建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年11月号〉

寄稿

成長力・競争力の強化に取り組む地域を支援する基盤づくり

――物流・人流ネットワークと安全・安心な地域社会の形成

国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部 次長 福本 淳

福本 淳 ふくもと・あつし
昭和35年3月19日生
昭和57年3月 北海道大学工学部卒
昭和57年4月 帯広開発建設部採用
平成 8年4月 札幌開発建設部道路調査課長
平成11年7月 北海道開発局建設部道路計画課長補佐
平成13年4月 北海道開発局建設部道路建設課道路技術対策官
平成15年4月 小樽開発建設部小樽道路事務所長
平成16年4月 北海道開発局建設部道路維持課道路防災対策官
平成18年7月 函館開発建設部次長
平成19年7月 札幌開発建設部次長

札幌開発建設部は、札幌市を中心に道央圏の道路、農業基盤、港湾、空港、公園など多岐にわたる整備を進めていきます。 この中で、道路事業は16路線、延長約1,078kmの改築事業及び維持管理事業を行っています。 今回は、札幌開発建設部の事業の中から、道路整備事業に焦点を当てて、紹介いたします。

▲道央圏連絡道路
北海道の骨格を形成する高規格幹線道路網の整備
高規格道路と一体となって、地域発展の核となる都市圏の育成や地域相互の交流促進、空港・港湾等の広域交通拠点との連絡等に資する路線を地域高規格道路として整備しており、札幌開発建設部では、道央圏連絡道路を整備しております。 道央圏連絡道路は、千歳市から小樽市を結ぶ延長約80kmの地域高規格道路です。 北海道縦貫自動車道及び北海道横断自動車道と接続し、道央圏の広域ネットワークを形成します。 広域ネットワークの形成により、北海道の代表的な物流拠点である、新千歳空港、苫小牧港、石狩湾新港と札幌都市圏とのアクセス性が向上し、国際競争力を高める物流ネットワークの構築に寄与します。 さらには、札幌都市内は恒常的な交通混雑により、適正な交通機能が発揮されておらず、特に冬期間は積雪などの影響で交通混雑が著しい状況です。道央圏連絡道路の整備により、札幌都市内を通過するのみの交通が転換・分散することにより、交通機能の適正化が図られ、政令指定都市である札幌市の都市機能向上に寄与することが出来ます。 道央圏連絡道路の整備状況は、全体延長約80kmのうち、約35kmについて供用済であり、延長約45kmについて事業を実施しております。 新千歳空港関連(延長9.2km、千歳市)、泉郷道路(延長8.2km、千歳市、長沼町)、美原道路(延長8.0km、江別市、当別町)においては、用地取得・埋蔵文化財調査・改良・橋梁工事を行っております。 また、長沼南幌道路と中樹林道路については、環境影響評価手続きを行っており、早期の広域ネットワークの実現に向けて、事業を促進します。
▲道央圏連絡道路 美原道路 ▲道央圏連絡道路 泉郷道路
物流・人流の効率化・円滑化
円滑な交通を確保すべく、恒常的な交通混雑の解消を目的とした、一般国道12・275号苗穂交差点(延長1.1km)の整備をはじめ、一般国道12号では、江別道路(延長9.1km)、岩見沢道路(延長14.7km)、峰延道路(延長6.3km)、美唄拡幅(延長6.9km)、一般国道230号では小金湯拡幅(延長4.3km)、一般国道275号では蕨岱拡幅(延長3.3km)の各々において、4車線拡幅事業を行っております。 その他に、一般国道38号赤平バイパス(延長6.4km)のように、別線による交通円滑化対策も行っております。 拡幅およびバイパス事業によって、旅行速度が向上し都市間の旅行時間が短縮され、物流・人流の効率化・円滑化が図られます。 また、交通混雑対策は、旅行速度の向上に起因するCO2の排出量削減などの側面も有しており、沿道環境改善も期待されます。 また、平成19年度においては、一般国道12号江別道路・岩見沢道路において、全線供用を目指しております。 これらの供用により、国道12号は札幌市より岩見沢市までの区間(延長約52km)において全線4車線化が完了いたします。 その外の事業についても、早期供用を目指し事業を促進しております。
▲一般国道12・275号 苗穂交差点 ▲一般国道12号 岩見沢道路 ▲一般国道231号 雄冬防災 ▲除雪状況
安全・安心が確保された地域社会の形成
防災対策として、一般国道231号雄冬防災(延長11.6km)の整備を推進しています。 石狩市浜益区・厚田区においては、地域間を連絡する唯一の幹線道路である一般国道231号において、安全で信頼性の高い道路網の確保を目指し災害に強い地域づくりを推進します。 また、札幌開発建設部管内には、通行規制区間が55.5km(通行規制区間29.0km、特殊通行規制区間26.5km)有しております。 通行規制区間の早期解消をめざし、事業を促進します。 落橋等の甚大な被害を防止し、緊急輸送経路としての機能確保を目的として、平成17年度より橋梁耐震補強3箇年プログラムを行ってきました。 今年度も、橋梁の耐震補強を重点的に実施し、災害に強い交通基盤施設を整備します。 また、センターラインの凹型の溝を設置し、音と振動で対向車線へのはみ出しをドライバーへ注意喚起する効果がある、ランブルストリップスの整備や、事故多発交差点の交差点改良工事を引き続き行い、安全・安心が確保された地域社会の形成をします。 札幌開発建設部が管轄する石狩・空知地方は冬期になると、多雪で非常に気温が低い地域で、冬期において安全で確実な道路交通を確保するために、総合的な雪みち対策も重要と考えており、特に札幌市と連携し、交差点部の除排雪を重点的に行うなど、円滑な冬期交通の実現します。 また、近年は海外からの観光客を含め、雪道を歩行されたことのない方が多数来道されております。冬期における歩行者転倒事故の防止ために、雪道を歩行する際の注意点を、パンフレットの配布や、ホームページにて情報発信を行っております。特に「札幌雪道ガイド」は、大変好評をいただいており、日本語表記の他、英語・韓国語・中国語(繁体字)版を作成しております。 今後も、雪道に関する情報を発信し、車両事故・歩行者事故の防止を行います。
▲無料配布パンフレット「札幌雪道ガイド」 ▲植えるカム花ロード
都市再生プロジェクトの推進
札幌市の都市再生プロジェクトである「人と環境を重視した都心づくり」の実現に向けて、札幌駅周辺と大通周辺の地下歩行空間を整備する、一般国道36号札幌駅前通地下歩行空間(延長160m)の整備を、平成22年度完成を目指し推進しています。 地下歩行空間の整備により、自動車と歩行者の分離がなされ人対車両の事故が大幅に低減されます。冬期においても歩行者はもちろん車いすの方でも、1年間を通じて快適なバリアフリーの歩行空間を実現することが出来ます。 また、災害に強く安全で快適な歩行空間の確保と、都市景観の向上を目的とし、架空している電線を地中の共同溝に敷設する電線共同溝の整備を進めます。 豊かな自然環境の保全・継承と観光立国の推進 北海道の豊かな自然環境や地域資源を活かし、地域と行政が連携することにより、「美しい景観」「活力ある地域」「魅力ある観光空間」を創出する、シーニックバイウェイ北海道を推進しております。 札幌開発建設部管内では、「支笏洞爺ニセコルート」が指定されており、「植えるカム花ロード」(一般国道36号)や「国道よごさん(453)キャンペーン」(一般国道453号)に参加し、活動団体の皆様やボランティアの皆様とともに、植栽活動や道路の清掃をを行っております。 今後も、沿道を魅力あるものにして下さる皆様の応援を続けていきます。
北海道の開発事業に貢献します
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