは、市民の多様化するニーズなど、想像を超える速さで変化しており、そのため、事業の見直しや新たな雪対策の展開を考えていかなければならない時期になっております。

▲よくやっていると思う施策 ▲力を入れて欲しい施策
▲除排雪に携わる企業の推移

<除雪事業者の推移>
 本市では、市内を39マルチゾーンに分割し除排雪作業を行っており、除雪作業を担うのは、主に建設業を営んでいる企業です。
 これらの企業は、公共事業の縮減や景気低迷により民間需要の停滞、企業間競争の激化などで利潤低下が顕著にあらわれ、経営状況の悪化により機械投資が困難な状況となっています。さらに、作業員の高齢化などで除雪業務からの撤退など、本市の除雪事業に影響を及ぼしております。
 除雪事業者数は、昨年の平成19年度までは200社を超す除雪事業の参入がありましたが、今年度は、200社を下回る結果となっています。
 今後の除雪業務体制を維持していくためには、入札や契約制度のあり方、除雪作業を担う企業の経営の安定化などを考えた、工夫をこらした様々な検討が必要と考えております。

▲除雪機械の使用年数
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<今冬の除雪事業計画>
 除雪事業の実施にあたっては、「札幌市雪対策基本計画」に掲げた3つの基本方針「冬期道路交通の円滑化と安全性の向上」、「パートナーシップによる冬期生活環境の充実」、「人と環境にやさしい雪対策の実現」に基づき、限られた予算の中で効果的・効率的な各種事業を展開しております。
 20年度は、@事業費(除雪費)14,415百万円を計上、車・歩道の除雪や排雪、雪たい積場管理費などの道路除雪費。ロードヒーティングや流雪溝、融雪槽の整備・維持管理費などのその他雪対策関係費。A除雪体制は市内39地区に分割。地区毎に39のマルチ除雪共同企業体において、作業期間を11月1日から3月30日の150日間の除雪体制を整えるB除排雪規模では、除雪延長は5,231qで道路管理延長5,421qの96.5%を対象に実施。排雪延長は幹線・補助幹線を主体に1,353qを実施Cパートナーシップ(生活道路排雪支援制度)として排雪延長は1,466qを見込んでいるD雪処理関連としては一般用32、市専用42、計74箇所を開設し計画搬入量1,622m3の容量を確保。雪処理施設は、市民が利用する流雪溝を供用。融雪槽、雪処理施設は市専用で処理に当たる。
 また、地域と創る冬みち事業や除雪機械の増強も進めていきます。

▲標準排雪断面

<おわりに>
 現在、札幌市は、「第2次札幌市雪対策基本計画」を策定中です。検討にあたっては、今後の雪対策の視点として、@施策の選択と集中によりメリハリをつけた事業展開A市民企業との協働の推進B「ハード」から、より一層の「ソフト」施設重視と、平成21年度から向こう10年間の雪対策のあるべき姿を示します。  時代の変化に対応した雪対策を推進していくためには、常に計画の再評価を行い、可能なものから見直し改善を図り、市民・企業・行政が協働、共通の認識をもって、雪対策を進めていくことが不可欠と考えています。

札幌市・道路除雪事業に貢献するマルチ除雪共同企業体
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