建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年7月号〉

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島根県で本格的な風力発電所が建設

――高騰する原油からの脱却とCO2の大幅削減に絶大な効果

島根県企業局 江津高野山風力発電所


▲組立が完了した3号風車 ▲6号風車からの遠景

 島根県企業局は、江津市高野山周辺で風力発電所の建設を進めている。これは「島根県地球温暖化対策推進計画」と「島根県地域新エネルギー導入促進計画」に基づくもので、自然の風を利用した環境にやさしいクリーンな新エネルギーの開発を目指すもの。
 建設地は江津市二宮町、千田町、敬川町(高野山周辺)で、風車機種はドイツ・ノルディクス社製のIN-2300。風車規模は定格出力2,300kw×9基=20,700kw。タワーの高さは地上から羽根の中心までが80m、羽根の直径は90m。工事は順調に進んでおり、この5月には7機(西側5機完了、東側2機完了)の風車が完成。平成20年11月に営業運転を開始する計画だ。

▲下面配筋状況 ▲組み立て中の8号風車

 平成15年9月から16年8月の間に、5号機建設地である標高215mの地点で行われた風況調査データによると、年間平均風速は5.0m/s(観測高度30m)が記録され、ハブ高さ80mで9機の年間平均値は、風況シミュレーションと年間発電量の算定によると6.1m/sが見込まれる。これによって年間発電量は約3,800万kwhとなり、約10,400世帯分を賄える見通しだ。

▲ボトム吊り上げ状況 ▲ハブ吊り上げ状況

 これによって、地球温暖化防止に不可欠な二酸化炭素削減量は、年間約21,000t分と試算され、これは自家用車約7,300台分の年間排出量に匹敵する。また、化石燃料の枯渇対策の視点では、原油削減量が年間約9,600klが削減可能で、200Lのドラム缶約48,000本に相当する。
 県企業局としては、こうした風力を生かした環境対策となる大規模風力発電開発の先導的役割を果たし、そのノウハウを公開して県内外に環境保全意識の高揚を図るとともに、観光資源としても活用していく方針だ。

発電施設計画概要
造成敷地の標高:最高地点は6号機257m
風車基礎直径:16m
風車基礎構造:場所打杭基礎
(直径1.2m,杭長10〜36m,杭本数20本)
変電所:変電設備一式(1号機横)

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