建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年8月号〉

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西札幌病院と札幌南病院を統合・強化される「北海道医療センター」

――医療の総合化と高度化により基幹総合病院としての機能に期待

シリーズ・医療の危機を救う  国立病院機構 北海道医療センター


▲外観

 独立行政法人・国立病院機構西札幌病院は、同じく国立病院機構札幌南病院と統合し、「北海道医療センター」として西札幌病院敷地内で新たな統合病院として再開発を進めている。  基本方針としては、北海道内の「神経・筋疾患、成育医療、免疫異常」に関する中心的施設として、ナショナルセンターなどとの連携の下に、高度で専門的な医療、臨床研究、教育研修と情報発信の機能を備え、さらに「がん、循環器病など」に関する専門的な医療機能も備えた病院となる。また、災害時の診療支援機能を備え、北海道内における高度で総合的な医療機能を備えた施設を目指している。
 建設地は西札幌病院敷地の札幌市西区山の手5条8丁目1番1号で、当初の計画では新病院棟、外来食堂・更衣棟、機能訓練棟、病棟・管理棟、臨床研究棟が配置される計画だったが、建築基準法改正にともない、ほとんどの施設を新病院棟に集約し、臨床研究棟、給食センターは別棟として再開発されることとなった。
 各部門の具体的な整備計画としては、救命救急病棟(30床)、がん系病棟(50床)、外科系病棟(50床)、成育・小児病棟(50床)、内科系病棟(50床)、循環器系病棟(50床)、混合病棟(50床)、神経・筋病棟(40床x2単位)、結核病棟(50床)、精神病棟(40床)を新築整備することにしている。

▲鳥瞰図

 一方、外来診療・中央診療部門においては、外来診療部門、救急部門、予防医学外来部門、放射線診療部門、検査部門、薬局部門、医事部門(地域医療連携室を含む)を新築整備する。この他、臨床研究・教育研修部門も別棟として改修整備する計画だ。
 その結果、病棟数は一般病棟9棟、結核病棟1棟、精神病棟1棟という構成になり、総病床数は500床で、うち一般410床、結核50床、精神40床という内訳になる。
 診療科目は内科、糖尿病・脂質代謝内科、腎臓内科、心療内科、精神科、神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、外科、整形外科、呼吸器外科、泌尿器科、婦人科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科で、その他、病院の機能(救命救急等)に応じて設置することとしており、総合病院として体制が整うことになる。
 これによって、診療機能も拡充され、がん、循環器病、腎疾患、呼吸器疾患、内分泌・代謝性疾患、骨・運動器疾患、肝疾患、神経・筋疾患、成育医療、免疫異常、精神疾患の医療に対応するとともに、結核の拠点施設としての機能も持ち、大規模災害時の診療支援や、エイズ治療拠点病院として機能するほか、救命救急センターとして第三次救急医療、精神科救急、移植医療にも対応することができる。
 また、そうした高度総合医療施設としての機能を実現するため、最新の医療機器を装備する方針で、SPECT、マルチスライスCT(64列)、MRI(1.5T)、デジタルアンジオ装置などが導入される予定だ。
 なお、新病院に隣接して札幌市立山の手養護学校があり、新病院とは3階部分で渡り廊下で接続することになる。
 完院は、平成21年度(平成22年3月1日目途)としており、医療と施設、設備の高度化によって、これまで総合病院がなかった西区の基幹病院として、地域への医療貢献を目指している。


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