建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年3月号〉

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地域の象徴となる学校施設を目指す堺町小学校

3校を統合し生涯学習センターとして地域に開かれた学校

浦河町 堺町小学校

 浦河町は、20年前に共寒台・向別・絵笛各小学校を統合した堺町小学校の新築を進めている。堺町小学校は、最も人口の密集している地域にあり、多くの卒業生や地域住民の思いのこもった学校で、計画に当たっては、新しく無駄のない施設でありながらも地域の景観に溶け込み、未来に羽ばたく小学校らしさをもつものを目指し、古くから広葉樹の産地である地域性を活かし、木材をふんだんに使用した温もりのある校舎にする方針だ。  また、子どもたちが一日の多くを過ごす「学びの場」「生活の場」として、居心地の良い多様な空間を確保し、学校に居ることによって「ユニバーサルデザインの概念」や「環境に配慮すること」(エコスクール)が自然に身につく施設を目指している。さらに地震多発地帯であることから、緊急避難施設としての機能などにも対応するほか、子供たちが犠牲になる事件が多発している社会情勢を踏まえ、子どもが安心してすごせる施設とする。  一方、教育改革に対応するため、ゆとり教育からの方向転換などの変化に対応し、総合的な学習の時間「自ら学ぶ意欲を支える学習環境」の創出を実現する。その他、地域に開かれた学校施設として、夜間や休日も活用できる機能を持ち、地域の生涯学習センター的役割として寄与できる施設とする。  こうした基本理念に基づき、設計に当たっては、子供たちが多くの人との出会いやふれあいの場をもてるよう、2階建てのコンパクトな施設とし、大階段のある広間のような多目的スペースを中心とした吹抜けを活かした明るい校舎とした。多目的スペースやワークスペースの周囲には2ヶ所の吹抜けを設けることで、校舎のどこにいても全体の気配のわかる構造とし、学級間や学年間の学習・交流には、これらの多目的スペースを用いて様々な学習形態に対応できる施設とした。多目的スペースは、地域住民やPTAとの交流やイベントにも活用できる。また、廊下を2本設け、広く回遊できる構造にすることで、開放感を持たせている。  配置計画としては、午前中の授業が主体の普通教室ゾーンは、東側に配置し、ワークスペースゾーンは普通教室ゾーン前に隣接して配置。普通教室や、吹き抜け空間を含めた一体的な空間とした。特別教室ゾーンは西側に配置し、防音や、臭気に配慮が必要なスペースは、間仕切を設けた。屋体ゾーンは校舎の北側に配置し、校舎採光を遮らない配置としている。


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