建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年5月号〉

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産業の活性化と競争力の強化を促進する富士山静岡空港(前編)

――平成21年3月の開港に向けて整備に全力

静岡県 富士山静岡空港

 静岡県で初の空港となる「富士山静岡空港」の整備が着々と進み、いよいよ来年の開港まで1年を残すのみとなった。現在は滑走路その他基本施設の仕上げに入っており、旅客ターミナルビルの建設と、運営に向けた準備も進んでいる。優位な経済情勢にある県勢を背景に、新しい形の地方空港として各方面から開港への期待が持たれている。
▲富士山を背景とした全景

■開港を後押しする有利な条件
 静岡県は、半径300km圏内に、日本の人口の約6割(約8,000万人)が暮らし、国内総生産の約7割(約355兆円)が集中する3大都市圈の巨大マーケツトを抱えている。そうした市場性から、県内では、輸送機器、電気・電子部品、化学、一般機械、食料品など多分野にわたって生産活動が行われており、平成18年の出荷額は18兆2,347億円で、全国で第3位(シェア5.8%)となっている。
 製造業に活力があることなどから、企業の立地先として注目されており、平成18年は102件、平成19年は124件と、2年連続で100件を超えている。特に平成19年は100件を超えたのは、全国で静岡県だけ(全国一位)という人気ぶり。立地面積で見ても、全国4位となっている。また、県内のホテル・旅館数は4,306軒で、全国でも第1位を誇り、有数のものづくり県であるだけではなく、観光立県でもある。平成19年の国土交通省の宿泊旅行統計調査によれば、静岡県への1年間の宿泊者数は1,261万人で、全国5位となっている。
 こうした産業力を背景に、人口は全国第10位の約380万人で、県内総生産は平成17年度時点で16兆4,151億円に上り、全国シェアは約3.2%。また、卸・小売業の商品販売額は10兆7,572億円の市場規模となっている。
 製造業をはじめとする、こうした経済力から失業率も低く、平成18年の完全失業率は全国平均の4.1%を下目る2.8%で、全国では4番目に失業が少ない状況だ。
 したがって、県民経済は安定しており、17年度の1人当たり県民所得は334万4千円で、東京都、愛知県に次いで全国第3位の水準にあり、平成14年度より4年連続で第3位を維持している。
 反面、平成16年度における1,000人当たりの被生活保護実人員数は、低い方から6位で、自活力の高さを物語っている。行財政においても、17年度における県の財政力指数は全国第6位の0.653で、全国平均を0.225ポイント上回っている。
 こうした優位な情勢にありながらも、現在は静岡県には空港がなく、企業関係者などが国際便を利用するために、成田空港へ向かうには移動時間がかかり、わざわざ前泊する必要があるなど時間やコスト削減が課題となっていた。国内遠隔地や海外からの商用客を招待するにも、空港がないため、東京や名古屋を経由しなければならない不便な状況にあった。
 富士山静岡空港は、世界的規模での地域間競争が激化していくと予測される中、静岡県の空の玄関口となり、国内遠隔地やアジアの主要都市を直接結ぶ産業インフラ、生活インフラとして、静岡県の優位性を維持し、更なる発展を目指す上での不欠可なものとして整備が進められている。

▲基本施設配置図
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▲上空写真(平成20年1月22日撮映)

■インフラ整備も仕上げの段階へ
 来年3月の開港に向けてインフラ部と旅客ターミナルビルの工事が最盛期を迎えており、現在は滑走路等舗装工事や航空灯火工事とそれに電源を供給する電源設備工事、周辺においては空港へのアクセス道路工事や、約2,000台収容の駐車場の整備が行われている。  (以下次号)

平成19年度静岡県空港整備工事に貢献します
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