建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年4月号〉

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設計・材料・施工の合理化で世界から注目される当別ダム

我が国で開発された台形CGSダム

札幌土木現業所 当別ダム

▲当別ダム完成予想図

 石狩管内の当別川は、昭和38年より中小河川改修工事、局部改良工事等が行われてきたが、昭和45年5月の風雨や昭和56年8月の台風12号など、毎年のように河岸の決壊、氾濫を繰り返してきたため、洪水調節や灌漑用水などの多目的ダムとして、当別ダムが計画された。抜本的な治水対策を担い、ダム地点の計画高水流量1,220m3/secのうち760m3/secを洪水調節し、当別川沿川地域の洪水被害を防ぐことになる。
 また、川の流量が安定せず、減少すれば水質が悪化し、流域環境の生態系にも大きな影響を与えるため、ダム地点下流の当別川松川に既得用水の補給を行うなど、川の流量を安定させ、流水の正常な機能(水資源保持機能)維持と増進を図る。

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 一方、当別町の農業は札幌圏の食料供給地区として、稲作を中心とした都市近郊型農業が展開しているが、営農の近代化・経営規模の拡大のために用水の供給が必要とされていることから、当別地区3,194ha (ダム依存分3,153ha)の農地に対し、最大で13,386m3/sec (かんがい期平均8,989m3/sec、年間0.93億m3)のかんがい用水を供給する。
 その他、将来の水道用水需要も見据え、石狩西部圏(当別町、札幌市、小樽市、石狩市の札幌圏)に1日最大103,700m3 (1.2m3/sec:既得用水0.019m3/sec+新規取水量1.181m3/sec)の水道用水を供給する。
 ダムの形式は台形CSGダムとなる。この台形CSGダムは日本で開発されたもので、「台形ダム」と「CSG」の両方のメリットを併せ持つ。環境にやさしく、費用があまりかからない特徴があり、特に建設に当たって「設計の合理化」「材料の合理化」「施工の合理化」を同時に達成できることから、一層のコスト縮減と環境保全への効果が期待できる。そのため、国内だけでなく世界からも注目を集めている形式だ。

ダム諸元
位置:北海道石狩郡当別町青山十万坪地先
型式:台形CSG ダム
堤頂長:432m
堤高:52.4m
集水面積:231.1km
湛水面積:5.9km2
総貯水容量:76,800,000m3
有効貯水容量:68,800,000m3
常時満水位:EL57.6m
サーチャージ水位:EL61.1m

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