建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年6月号〉

寄稿

室蘭市の官民の総意と資金を結集した(仮称)入江地区広域センタービル

――民間出資による初めての官民複合庁舎

室蘭市企画財政部企画課広域センタービル推進担当 主幹 小泉 賢一

小泉 賢一 こいずみ・けんいち
昭和56年3月 室蘭工業大学建築工学科卒
昭和56年4月 室蘭市役所入所 都市計画課
昭和61年4月 建築課 技師
平成 7年7月 都市計画課 主査
平成15年7月 企画課 主査/td>
平成18年4月 企画課 主幹

▲(仮称)入江地区広域センタービル

 (仮称)入江地区広域センタービル建設は、大きくは3つの目的を以て計画されました。一つは、北海道、市及び隣接する国の施設との連携による行政サービスの提供により、広域的な行政拠点施設として市民の利便性向上を図ること。もう一つは、先行取得用地を活用し、周辺市街地と連携した土地利用を図ることにより、中央土地区画整理事業により進められている入江地区のまちづくりを推進すること。そして、行政、市民、地元企業等の参加によるオール室蘭での資金調達をはじめ、地域力を活用した事業実施により、新たな公共施設のあり方を提案することです。
 したがって、この事業の最大の特徴と言えるのは、市、商工会議所、金融機関、市内企業の共同出資で事業主体となる「むろらん広域センタービル株式会社」を設立し、この企業によって官民複合施設の建設と管理運営が行われることです。
 出資の内訳は、室蘭市80,000千円 室蘭商工会議所30,000千円、市内金融機関30,000,千円 市内企業41,850千円となっており、この他にも市内の企業や団体を対象とした少人数私募債の発行や、市民を対象としたミニ公募債(らんらん債)の発行など、オール室蘭による資金調達を予定しています。具体的には少人数私募債1,100,000千円(市内企業・団体を対象に発行予定)、金融機関借入880,000千円、室蘭市借入800,000千円(75%を上限に市民を対象としたミニ公募債を発行予定)となっています。
 そして、官民の連携による市民サービスの向上を図る目的から、行政施設に加えて金融機関、民間事務所等の入居による複合施設として計画しました。すでに入居が決定しているテナントは、行政施設では北海道胆振支庁と室蘭市で、民間施設では室蘭商工会議所、北洋銀行、室蘭信用金庫、北海道銀行、ナラサキ産業、北海道厚産となっています。
 施設の設計にあたっては、建物を敷地の南側に配置し、隣接する中央地区商店街への回遊や、港大通り沿道の街並み景観の連続性に配慮しました。市民利用度の高い市の窓口部門や道の税務部門、金融機関は1階に配置し、利便性の高い施設としました。構造は大スパンの架構により、事務所ビルとして汎用性の高い施設とし、レンタブル比の高い平面計画により、効率的で収益性の高い施設としました。また、地域の防災拠点として耐震性の高い施設としています。


施設概要
・1階  北海道(胆振支庁)、室蘭市(サービスセンター、
     年金、税務)、北洋銀行室蘭中央支店、
     室蘭信用金庫本店営業部、北海道厚産(食堂、売店)、
     北海道銀行(ATM)
・2階  北海道(室蘭保健所)、室蘭商工会議所、ナラサキ産業
・3階  北海道(室蘭土木現業所、胆振教育局)
・4階  北海道(胆振支庁)
工事概要
・工事期間  平成20年2月1日〜平成21年2月28日
・工事場所  室蘭市海岸町1丁目
・敷地面積  20,082.34u
・規模構造  鉄骨造 4階建
・建築面積  4,944.15u
・延床面積  14,250.75u
・高  さ  17.11m
・基  礎  鉄筋コンクリート造/td>
・外  壁  プレキャストコンクリート版 磁器質タイル打込み
・屋  根  アスファルト露出防水
・内  装  床:OAフロア タイルカーペット敷
       壁:石膏ボード AEP仕上
       天井:岩綿吸音板貼
・駐 車 場  400台
       (一般来客用180台、テナント専用220台)
(仮称) 入江地区広域センタービル新築工事に貢献します
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