建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2008年1月号〉

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岩手秋田の産業発展の起爆剤として期待される東北横断自動車道

花巻−釜石間の移動時間短縮で40億円の観光消費の見込み

東北地方整備局 岩手河川国道事務所 東北横断自動車道 釜石秋田線

※仙人峠道路は供用
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岩手河川国道事務所が整備を進めている東北横断自動車道釜石秋田線は、釜石市を起点に遠野市、奥州市を経由して花巻市で東北縦貫自動車道に合流、さらに北上市で分岐して横手市、大仙市を経由し秋田市に至る総延長約212qの高速自動車道だ。 このうち、東和−花巻間の11.4qは平成14年11月に供用し、東北縦貫自動車道から秋田市に至る秋田自動車道は平成9年11月に全線供用されている。 そして現在は、遠野−東和間の延長33qについて、従来の有料道路方式ではなく、国と地方の負担による「新直轄方式」として整備されている。 岩手県は都市間距離が長く、峠が多いため、物流拠点である釜石港、大船渡港といった重要港湾や、観光産業の集積が著しい内陸部の拠点都市との広域的な連携が課題となっている。 そのため、釜石港、大船渡港と、観光資源の豊富な陸中海岸国立公園を有する三陸地方拠点都市地域、そして先端技術産業が集積している北上中部地方拠点都市地域や花巻空港、さらに秋田空港や秋田港を抱える秋田市との有機的な連携を図るべく、この路線が計画された。また、東北縦貫自動車道との接続によって、東日本地域の内陸部と太平洋沿岸との縦横の高規格道路網を形成し、緊急時における代替・迂回ネットワーク機能を担う路線ともなる。 実際に、管内では金ヶ崎町の自動車工場で、平成12年から月産2,000台の増産分を、釜石港からの出荷に切り替えており、平成17年11月からは年間16万台の生産台数を25万台から30万台にまで拡大していることから、これらの輸送需要が見込まれる。

▲工事中の橋梁 ▲工事中の釜石秋田線(遠野〜東和間)

この路線整備による移動時間の短縮により、物流の効率化のみならず、地域観光の支援、地域医療の強化が期待される。観光面では、すでに秋田−北上間の移動時間が、2時間20分から1時間20分となっため、平成元年には315万人だった観光客数が、11年には414万人へと増加した。花巻−釜石間についても、1時間50分から1時間に短縮されるため、年間の観光客動員数は、15年には160万人だったが、開通後は210万人に増加すると予測され、約40億円の県内観光消費が見込まれている。 医療面では、釜石病院のある釜石市と、遠野病院のある遠野市間は、国道283号線では52分を要したが、この秋田釜石線では26分へと短縮される。遠野市と東和病院や花巻厚生病院、花巻総合病院のある花巻市間は、48分から34分へと短縮される。 こうして冬期における通行の信頼性が確保されることで、釜石や内陸との医療連携が可能となり、地域住民の救命率が向上することになる。これによって路線の周辺地域のみでなく、岩手・秋田両県の全域において医療・産業経済の発展が期待されている。


東北横断自動車道 釜石秋田線安全協議会
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