建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年3月号〉

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国営かんがい排水事業「道央用水地区」の紹介

国営農地再編整備事業「中樹林地区」「由仁地区」の紹介

北海道開発局札幌開発建設部 札幌南農業事務所

▲かんがい用水路の埋設工事

〔道央用水地区 概要〕
関係市町:江別市外5市5町
受益面積:29,010ha
     (水田27,058ha、畑1,952ha)
工  期:平成7年度〜平成24年度(予定)
工事概要:ダム2箇所、頭首工4箇所、
     揚水機6箇所、用水路6条
 札幌開発建設部札幌南農業事務所では、国営かんがい排水事業「道央用水(三期)地区」と、国営農地再編整備事業「由仁地区」、「中樹林地区」を進めている。  事務所の所管地域は、札幌市を含む人口200万人の都市住民が住む6市の近郊に位置しており、寒さに強い品種の試作に成功し、北海道の寒地稲作の始まりの地として、また現在の土地改良区の基礎となった土功組合が最初に組織されるなど、早くから稲作を展開してきた道内有数の水田地帯である。  特に寒冷地水稲として有力ブランド米となった「きらら397」や「ほしのゆめ」など、良食味米の栽培に向けて品種改良の努力がなされてきた。さらに新品種の「ななつぼし」や「おぼろづき」も、北海道独自の低アミロース米として期待されている。この他、小麦、大豆、野菜などについても低コストの生産に取り組んでいる。  また、畦へのハーブ栽培によるカメムシ対策などの減農薬や、有機栽培の取り組みなど安全な農産物の生産にも努力し、消費者と「食卓から農場へ顔の見える関係」を構築する直売所や市民農園の開設、食育を目的としたグリーン・ツージズム事業による修学旅行生の農家民宿の取り組み等が盛んに行われている。  しかし、地域の水田へのかんがい用水は、河川流況の変動により用水不足をきたしているとともに代かき期間の短縮、深水かんがいの用水が確保されていない状況である。また、畑用水についても降雨に依存している状況で、安定的なかんがい用水の確保がなされていない状況である。  このため、道央用水地区では29,010haに及ぶ農地を対象に、代かき期間の短縮用水、低温障害から稲を守る深水用水、安定した野菜生産に必要な畑地かんがい用水を、新設する夕張シューパロダム(多目的共同事業)にて確保するとともに、農業用用水施設の整備を行うものである。道央用水地区は一期、二期、三期に分割して計画的に進めており、南農業事務所では頭首工、揚水機及び用水路の新設・改修整備を行う道央用水(三期)地区を実施している。

〔中樹林地区 概要〕
所  在:北海道空知郡南幌町事業
工  期:平成12年度〜平成20年度
受益面積: 771ha 67戸
事 業 費: 144億円

 また、中樹林地区(南幌町)と由仁地区(由仁町)では、大規模な国営農地再編整備事業が進められている。本事業は、既耕地を再編整備する区画整理と地目変換などによる農地造成を一体的に施行し、生産性の高い基盤の形成と土地利用の整序化を通じ、農業の振興を基幹とした地域の活性化に資することを目的にしている。  中樹林地区では、平成20年地区完了に向けて、農地の完了整備と換地処分などの準備を進めている。本地区の抽出すべき点は、本事業などによる農地の集積やほ場の大区画化などの生産基盤の整備にあわせて、地域をあげて農業生産法人の設立に取り組み、個別経営からの大転換を図っていることである。この取組みにより、農業機械作業の効率化にあわせて、法人化により企業的経営で農業機械の共同利用などを行うことで生産コストを低減させ、安定した農業経営が可能となる。現在は、町内に11法人が設立され、町内全耕地面積の約4分の1を法人でカバーするまでになっており、この動きは今後も加速される模様である。

▲工事前 30a〜50aと小さい区画のほ場 ▲工事後 事業の整備により大区画に再編されたほ場160a〜360a

〔由仁地区 概要〕
所  在:北海道夕張郡由仁町
事業工期:平成16年度〜平成23年度
受益面積:1,038ha 110戸
事 業 費:150億円
 由仁地区についても、ほ場の大区画化に併せて農地の集約を行い生産性の高い基盤の形成を図ることとしている。  事業の推進にあたっては、環境との調和に配慮するとともに、造成された施設に親しみと愛着を持ち円滑な維持管理が行われるよう、また、地域住民との連携による“まちおこし”に向け、住民参加による「ワークショップ」の開催や防風林の直営施工、ハーブの植栽など、地域の先導的、モデル的な取り組みを積極的に行っている。  また、由仁町では、ハーブをテーマとした「薫風ろまん〜人と大地の幸せなシンフォニー」をキャッチフレーズに、豊富な農産物に付加価値を付け、自然や拓かれた田園風景を活かす町づくりを進めており、「ハーブ薫るクリーンで美味しい農産物のまち」を目指している。


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