建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年1月号〉

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多様な産業の物流をサポートする苫小牧港

――企業立地の進展にともない機能強化に着手

苫小牧市 苫小牧港管理組合


▲東港国際コンテナターミナル航空写真

 北海道の工業都市・苫小牧市を玄関口として、本道の物流拠点となっている苫小牧港は、今後の北海道経済の構造転換において重要なインパクトを持っており、経済的自立への足がかりでもある。本道の工業経済の牽引役となる苫小牧港の近況とともに、その運営方針と20年度の施設整備を特集した。

苫小牧港をめぐる動勢
 外航定期船は、コンテナ船の輸送体制や航路改編が続けられている中で、内航定期船では平成19年1月に苫小牧−大洗航路が商船三井フェリーの単独運航へと変更され、4月には東京航路のRORO船が1隻増えた一方、5月には「ちとせ」が休止となった。
 苫小牧東部地域と西港区臨海部への企業立地動向は、19年4月に苫小牧埠頭(株)が4基のオイルターミナル灯油タンクを増設し、平成20年に完成。19年3月は岡谷岩井北海道が設立し、自動車関連工場など、工作機械の設計、製作、改造に着手。また、工具商社の東陽が営業所を開設。19年4月には佐藤商事と三和油化工業が操業開始するほか、アイシン北海道もアルミダイカスト工場を操業。9月にはオエノンホールディングスが、バイオ燃料プラントの概要を公表。また、松江エンジニアリングが、自動車部品鋳造のための金型製造業を操業する予定で、平成20年12月光生アルミニューム工業が、自動車用アルミ部品としてアルミホイールの製造開始。さらに平成20年2月には、アイシン北海道がウォーターポンプの生産を、当初計画の二ヶ月前倒しで開始した。

▲東港国際CT ▲H20東港整備用地 ▲H20東港整備検査場上屋

時代の要請に即した体制整備とインフラ整備
 こうした動勢に対応すべく、苫小牧港は「選択と集中」、「効率的な運営」を基本方針としつつ快適で安全・安心な総合港湾として整備が進められている。特に、今日では企業間の競争激化により、物流コストの低減と効率化が強く求められているため、それに即した港湾機能の強化や高効率の運営、使いやすい高レベルのサービスが、今後のポートセールスにおけるポイントとなる。
 そこで、苫小牧港管理組合としては、苫小牧港の将来像を示し、港湾行政の説明責任や効率的で質の高い施策の立案や事業展開を図るための情勢変化に即応しつつ、行政マネージメントの確立を目指す。
 一方、施設については、西港区は建設後40年以上が経過しており、その間にも利用増にともなう狭隘化と、各施設の老朽化が進んでおり、しかも荷役形態の変化や、荷役の効率化など、利用者ニーズの変化による問題点が発生している。
 これらを解消するため、老朽化した施設の機能を保全すると同時に、防波堤や老朽岸壁を改良するほか、埠頭用地を整備している。また、臨海交通施設機能を整えるため、埠頭間道路の整備を継続する。
 東港区では、西港区の混雑・狭隘化の解消を図り、港湾施設の充実による競争力強化に向けて、国際コンテナ取り扱い拠点を西港区入船国際ターミナルから東港区中央ふ頭へ移転・集約し、中央ふ頭耐震強化岸壁(-12m)の早期供用を目指す。このため、弁天地区航路や泊地浚渫、耐震強化岸壁の整備、埠頭用地の整備などに着手する。西港区は汐見地区小型船溜まりの改良整備のための調査を開始する他、漁港区も狭隘化が進んでおり、漁船の係留や荷さばき、外来漁船の利用拡大に支障を来しているため、施設拡張のための調査に着手する。
 さらに同港は、工業港として整備されてきたが、地域との結びつきも強化するため、地域住民の憩いの場となる親水空間として、北ふ頭で緑地を含むウォーターフロントを整備すると同時に、勇払マリーナは民間活力を利用し、指定管理者制度によって運営する。一方、改正SOLAS条約に基づく港湾施設の保安対策として、人的配置などにより制限区域の出入管理を強化する。

▲H20東港整備ヤード舗装西 ▲H20東港整備照明工 ▲H20東港整備排水工

国内自動車産業誘致とともに国外への売り込みも目指したポートセールス
 こうした体制を整備しつつ、18年7月に官民が一体となって設立されたポートセールス会議において、引き続き自動車関連企業の立地を目指し、トップセールスに力を入れていく。のみならず、海外でも効果的なポートセールスを進めると同時に、国際交流を推進するため中国秦皇島港との友好交流を深めていく方針だ。


平成20年度・苫小牧港管理組合事業 東港区中央ふ頭工事に貢献します
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