建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年11月号〉

interview

工事施工後も関心を持ち続ける

――工事現場の地域振興を考え住民とも交流

北海土木工業 株式会社 代表取締役 横田 昌治郎氏

横田 昌治郎 よこた・まさじろう
昭和16年 7月 小樽生まれ
昭和39年 4月 岩手大学農学部卒業
平成10年10月 北海土木工業株式会社に入社
代表取締役に就任

北海土木工業(株)は、明治時代に井戸を掘削する会社としてスタートし、後には道内はじめ東北ブロックでも水道施設整備に従事するなど、人々に飲料水を供給するための都市型インフラ整備に貢献してきたが近年は一般土木の分野にも業務の比重を移している。  また施設が完成した後も施工を担当した技術者がその後の状態を確認するなど丁寧なアフターケアーに努めている。同社の横田昌治郎代表取締役に,施工会社としての気構えなどを伺った。
――会社の概要からお聞きしたい
横田
明治28年に個人企業として創業しましたが、当初は井戸の掘削作業がメインで、道庁の井戸掘削などを手がけたとのことです。当時は井戸掘削を手がける事業者が少なく多くの人が沢水や河川水を飲料水にしていたのでしょうが、その時期から当社は飲料水に関わってきました。 そして時代は明治から昭和へと移り、昭和19年の戦時下には、様々な会社が合併するようになり、当社も同業2社を吸収合併して北海土木工業株式会社という体制となりました。その後は、海軍の給水施設なども手がけたことから、東北の海軍基地関連事業にも携わり、これが東北進出のきっかけとなったようです。 終戦後には各市町村でも本格的に上水道が普及するようになり、当社もそれらの水道事業に携わってきたという経緯です。
――道内だけでなく東北での施工実績もあるのですね
横田
東北は青森、岩手、秋田県、などの各市町村で、水道事業を施工しました。現在は、盛岡市に支店を置き、主に岩手県内の水道施設整備を施工しています。
――水道施工における長年の実績を生かした独自の工法などはありますか
横田
独自の工法というのはありませんが、上下水道、農業用パイプライン工事に伴う推進工事なども得意としており、優良工事表彰をうけたこともあります。またゴルフ場の散水施設を施工した実績もあります。
――印象に残る工事はありますか
横田
私が入社する以前のことですが、昭和52年の有珠山噴火の時は周辺町村の緊急給水工事やその後の本格復旧までお手伝いさせていただいたと聞いております。そのご縁で周辺高台の上水道整備にも携わりました。  私が入社後の平成12年にも有珠山の噴火があり、当社が施工した上水道施設も甚大な被害を受け、その後の復旧工事の一部もお手伝いさせていただきました。
――来年のサミット会場になるエイペツクスホテルの水道工事も手がけたのですね
横田
エイペックスホテルは当社が周辺の上水道工事を手がけたあとで建設されましたので、直接施工したわけではありませんが、当社が造成した施設から取水している筈です。各国の首脳が当社の造成した施設を通った水を飲むのだと思えば一寸誇らしい気持ちになります。
――「水道の北海土木」として知られてきた会社ならではの実績といえます
横田
そうした時期もありましたが、今日では水道施設も広く行き渡ってきたので、昭和40年頃からは道路、河川、港湾や、農業土木などの分野も手がけるようになりました。
▲平成18年度 当別太美地区
    太美排水機場建設工事
――一方、施工現場では、地域との関わりも大切にしているようですね
横田
工事現場がある現地の住人には、何かとお世話になるので少しでも恩返しが出来ればと思い、地元幼稚園に遊具を寄付したり、奈井江の工事では、養護学校の関係者がみんなで散歩するコースを通行止めにする必要があり、ご迷惑かけたことから、施設にお米を寄付したりしました。その他、近くに学校があれば、防犯ベルを子供たちに寄付したりもしました。 今年は、新十津川の現場では学校の運動会や夏祭りに招待され、私や担当技術者らが参加して楽しんできました。
――そうした活動は、現場技術者が自主的に発案するのでしょうか
横田
そうしたケースもあれば、本社から提案する場合もあります。現場の作業所長たちも意識は高まっており、自ら積極的に取り組んでいるようです。厳しい受注環境で、多少の経費はかかりますが(笑)
――農業土木工事も多いとのことですが農業土木は受益者が限定されているので、アフターケアも含めて施工結果が見えやすいのでは
横田
農業施設はまさに農家が品質の良い農産物を生産するための大切な施設です。施工後にも付近の農家や施設を管理する土地改良区を訪ね「その後の状態はどうですか」などと様子を尋ねだりしています。農業施設に限らず当社が施工した施設が十分に機能しているのか、担当した技術者には施工後も時々見廻るよう指示しています。
――道内地方から東北に至るまで、幅広い施工エリアですが、逆に本社所在地付近のインフラなども、目につく箇所があるのでは
横田
本社裏の中通りは札幌市の管理する市道ですが、数年前に8丁目から10丁目までの整備工事を担当しました。通勤などで利用しますが歩道ブロックや路面の状態は大変気になります。
▲平成18年度 3・4・3千代田丁未線
    1種改築(新社光橋 下部工)(翌債)工事
▲平成17年度 栗山北広島線 地特19局改工事
――そうした細かい観察と気配りが、地域建設業者に求められますね
横田
石狩、空知地方は水田地帯です。前にも言ったように当社の施工した箇所については折に触れてその後の状態をチェックするように指導しておりますが、何らかの不都合が生ずれば、逆に地域から連絡や相談が寄せられることもあり、そのような時は現場に出向いてアドバイスしたり、できる範囲で補修のお手伝いをすることもあります。 これは道路整備工事、河川整備工事、上下水道工事などについても同じことが言えます。
――災害も含め、日常の身近なところでは建設需要があるはずですが、公共事業への無理解から、予算削減や発注システムの改悪続きで、発注状況は厳しい状況です。今後どのように対処して行きますか
横田
私たちとしては請け負った工事は、事故なく出来るだけ効率的に施工して品質の良いものを作りあげることに尽きると思います。 そのため着手前や施工中に技術者全員で施工会議を開きそれぞれアイデアを出し合って効率的に進めるようにしています。最近はVEのように発注者へ提案する機会もありますので積極的に取り組むようにしています。
会社概要
許可建設業種:土木工事業・建築工事業・
とび土木工事業・管工事業・
鋼構造物工事業・舗装工事業・
しゅんせつ工事業・造園工事業・
水道施設工事業・さく井工事業・
機械器具設置工事業
創業年月日: 明治28年5月28日
法人組織変更:昭和19年

北海土木工業株式会社ホームページはこちら
HOME