建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年10月号〉

interview

建設業等ソフトランディング優秀モデル事業

――美唄地鶏を核とした美唄ブランドの創出
  地産地消の料理店 美唄地鶏とお蕎麦 「こはれ」

北有建設株式会社
大起建設株式会社 代表取締役 山口 英男氏<

山口 英男 やまぐち・ひでお
昭和42年4月15日生まれ
平成 3年 3月 国際武道大学体育学部武道学科卒業
平成 3年 4月 株式会社冨士土木入社
平成 6年 4月 株式会社冨士土木退社
平成 6年 6月 北有建設株式会社入社 取締役就任
平成10年 2月 常務取締役就任
平成11年10月 代表取締役副社長就任
平成13年 6月 代表取締役社長就任

 平成18年5月、美唄市東5条北11丁目に地鶏とお蕎麦のしゃれた店がオープンした。その名も「こはれ」。店内は古材や和紙、暖色系の明かり、盆栽などをあしらい、ジャズや都会的なBGMと心にくいばかりの演出が、本物志向の“こはれ”感をかもし出している。美唄はもともと「焼き鳥」と「鳥めし」が有名だが、地元で生産された鳥を使っていないことから、自から鶏種の選択に当たり、地鶏の生産から商品開発に至るまで一貫した自社管理体制を確立。美唄産の蕎麦を組み合わせることで本格的な地産地消の料理店として評判を集めている。「こはれ」のオーナーは、地元の舗装工事業「北有建設株式会社」を率いる山口英男社長、40歳。かつて柔道でならし千葉県の国際武道大学体育学部武道学科を卒業した熱血感だ。昨年、山口社長が名乗りを挙げた「美唄地鶏を核とした美唄ブランドの創出」事業が道の建設業等の新分野進出モデル事業に認定されてデビューした。  開店してまだ1年半足らずだが、「こはれ」の発信力は本業の営業活動にも思わぬ波及効果を生んでいるようだ。建設業と食の組み合わせは道内企業では珍しいが、北有建設はグループ企業が炭火焼肉の全国チェーン「牛角」のフランチャイズを札幌と岩見沢市内で店舗展開しており、飲食業の下地はあった。  山口社長は、グループ企業として完全子会社である土木工事主体の大起建設株式会社(旭川市)、造園・ガーデニング設計施工の北興産業株式会社(美唄市)も束ねており、着実に事業規模を拡大している。今後の展望などを聞いた。
――北有建設は昭和53年の創業ですが、当時の社名は「空知舗道」になっています。会社創業の経緯からお伺いしたい
山口
もともと美唄市内の主だった建設会社が出資して空知舗道が設立されました。昭和62年12月、舗装全体規模の減少を懸念し、現在の北有建設株式会社に商号を変更しました。私は東京で3年間、舗装会社で営業の仕事をしていましたが、平成6年北有建設へ取締役として入社し、先代である父は、その時期から「異業種参入」を口癖のように言っておりました。平成13年59歳の若さで他界した事に伴い若干34歳で経営のトップに就きました。現在は得意分野の舗装、地盤改良はもちろんのこと、農業土木の受注にも重点を置いていますが、関連事業として平成16年にエクステリア部門を設立し、空間デザイン、照明設計、色彩コーディネイト、ロードヒーティングの自社施工を手掛けています。
――先代が早くに亡くなったのはショックでしたね
山口
しばらく入退院を繰り返していましたので、平成11年から代表取締役副社長として私自身が会社の先頭に立っていましたが、公共事業が年々激減していましたので、他社の先輩社長から「気の毒」と言われたほどです。それまで「大変だね」と言われたことはありましたが、「気の毒」は初めてでしたね。それほど地方の中小の建設会社は存亡の危機に立たされていました。父はピーク時のうちに亡くなりましたが、今ならどんなことを考えているか、教えてほしいと思うことがあります。
――リサイクル事業でも先鞭をつけていますね
山口
アスファルトの再生プラントを持ったのは昭和62年です。空知管内では一番早かったし、道内でも5番目ぐらいだったでしょうか。平成7年には2号機を新設、コンクリート廃材を有効利用するため破砕設備を新たに導入しました。そうしたこともあって平成9年、リサイクル推進協議会から会長賞をいただきました。
▲環境保護・資源有効利用を重点にしたリサイクルロードセンター
(ISO14000 2000年版取得)
――牛角のフランチャイズに乗り出したのは、どのような経緯からでしたか
山口
平成14年でしたかISOの認証に取り組んだ際のコンサルが北海道牛角の本部だったご縁からです。先代の「異業種参入」が頭から離れていなかったので、一つでも二つでもヒントを得たかったという気持ちがありました。
▲牛角新琴似店(イラスト)
――1店舗あたりの初期投資はどのぐらいのオーダーになりますか
山口
7〜8千万円かかりました。私としては起業のノウハウを積みたいということで、平成14年8月に資本金300万円で外食事業の有限会社プライムコートを立ち上げ、現在、札幌市北区に2店舗、岩見沢市内に1店舗を展開しています。
――旭川の大起建設株式会社はなぜ完全子会社化したのですか
山口
将来を見据えた体制づくりの一環として完全子会社化しました。公共工事が減っているとはいえ旭川は北海道第2の都市ですし、大起は開発建設部の格付けがBランク。治山工事、農業土木、河川工事など守備範囲が広いのが魅力でした。私は社長として、毎朝、美唄から通い、社員とのコミュニケーションを深めながら心を一つにしていきました。
――北興産業は民間主体に造園、ガーデニング設計施工などを手掛けていますね
山口
社有地の活用と雇用の維持のため事業化しました。牛角と同様、顧客はエンドユーザーですから、公共事業とはビジネス感覚が全然違います。その点、飲食店は最大のサービス業です。牛角の店長をエクステリア部門の責任者に起用したのも、接客業の経験を生かしてもらいたいと考えたからです。
▲総合エクステリア展示場(ホッコーガーデン)ホームページ:www.hokkoh.net
▲美唄地鶏とお蕎麦 こはれホームページ:www.kohare.jp
――グループ企業では牛角に続く料理店の「こはれ」はなかなかの評判のようです。養鶏に挑戦したのは、どのような思いからでしたか
山口
美唄は焼き鳥、鳥めしが有名ですから、地元で鶏を飼っていると思われていますが、実際はそうではありません。そのため、地元での生産による美唄ブランドの必要性を感じていたところ、幸いにして平成16年11月から17年3月まで、美唄市の「ソフトランディングパイロット事業(産消協働型)」を受託、地鶏の飼育に取り組むことになり、事業化の可能性を検討しました。 地鶏の生産は養鶏規模が大きくならないと加工品などの販売は採算面で厳しいため、まずは自社で飲食店を経営、ブランド創出の先駆けとすることにしました。 肝心の鶏は日本三大美味鶏で有名な秋田比内鶏とフランスの横班プリモスロックを交配させた新しい鶏種を選択し、美唄地鶏のブランド化に着手いたしました。飲食店は自社所有地、養鶏場も関連子会社の所有地を活用、スタート時の従業員10名のうち8名を新規に雇用、2名を配置転換しました。
▲北海道農政部「北のめぐみ愛食レストラン」認定店『こはれ』
――次々と新機軸を打ち出し事業の幅が広がっていますね
山口
実際のところはまだ私の中で達成感はなく、成功事例とは言い切れないと思っています。 公共事業はジリ貧ですが、あくまでも建設業を中心に軸足を固めたいと思っています。そして地域社会で必要とされる企業であり続けたいと思っています。
北有建設株式会社 会社概要
代表者名:代表取締役 山口 英男
創  立:昭和52年12月(株式会社空知舗道)
創  業:昭和53年4月
商号変更:昭和62年12月(北有建設株式会社)
資 本 金:2,500万円
営業品目:舗装工事、一般土木工事、
     農業土木工事、アスファルト混合物      (新材・再生材)製造・販売、
     再生コンクリート骨材 製造・販売、
     アスファルト塊中間処理、
     コンクリート塊中間処理
ホームページ:www.hokuyu-const.co.jp

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ホッコウガーデンホームページはこちら

美唄地鶏とお蕎麦『こはれ』ホームページはこちら
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