建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年6月号〉

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環境サミットにふさわしいプレスセンターを建設

――雪冷房システムその他幅広い環境技術を動員

外務省・北海道開発局 北海道洞爺湖サミット国際メディアセンター(IMC)

 北海道開発局は、外務省からの支出委任を受けて、平成20年7月7日から9日を会期とする北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)のプレスセンターとなる国際メディアセンターの整備を進めている。建設地は虻田郡留寿都村字泉川(ルスツリゾート敷地内)で、プレスセンター棟は鉄骨造、地上2階建、 1棟。議長・各国首脳会見場棟は、鉄骨造、地上1階建、1棟。施設規模は延べ面積 約11,000u(両施設合計)で、報道関係者は邦人3,000人、外国人1,000人が利用。単なる報道ステーション機能だけでなく、環境サミットとされる今回のテーマに相応しく、施設自体にも環境に配慮した様々な機能が盛り込まれている。

▲国際メディアセンター完成イメージ図(北海道開発局 提供)

今回のサミットでは、環境・気候変動が最大のテーマとされることから、計画に当たっては環境負荷の低減に最大限に考慮されており、設計に当たっては、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを実現している。
 例えば、シースルーソーラーパネルや、北海道産の間伐材フレームによる壁面緑化など、最新の環境技術をみせる「環境ウォール」を採用。その他、熱負荷を抑制し、外部からの騒音を低減する「屋上緑化」、自然採光、自然換気に配慮したトップライト、日差しを遮蔽し、建物の熱負荷を低減するルーバー(庇)なども設置している。

▲国際メディアセンターの雪冷房システム

 また、雪冷房システムとして、敷地の段差により生じたプレスセンター棟下部の余剰空間を、雪室(周辺を断熱した雪貯蔵庫)とし、今回のサミット開催期間の冷房に必要な容量の雪を貯蔵する。堆積した雪に縦穴を開け、そこに外気を通すことで冷風を生み出して送風し、循環させることで、冷風を建物全体に送る。溶けた直後の温度の低い融雪水の中を、冷房用の循環水を通すことで負荷の大きい部屋の冷房機器に利用するシステムだ。その後は、植物への散水やトイレの洗浄水に利用する。雪冷房期待負荷 は約30万kWHで、 約7,500tの雪を使用する予定である。
 こうした北海道における地域の特性を活かした新エネルギーは、日本海側の風を使った風力発電や豊富な雪や氷を利用した、雪氷冷熱利用技術があるが、特に雪冷房は、今は主に農業生産物の低温貯蔵技術として、すでに実用されている。

▲クリックすると拡大したものが開きます。 ▲クリックすると拡大したものが開きます。

 一方、建物の外観なども、雪冷房システムの採用や道産間伐材、草花などを表現されたものとなっている。
 工事は、3月7日から、本体工事となる鉄骨柱の組み立てに着手。北海道の気候風土の特性を活かした環境技術などを世界に情報発信できる建物として、配備が進められている。

北海道洞爺湖サミット国際メディアセンター整備事業に貢献します
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