建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年7月号〉

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今年からいよいよ本体着工の井手口川ダム

――出水に苦しめられてきた井手口川下流域住民に朗報

佐賀県 井手口川ダム


▲ダム平面図
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 佐賀県は、松浦川水系井手口川の伊万里市大川町東田代地先に、多目的ダムとして井手口川ダムの建設を進めている。これは井手口川総合開発の一環として行われるもので、松浦川水系の井手口川下流域は、昭和51年や平成2年をはじめ、それ以降にも出水が発生し、その都度、家屋の浸水など多大な洪水災害を受け、地域住民は悩まされ続けてきた。このため、緊急な治水対策が求められていた。

▲貯水池平面図
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 一方、伊万里市においては、近年の下水道の普及など生活水準の向上と、企業誘致の進展による経済的発展に伴い、水需要が大幅に増加してきたことから、新たな水道水源の開発が急務となっている。
 これらの事情から、県は洪水調節、既得取水の安定化、河川環境の保全、そして伊万里市の水道用水の水源確保を図るために、井手口川中流部に、多目的ダムとしての井手口川ダムを計画。ダム形式は、重力式コンクリートダムで、高さ43.7m、総貯水容量2,180,000lm3、有効貯水容量2,030,000m3。

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 これによって、ダム地点の計画高水100m3/sのうち、75m3/sの洪水調節を行い、井手口川沿川地域の水害を軽減する。また、ダム地点下流の井手口川沿川の既得用水補給を行うなど、流水の正常な機能の維持・増進をはかる。渇水時には、河川に水を補給することにより、河川に生息・生育する動植物の保護、河川環境の改善が可能となる。さらに、企業誘致や人口集積の進む伊万里市に対しては、水道用水として新たに4,000m3/日(0.047m3/s)の供給を行う。
 施工は、今年度からのダム本体着工に向け、19年度に付替県道工事を大幅に促進させ、本年5月に付替県道を一部暫定で供用開始し、交通を切替えた。その後、ダム本体の基礎掘削に取りかかり、12月上旬にはコンクリート打設を開始する予定だ。


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