建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年6月号〉

寄稿

大規模な道路改良の完成で一息

――地域の将来に必要なインフラ予算も確保

旭川土木現業所事業部長 中西 由一

中西 由一 なかにし・ゆういち
昭和32年4月5日 新十津川町生まれ
昭和51年3月 北海道滝川高等学校卒業
昭和55年3月 北海道大学工学部土木工学科卒業
昭和55年4月 北海道庁入庁
平成12年4月 北海道旭川土木現業所事業第二課主幹
平成13年4月 北海道室蘭土木現業所治水課長
平成16年4月 北海道建設部砂防災害課主幹
平成19年6月 現職

平成20年度 旭川土木現業所事業概要

◇はじめに
 厳しい財政状況のなか、上川の美しい自然や資源などの潜在力や優位性を最大限に活かし、個性豊かな活力ある地域社会の形成を促進するため、より一層、「選択と集中」の観点に立ち、効率的・効果的な社会資本整備の推進を図ります。
 旭川土木現業所における平成20年度事業当初予算の単独事業を含めた総額(平成19年度現年補正分を含む、道州制地域連携モデル事業を除く)は、昨年度で旭川多度志線道路改良(湯内トンネル他)などの大型工事が完成したことにより、212億1千5百万円、対前年比86.3%となりましたが、地域の将来にとって必要な社会資本を整備する予算は、一定程度確保されました。
 このうち、公共事業については、道路事業と街路事業の合計で126億8千7百万円、対前年度比88.4%、治水事業は、71億4千7百万円で対前年度比83.7%、また、単独事業については、道路・河川・砂防事業を合わせ13億8千1百万円、対前年比96.8%となっています。
 事業の実施にあたっては、地域の経済や雇用状況に配慮するとともに入札制度の改革を通じ、「技術と経営に優れた企業」が正しく評価され、成長できる公正な市場環境づくりに努めてまいります。入札手続きの客観性や透明性を高め、公正な競争を促進させる観点から、1千万以上の公共工事については、原則として制限付一般競争入札とします。さらに、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に基づき、価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する総合評価方式を順次拡大していきます。  また、建設業の経営効率化を促進するために「三者検討会」などの取組を一層進めていくとともに、「建設業経営効率化協議会」を活用し、引き続き建設業の経営体質強化に向けた取組の充実や改善を図ってまいります。
 今年度は、金星橋の完成、旭川多度志線「湯内トンネル」の開通に伴う通年交通の確保や道立広域公園「サンピラーパーク」の全面開園などを予定しています。この他にも、「北彩都あさひかわ」の関連事業や十勝岳火山防災対策事業、「西岡ダム」の本体工事など、各事業を推進していくとともに適切な維持管理による既存施設の長寿命化にも努めてまいります。
 誰もが安全で安心して、快適に暮らすことのできる地域社会の形成に向けて、自然と調和した施設整備を行うなど、環境にも十分配慮して、質の高い社会資本整備を引き続き進めてまいりますので、皆様のご理解、ご協力をお願いいたします。

■道路・街路・公園事業

地域の発展の基盤となる幹線ネットワークの形成
 観光、農林水産業の活性化や圏域間交流の促進のため、高規格幹線道路と一体となった幹線道路ネットワークの整備を推進する。
 高規格幹線道路の関連事業として、占冠インター線、3・3・7旭町通などの整備を 推進する。
 旭川空港へのアクセスとして、地域高規格道路「旭川東神楽道路(鷹栖東神楽線)」 の環境アセスメント手続きを進めるとともに、旭川空港線などの整備を推進する。
 地域高規格道路「富良野道路(南富良野ICアクセス)」関連として、山部北の峰線の整備を推進する。
少子・高齢化、人口減少など時代の潮流に対応しうる、持続可能で活力ある地域社会の形成
 地域の中核都市の再生を図るための基盤整備を推進する。
 北彩都あさひかわ(旭川駅周辺整備事業)を推進する。
 都市交通の円滑化を図るため、環状・放射道路の整備として鷹栖東神楽線、3・3・3一条通の事業を推進し、渋滞対策として3・3・8金星橋通の事業を推進する。
 ユニバーサルデザインの視点に立ち、冬期も踏まえたバリアフリー施策の推進を行う。
 歩行空間のバリアフリー化として、上富良野旭中富良野線、温根別剣淵停車場線、 風連停車場線(新規)、旭川環状線(新規)などの整備を推進する。
 地域連携強化、都市と農山漁村の交流・共生を促進するネットワークを整備する。
 地域連携強化事業として、愛別当麻旭川線(新規)、鷹栖東鷹栖比布線(新規)、旭川幌加内線などの整備を推進する。
 中心市街地の活性化などのまちづくりを支援する。
 まちづくり支援事業として、3・3・8東2丁目通(立体交差・上川町)などの整備 を推進する。
 農産物などの地域内物流ルートの整備を行う。
 農産物の出荷ルートの整備として、鷹栖東鷹栖比布線(新規)、天人峡美瑛線(横牛橋、橋梁補修)(新規)の整備を推進する。
安全・安心が確保された地域社会の形成
 災害に強く安全性の高い道路整備を行う。
 耐震対策として、旭名寄線(跨線橋耐震補強)などの整備を推進する。
 冬期における安全で快適な道路交通を確保する。
 吹溜り発生箇所の整備として、紋穂内停車場線(吹溜り)(新規)、堆雪幅を確保 するため旭川幌加内線(江丹別峠)などの整備を推進する。また、冬期交通不能 区間の解消のために鷹栖江丹別線の整備を推進する。
 交通事故対策を推進する。
 事故危険箇所の整備として和寒幌加内線(視距改良)の事業を推進し、自歩道の整備として東川東神楽旭川線、温根別剣淵停車場線、踏切の構造改良として石勝 高原幾寅線(新規)、奈江富良野線(新規)、北旭川停車場永山線(新規)などで 事業を推進する。また、橋梁高欄の整備として旭川環状線(秋月橋)で工事を行う。
 適切な維持更新による交通機能の確保を行う。
 橋梁関係では、天人峡美瑛線(横牛橋・鋼製支承補修)(新規)、美深雄武線(再塗装)(新規)などを行う。
 士別滝の上線でのシェルターの補修工事を行い、道路ヒーティング補修工事を旭川幌加内線(新規)、旭川環状線(新規)、温根別ビバカルウシ線(新規)で行う。
 気象情報収集装置の整備に関しては、平成20年度から事業課のシステムを優先して整備(新規)する。
豊かな自然を生かした観光立国の実現
 広域観光を支える観光拠点、レクリエーション施設の整備を行う。
 広域観光ルートの整備として愛別当麻旭川線(当麻町市街地)(新規)、上富良野旭中富良野線の整備を推進する。
 観光拠点のアクセス道路の整備を推進する。
 観光拠点へのアクセスルートとして、朱鞠内風連線(朱鞠内湖)、旭川空港線(ウエルカムロード)、奈江富良野線(富田ファームなど)、十勝岳温泉美瑛線(白金温泉)、吹上上富良野線(十勝岳温泉)、瑞穂旭川停車場線(旭山動物園)、麓郷山 部停車場線(麓郷の森)などの整備を推進する。
 サイクルネットワークの整備を行う。
 大規模自転車道の整備として旭川層雲峡自転車道線の整備を推進する。
 観光拠点等のサイクルネットワークの整備として、留辺蘂上富良野線の整備を行う。
 シーニックバイウェイ北海道を推進する。
 旭川空港線ウエルカムロードの景観再整備を推進する。

■河川・ダム事業

洪水などから地域住民の人命や財産を守る安全性の高い治水対策の推進
 農地や市街地を流下する河川の流域一帯における治水機能の向上を図るため、富良 野川・剣淵川などの重点整備を図る。
 地域の浸水被害を防止し安全性を高めるため、比布川(比布町)・西達布川(富良野市)・豊栄川(名寄市)・雨紛川(旭川市)などで事業を推進する。
 都市化の進展などに対応した都市河川対策として、ポン川(旭川市・東神楽町)、牛朱別川(旭川市外)の整備を推進する。
自然環境の保全を図り、水と緑豊かな「生きている川づくり」の推進
 生物の良好な生息環境を保全・創出するための川づくりや、周辺の景観や地域整備と一体となった河川整備を推進する。
地域に密着した生活貯水池事業の推進
 貯留施設による治水・利水対策として西岡ダムの整備を推進し、引続き、堤体盛立て、管理設備の建設を実施し、平成21年度の事業完成を目指す。
 昭和42年度より実施していたベベルイ川障害防止事業について、一期改修の完了を図る。

■砂防事業

十勝岳周辺地域における火山防災施設の整備と緊急時防災体制の確立
 土石流や十勝岳噴火に伴う火山対策として、富良野川の3号ダム嵩上げ、布部川、ヌッカクシ富良野川・ポン布部川における砂防工事を推進する。
 十勝岳噴火に伴う土石流や火山泥流に対応した警戒避難に資するため、「十勝岳噴火警戒避難対策事業」により、監視機器等の整備を推進する。
土石流などから地域住民の人命や財産を守る砂防施設の整備
 渓流の保全を図り下流域を土石流などから守るため、八幡の沢川(名寄市)・若牛内川(愛別町)の整備を推進する。
 土砂災害に備えるため、ピヤシリ川(名寄市)における砂防施設の整備を推進する。


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