建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年10月号〉

寄稿

地方共同法人としての役割を担って

――日本下水道事業団北海道総合事務所 平成19年度事業概要

日本下水道事業団 北海道総合事務所長坂田 和則

坂田 和則 さかた・かずのり
昭和31年12月生 札幌市出身 北大工卒
昭和55年 4月 札幌市採用
平成 6年 4月 下水道局総務部係長職(下水道事業団派遣)
       日本下水道事業団北海道総合事務所専門役
平成15年 4月 建設局土木部調整担当課長
平成16年 4月 建設局土木部創成・駅前整備担当課長
平成17年 4月 建設局土木部街路課長
平成18年 4月 建設局下水道河川部下水道計画課長
平成19年 4月 建設局管理部部長職(下水道事業団派遣)
        日本下水道事業団北海道総合事務所長
はじめに
日本下水道事業団(JS)は、地方公共団体の下水道事業の技術者不足問題に対応するため下水道技術者をプールして技術援助を行うことを目的として昭和47年に国と地方公共団体が折半出資して設立した認可法人「下水道事業センター」を前身としています。 その後、地方公共団体からの下水道処理施設の建設工事等の支援要請の増大により、法改正を行い昭和51年に拡充改組して「日本下水道事業団」となりました。 さらに、平成15年には地方公共団体の全額出資による地方共同法人となり、地方公共団体の代表者が主体(評議委員会)となって業務運営を行うこととなりました。(JSの地方共同法人化) JS北海道総合事務所は昭和58年10月に日本下水道事業団第1号の総合事務所として創設されました。平成19年度現在で道内全域180市町村のうち、97団体の112箇所の処理施設の建設に携わってまいりました。北海道の下水道処理人口普及率87.9%は、全国平均の70.5%よりも際立って高く(H18年度末)、道内ほとんどの都市で下水道は着手されており、JS北海道総合事務所も、その一翼を担えたものと自負いたしております。
平成19年度の基本方針
日本下水道事業団(JS)は、地方共同法人に移行した平成15年度より新たな経営理念として「お客様第一の経営」「自立的な経営」を掲げて、中期経営計画(H15〜H17)・新中期経営改善計画(H18〜H20)により業務運営を行っています。 JS北海道総合事務所も本計画に基づく組織目標を策定し、具体的な取り組みに努めています。 ・お客様満足度の向上 品質向上に向けた様々な取組、不具合、クレームに対する迅速な対応、定期的な団体訪問等 ・収支改善及びコストの適正管理 新規受託拡大の推進、旅費・庁費の縮減等 
平成19年度の事業概要
平成19年度におけるJS北海道総合事務所の事業計画は、昨年度当初と比較して約10億円増の約51億円の事業規模です。 「建設工事」は17団体20箇所で事業費約49億円、「実施設計」は13箇所2億円で実施予定です。事業推進にあたっては、地域特性を踏まえた下水道事業実施を図ってまいります。
▲礼文町 船泊アクアプラント
@処理施設建設等
本年度は新設2箇所・増設8箇所の建設工事、及び増設4箇所の設計を行います。その中のひとつとして、礼文町の船泊アクアプラントがありますが、本施設が完成(H20.3)しますと日本最北端の下水処理施設となります。
A再構築事業(改築更新)
北海道内の下水処理施設は高い普及率からもわかるとおり、早くから下水道整備を開始しています。稼動年数が長くなるにつれて老朽化等により本来の機能が満たされなくなるので、良好な処理施設をいつまでも維持するために不可欠な事業が再構築(改築更新)事業です。 本年度は建設工事20箇所のうち、再構築工事が10箇所、実施設計13箇所のうち、11箇所が再構築設計を行う予定です。再構築工事の代表的なものとして室蘭市蘭東下水処理場が挙げられます。
B広域的処理支援
下水処理施設とし尿処理施設を複数保有し稼動させる場合、施設の維持管理費の負担が重くなることがあります。 この状態を解決するための方法として下水処理施設にし尿を受け入れる施設を建設するなど、共有化・共同化して整備することによって効率的に整備するMICS(汚泥処理施設共同整備)事業による整備があります。本年度は、伊達市伊達終末処理場で実施する予定です。
C技術援助
技術援助メニューは、処理施設建設後の事後点検、15年検診のほかに、直接に処理施設を維持管理運営するものから使用料・受益者負担金の算定、資産・設備台帳を作成支援するものまでさまざまなものを取り揃えております。 ・事後点検
・15年検診
・維持管理に関する
 技術援助
 維持管理総合支援
 生物診断
 現地技術指導
・下水道経営に関する技術援助
 下水道使用料及び受益者負担金の算定支援
・その他の技術援助
 資産・設備台帳作成支援
 包括的民間委託導入支援
日本下水道事業団の一層の活用
これまでに述べてまいりましたように、日本下水道事業団(JS)は地方共同法人として、全ての地方公共団体のお役に立つべく、時代の変化やお客様のニーズの多様化に応じたメニューを揃えて業務を推進しております。 建設工事・設計・技術援助という一連のライフサイクルのほかに下水道に関する各種研修や実用化に向けた試験研究、下水道技術検定など多肢にわたる業務を執り行い、下水道の普及・促進に貢献いたしております。 <実用的な新技術の導入>
JS技術開発部は、省スペース・容易な維持管理で高度な処理水質が得られる「膜分離活性汚泥法」を実用化いたしました。 本技術は、民間企業との共同研究により実用化し、新しい下水処理技術として広く普及されることが期待されています。道内では第1号として、平成18年度に標茶町に導入されています。 <緊急時の災害支援活動>
平成16年10月の中越地震をはじめ、今年3月の能登半島地震、また7月16日発生の新潟県中越沖地震の際にも災害支援要請を受けて被災直後に調査団を派遣するなど、災害支援の経験を生かし各総合事務所を拠点とした支援体制を構築しております。
▲伊達市 伊達終末処理場
おわりに
近年の厳しい財政状況や職員の大量退職による技術者の確保など下水道を取り巻く状況には大きな変化が生じています。 このような状況の中、JS北海道総合事務所では建設工事等の日本下水道事業団への委託の有無に係わらず、道内すべての地方公共団体の下水道事業従事者の方が、日常の業務で解決できないような問題点があった場合には、速やかに対応し、お役に立つよう努力いたしております。 職員一同、「JS北総は北海道の下水道界のサロンたれ!」をモットーに今後も北海道の下水道事業の推進と安心のために貢献してまいる所存でございますので、どうぞご遠慮なく相談を持ちかけて下さい。
下水道整備事業に貢献します
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